国語施策・日本語教育に関して
開会(あいさつ)


司会(野山):皆さん,おはようございます。お待たせいたしました。ただいまより,平成15年度日本語教育大会(関西大会)を開催いたします。
 私は,今日この午前中の総合司会を務めさせていただきます文化庁の国語課で日本語教育調査官をしております野山広と申します。よろしくお願いいたします。それでは早速ですが,最初に開会にあたりまして,文化庁長官河合隼雄よりごあいさつ申し上げます。

河合文化庁長官:平成15年度の文化庁日本語教育大会(関西大会)の開会にあたりまして,一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は,大変たくさんの方が御参加くださいまして,誠にありがとうございます,また,この大会の開催に当たりましては,多大な協力をいただきました講師の先生方及び神戸大学の皆様に厚く御礼を申し上げます。
 私は昨年の1月に文化庁長官に就任しまして,文化芸術を盛んにして,日本中を元気に楽しくしていきたい,というふうなことを言っておりました。その中で真っ先に行いましたのが,文化ボランティアということの推進であります。文化ボランティアは,文化芸術に自ら楽しむとともに,他の人が楽しむのに役立ったり,お手伝いをするということであります。私はこれまで日本の各地で元気に文化ボランティア活動に取り組んでおられる多くの人に会ってまいりました。本日は阪神・淡路大震災を契機として,様々なボランティア活動が育っております神戸で,日本語ボランティアの方々とお会いできることを楽しみにしてまいりました。
 文化ということは,演劇とか音楽,芸術あるいは歴史的建造物や伝統芸能などの文化財だけではなくて,お茶を飲むのも,あるいはお菓子を食べるのも,みんな身の回りのことが全部暮らしそのものが大切な文化だと思っております。立ち居振舞いにも文化ということがあるといっても良いと思います。地域に暮らしている外国人の日本語学習のお手伝いをし,様々な方々との交流を通じて文化の多様性を再認識したり,異文化コミュニケーションなどを体験されることは,非常にすばらしい文化活動だと思っております。
 文化の求心力ということは,結局おもしろがる心だと思います。関西弁で言うと“おもろい”と言いますけれども,おもしろいからやろうという自主性みたいなものが必要だと思うんです。本日,この会場にお集まりいただいた皆様は,まさにそのような文化活動を実践されていると思います。
 私は,このような一人一人が持っている文化力を発揮すれば,日本社会に活力を取り戻せるのではないかと考えまして,関西元気文化圏というふうなことを言いまして,文化で関西から元気になろうという構想を提唱しております。といって,別に関西弁を公用語にしたらどうやという意味ではありません。この呼びかけに関西の自治体,経済団体などが積極的に答えてくださいまして,これまで約1,000件にも上がる市民参加活動が登録され,文化圏にふさわしい盛り上がりを見せております。
 文化庁でもこれから関西地区で国際文化フォーラム,あるいは伝統文化の祭典,人間国宝イン関西などの事業を行います。皆様もぜひ御参加いただきますようにお願いいたします。関西から日本の文化が力強く発信されることを心から期待しております。
 本日の日本語教育大会にも,この関西元気文化圏の趣旨を織り込んでおりまして,皆さんの持っておられる元気ですばらしい文化力を存分に発揮していただきたいと思っております。
 最後になりましたが,皆様方の今後のますますの御活躍を祈念いたしまして,開会のごあいさつといたします。どうもありがとうございました。

司会(野山):続きまして,神戸大学の野上智行学長にごあいさつをお願いいたします。よろしくお願いいたします。

野上神戸大学学長:おはようございます。今,御紹介にあずかりました神戸大学長の野上でございます。   本日はまさに文化の香り高いこの時期ではございますけれども,3連休の真っ只中にお集まりいただきまして,本当にありがとうございます。河合文化庁長官におかれましては,大変にお忙しいスケジュール*1の中をこのような形で鼎談として,後の御講演ということで,神戸大学でこのような会を催していただけること,本当にうれしく,神戸大学としても大変誇りに思っております。

*1 スケジュール:予定

 この日本語教育大会というものが,日本語教育に関するシンポジウム*1及び研究協議会を集中的に開催し,国民の日本語教育に対する理解の増進を図り,もって日本語教育の水準の向上,日本語教育の推進に資するということが目的のようでありますが,こういう会を神戸大学で催していただけるというのは,大変うれしく思います。といいますのは,神戸大学,この10月,神戸商船大学と統合いたしまして,11月公表する日本でも一番大きい総合大学として展開するわけですが,その中で,この10月から国際コミュニケーションセンターというのを創設いたしました。その国際コミュニケーションセンターと留学生センターとがタイアップ*2して,神戸大学の学生諸君のコミュニケーション能力を飛躍的に増大するというふうに考えてスタートさせたものであります。
 その国際コミュニケーションセンターというのは,学生自身の現代社会におけるコミュニケーション能力をいかに高めるかということを課題としているわけです。個々の能力とか関心とかにどういったプログラムを用意をしておくべきかということがございますけれども,とりわけそれを実現しようとしますと,日本語,このことが一番大きな課題となってまいります。どのような言語をどのような文化に理解をするにしましても,その言葉が話せるという状況になるにしましても,日本語といったもののきちんとした力を養っていかなければ,それを実現しないということで,我が大学にとっては日本語教育,日本語といったものはとても大切なものでございまして,そういう神戸大学のこれから進もうとしている大きな課題の中で,こういう会を催すことができること,本当にうれしく思っており,先週も神戸大学EUウィークというものを開催いたしました。この1週間,EU各国からのそれぞれの国の文化とそれから言語に関する著名な研究者等をお招きしまして,このフロアー*3で1週間シンポジウムを開催したわけですが,その講師の方々とちょっと裏で話しておりまて,私,昔ちょっと外国にいるときマザータング*4という言葉があるということを話しておりましたら,野上さん,マザータングという言葉だけではない,ファーザータング*5もあるんだといって。今いろんな国の家庭の中の母親が話す言葉と,父が話す言葉と,そして学校で話す言葉と,社会で通用する言葉と,全部違う。そういう中に子供たちが置かれているのに,どうやってコミュニティケーションを図るかと。これがEUの課題であるといいますけれども,これはEU各地の課題となって,私ども遠来の課題だというふうに思っております。
 日本にも来ている留学生諸君がこの日本という文化圏で生活しますので,日本語を話さなければならない。だけれど彼の御両親は例えばドイツ語圏であったりとかフランス語圏であったりとか,そのような方がおられる。あるいはマレー語であったり,様々なそういう方々をお迎えをして教育をやってるわけですが,留学初期には日本語教育プログラムを用意をして,留学生センターに来ていただいております。御家庭のそういう状況をクリア*6しないと,留学生諸君の日本の生活が保証できないということで,この留学生センターの中に,ボランティア組織として「こころネット」というボランティア組織をつくっていただいております。例えば,留学生の御家族の日本での生活を支え,日本語の能力を高めるために大いに力を発揮していただいております。
 本日のテーマもそのようなこともあるというふうにお聞きしていますので,ぜひ今日の会が有意義な形で実りの多い会となりますように,この日本語教育といったものが新しい出発をするきっかけとなる大切な会だったというふうに言っていただいたら,神戸大学として,会場校として,大変うれしく思います。どうぞ,今日一日いい会となりますように,心から祈念いたしております。
 それでは簡単ですけれども,ごあいさつにかえさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

司会(野山):非常にありがとうございました。
 先ほど,学長からも御紹介がありましたように,本日の日本語教育大会はボランティア活動としての日本語教育の在り方について考えるということをテーマとして行う予定であります。
 日本語ボランティア活動に焦点を当ててみますと,いろんな問題点がありますが,今日は特に地域の日本語教育について焦点を当て,その充実とか促進ということを考えてまいりたいと思ってい

*1 シンポジウム:公開討論会
*2 タイアップ:提携すること。
*3 フロアー:会場。
*4 マザータング:母語のこと。ただし,ここでは,母親が話す言葉として使っている。
*5 ファーザータング:ここでは,父親の話す言葉として使っている。
*6 クリア:課題を解決すること。


るわけです。そして,明日は先ほどもお話がありましたように,文化の日でもありますので,この大会の成果ができ得れば文化活動のはずみにもなるように,できればくつろいだ雰囲気で進めてまいりたいと考えていますので,皆さん御協力のほどよろしくお願いします。
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