文化行政のあらまし
3. 地域文化・生活文化の振興
第3章  文化立国の実現のための施策の体系
 
 文化立国の実現を図るためには,人々が,本当に心の豊かさを実感できるような生活環境の実現が必要であり,全国各地において,国民が生涯を通じて,文化に身近に接し,個性豊かな文化活動を活発に行うことができる環境を整備する必要がある。
 このため,地域における個性豊かな文化の創造,蓄積及び発信の促進を図る。また,文化の創造と享受とをつなぐため,地域における文化活動の環境の整備や架け橋となる人材の育成などを行う。
 さらに,文化は豊かな人間性を育むものであるとともに,人と人との心のつながりや相互に理解し尊重し合う土壌を提供するものであることから,地域や学校教育の場等において,子どもたちが優れた芸術文化や伝統文化に接し,文化活動に参加できるような機会を拡充する。
 
(1) 子どもたちの文化活動や鑑賞の機会の充実(「地域こども文化プラン」の推進)
   地域における文化活動の活動主体であると同時に文化の受け手でもある地域住民の文化活動や鑑賞の機会を一層充実する。
   特に,将来の文化立国を担う子どもたちについて,地域において優れた芸術文化や文化財に触れる機会を充実することは,子どもたちを心豊かに育む環境を醸成するとともに,子どもたちが社会性を持って人と人との関係を良好に結ぶことができるようにするという観点から極めて重要である。そこで,次のような施策を「地域こども文化プラン」として位置付け,推進していく。その際,学校教育の場と地域が連携し,主体的に取り組みが行われることが期待される。
    @  完全学校週5日制の実施に対応するため,こども芸術劇場や青少年芸術劇場を夏期休暇期間以外の土・日曜日にも積極的に実施するなど,子どもたちの優れた舞台芸術を鑑賞する機会を充実する。
    A  学校教育の場において「心の教育」を推進する観点から,プロの公演を鑑賞するばかりでなく,子どもたち自身も参加する舞台芸術ふれあい教室を一層充実する。また,地域において子どもたちが自ら連帯感や表現する喜びを感じることができる文化活動の場を提供する。
    B  子どもたちが美術品や文化財に親しむことができるよう,土・日曜日に美術館・博物館等の文化施設を子どもたちに無料開放したり,それらの施設において子どもや親子を対象とした企画を充実する。
     C  子どもたちの文化に対する理解を助長し,その文化活動を支援するため,子ども向け文化庁ホームページを開設し,文化財や美術品について子ども向けに分かりやすく解説した情報提供を行う。
     D  ふるさとの文化や伝統に対する理解と誇りを持つことができるように,地域の民俗芸能や伝統技術などを子どもたちが体験するふるさと文化継承活動,史跡・埋蔵文化財等を活用した学習活動や自主的な文化財愛護活動について,これらの支援を行う。
 
(2) 地域における個性豊かな文化の創造
   地域の歴史的な文化の所産等を活かしながら,文化の香り高いまちづくりが全国各地において積極的に展開されるよう,その拠点づくりを推進する。
   また,発掘調査により出土した埋蔵文化財の地域における広範な活用や農村歌舞伎などふるさとの伝統文化の復活・再生支援を行う。
   さらに,特色ある地域文化の国際化及び独創性にあふれた芸術文化の創造のため,地域において国内外の芸術家が一定期間滞在して創作活動等を行うアーティスト・イン・レジデンスを推進する。
 
(3) 文化施設や文化団体の活性化支援
   関係機関・関係団体と協力しつつ,文化会館や美術館・博物館などの文化施設の活性化を支援していく。
   文化会館については,公立文化会館の自主事業の充実を図る観点から,現在,文化会館と芸術団体とのマッチングを図ることを主な目的として文化庁が(社)全国公立文化施設協会に舞台芸術の分野別のアドバイザーを置くこと等を内容とする芸術情報プラザ事業を委託しているが,文化会館との相談体制の一層の整備など同事業の充実を図る。また,現在,文化庁において実施している移動芸術祭等の巡回公演事業について,(社)全国公立文化施設協会の企画力の向上などの観点から,同協会への委託を検討する。
   さらに,我が国の文化活動を支える各種の文化団体や文化施設について,それぞれ相互の連携協力を促すとともに,これらの全国的な団体の活動を支援していく。なお,文化施設の全国的な団体の財政的基盤を確立し,活動の活性化を図るため,各文化施設の設置者の積極的な協力が望まれる。
   また一方,文化財に対する国民の理解の高まりを背景に,地域に密着した文化財保護活動を推進する観点から,地方公共団体と連携して,地域における文化財保護関係団体を支援していく。なお,全国的規模での文化財保護事業についても,国と民間文化財保護団体が適切に役割分担を行うとともに,効果的に連携を図りながら,推進していく。
 
(4) 伝統的な生活文化の継承と多彩な生活文化の振興
   生活環境が大きく変化する中で急速に失われつつある伝統的な衣食住等に係る生活文化等に対して適切な保護を図るとともに,日常生活に根ざした生活文化を振興するための支援を行う。
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