文化行政のあらまし
5. 文化による国際貢献と文化発信
第3章  文化立国の実現のための施策の体系
 
 国際化の進展に伴い,文化活動は国際的な広がりを持つようになっている。また,国際社会の中で,文化は一国の国民共通の拠りどころとして重要であるとともに,文化による国際貢献が求められている。
 そのため,文化の国際交流の拠点としての機能を充実強化し,優れた芸術創造活動や世界に誇るべき文化財などを海外に一層積極的に発信するとともに,我が国で開催される国際フェスティバルへの支援や人類共通の貴重な財産である文化遺産の保存・修復への協力など国際的な文化交流や文化による国際貢献を行う。その際,外務省・国際交流基金などとの連携をさらに緊密化し,文化庁がより重要な役割を果たすため,文化庁の国際交流・協力の機能を強化する。
 
(1) 芸術家や芸術団体の相互交流の機会の充実
   我が国が世界の文化の創造に貢献するとともに,芸術創造活動の水準の向上に資するため,芸術フェローシップ,アジア・アート・フェスティバル,芸術団体による海外公演,我が国で行われる舞台芸術の国際フェスティバルやアーティスト・イン・レジデンスを一層推進する。
 
(2) 映画芸術の交流
   日本映画については,近年各種の国際映画祭において高い評価が見受けられるようになったが,今後さらに,国際映画祭への出品支援の充実など映画芸術の国際交流を一層推進する。また,海外に保管されている我が国の貴重な映画フィルムの調査,保存・修復等については,我が国としても積極的に連携協力する。
 
(3) 伝統文化の国際交流の推進
   日本古美術品の海外展や伝統芸能等の海外公演を実施し我が国の歴史・文化に対する諸外国の理解の増進を図るとともに,地域の民俗芸能などの草の根レベルでの相互交流を促進することにより,文化財を通じた双方向の文化交流を推進する。
 
(4) 博物館・美術館・文化財研究所の相互交流の促進
   国立博物館・美術館等が,各館所蔵の文化財や美術品を中心に,館の特色を生かし海外で展覧会を開催するなどして相互の交流を行うことは,館の調査研究活動や展観活動の向上につながり重要である。また,途上国等の研修生の受入れ等人材養成に協力することも重要である。国立文化財研究所においては,研究水準の向上には国際的な研究者交流や共同研究が不可欠であり,その積極的な推進を図る。
 
(5) 文化財保護に関する国際協力の推進
   文化財は人類共通の財産であり,アジア・太平洋地域をはじめとする諸外国から寄せられている文化財保存修復協力への期待に応え,我が国が文化財保護の面で国際的な貢献を果たすため,文化財保護に関する国際協力を推進する。
   このため,在外の日本古美術品に対する保存修復協力を推進するとともに,国内の関係機関や地方公共団体等との連携を推進することにより,専門家の派遣,研修生の受入れ,共同研究,情報提供等による協力をより効果的に行う体制の整備を図る。
   また,海外において文化財赤十字活動などの文化財保護協力事業に取り組んでいる民間団体等と適切な役割分担の下で効果的連携を図るとともに,その活動に協力していく。
   さらに,ユネスコ等と連携して,主としてアジア・太平洋地域における世界的な文化遺産の保護について我が国の協力を推進するための新たな拠点の整備について検討を進める。
 
(6) 内外の日本語や日本文化の学習者等への支援
   その国の言語を理解することは,文化を理解する上での基盤であり,海外における日本語学習者や国内で生活する外国人が増加している状況の中で,海外や国内の各地域の日本語学習者の多様な期待に応えていくことが重要である。このため,情報化の進展に対応した学習内容・方法の充実を図ると同時に,国立国語研究所や国内外の大学,日本語教育機関等を結んだ日本語学習支援ネットワークを構築することによって連携協力を一層強化する。さらに,関係省庁や内外の関係機関等との連携協力を進め,日本文化の学習や研究に対する支援を充実していく。
 
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