文化行政のあらまし
2. 文化行政の総合的推進のための取り組み
第2章  文化立国の実現に向けての取り組み 
 
 以上のような状況を踏まえ,文化立国の実現に向けて,文化行政の総合的な推進のために,次のような取り組みを行う。

 
(1) 文化振興総合計画の検討
   文化立国の実現は,国をあげて取り組むべき課題であり,国や社会の幅広い分野に関連するものであることから,その実現のため,国や社会全体のコンセンサスを得ながら,関係省庁,地方公共団体,民間の役割分担を明確にし,総合的かつ一体的な連携協力体制を確立し,その下に,文化振興マスタープランをより総合的かつ具体的にした文化振興を推進するための計画を検討する。
   そのため,文化庁において,事務事業の減量化や効率化等を図りながら,政策の企画立案機能や調査研究及び評価の機能を充実するとともに,関係省庁との連携協力を進めていく。なお,その際,将来的には上述の新たな省間調整システムを利用することも検討する。また,国際交流・協力においてより積極的な役割を果たしていくため,その機能を強化する。これら機能の充実強化のため,文化振興を積極的に進める体制を整備する。
   この体制の整備に当たっては,上述の諸改革の流れを十分踏まえつつ,必要に応じ,文化政策の審議機能の強化や法的基盤の整備について検討する。
 
(2) 地方公共団体との連携協力
   文化立国は,それぞれの地域で,主体的に,その地域に根ざした個性ある多様な文化が振興されていくことにより,はじめて実現されるものである。現在,うるおいに満ちた活力ある地域づくりを進める観点からも,地方公共団体の文化に対する関心は非常に高く,それぞれ個性豊かで多彩な地域文化の振興がより一層図られることが期待される。
   今後,文化立国の実現に向けて国をあげて取り組むためには,地方分権の流れに十分配慮しつつ,地方公共団体相互及び国と地方の連絡を密にすることなどにより,役割分担と連携協力を進める。また,国としては,地方公共団体における文化政策の企画立案に関する情報提供や地域文化振興の中心的な役割を担う人材の育成・活用の支援を行うとともに,地方公共団体単独では実施が困難な各種事業の展開などソフト面を中心とした施策の充実を図っていく。
 
(3) 社会における多用な資源の活用
   国をあげて文化振興を推進するためには,社会に内在する多様な資源を導入することが不可欠である。そのため,企業メセナ等の民間の支援活動やボランティア活動の基盤を整備し,その積極的な活用を図るとともに,資金援助のみならず,人材,技術,情報の提供など多種多様な支援を効果的かつ効率的に組み合わせ結び付けていく。特に,企業による文化支援は,その得たものを社会に還元する社会貢献活動として重要であるだけでなく,円滑な企業活動に大いに資するものであるという考え方が定着してきている。その際,税制優遇措置や文化振興のための基金など様々な手法を活用し,効率的な文化行政を進める。
 
(4) 教育との連携
   「教育改革プログラム」に文化振興が盛り込まれているように,教育改革の一環としても文化の振興は重要となっており,文化行政においても,心の教育や完全学校週5日制の実施に対応するため,学校や地域社会における子どもたちの文化活動や鑑賞の機会をより一層充実することが求められている。そのため,学校,地域社会や文化施設等の相互連絡を密にし,学校の内外における文化活動や鑑賞の機会を確保するための諸施策を「地域こども文化プラン」と位置付け,これを推進する。
(5) 当面の取り組み
   文化立国の実現のため,文化振興総合計画の策定を視野に入れつつ,関係省庁,地方公共団体,民間の連携協力体制の確立に向けて,早急に次のような点について取り組む。その際,文化振興の重要性について,今後とも,国民に広く理解を求め,その気運を高める。
    @  文化政策の企画調整機能を強化する観点から,文化庁の組織の在り方を検討する。
    A  他省庁における文化に関連する施策を踏まえつつ,関係省庁との連絡協議の場を拡充する。
    B  文化政策に関する有識者を交えた文化庁及び地方公共団体の関係者の意見交換の場を設ける。
    C  各地域における企業メセナ等に関する連絡協議の場を組織化するなど,社会に内在する多様な資源のより一層の導入を図る。
    D  「教育改革プログラム」の一環として,「地域こども文化プラン」を推進していくため,学校や地域社会の連携協力を呼びかけていく。
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