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T 解説


【 重要無形民俗文化財の指定 】

津軽海峡つがるかいきょう及び周辺地域における和船製作技術わせんせいさくぎじゅつ

(1) 文化財の所在地 津軽海峡周辺地域
(2) 保護団体 津軽海峡及び周辺地域における和船製作技術保存会
(3) 文化財の概要
文化財の特色
 津軽海峡及び周辺地域で磯漁などに使用されてきたムダマハギやシマイハギなどの小型の和船を造る民俗技術で、同地域に見られる特徴的な和船の製作技術として、また我が国の船大工技術の変遷を知る上でも重要なものである。
文化財の説明
 この技術は、津軽海峡及び周辺地域において磯漁などに使用されてきたムダマハギやシマイハギなどの小型の和船を製作する技術である。ムダマハギは2枚の刳りぬいた木材を組み合わせてムダマと呼ばれる船底を作り、それに棚板をつけて造る船で、津軽海峡及びその周辺地域に特徴的に見られる和船の製作技術である。
 和船の構造は一本の木を刳りぬいた丸木船から板を合わせて造る構造船に発達してきたことが知られているが、このムダマハギは刳り抜き材と板材をあわせた準構造船で、丸木船から構造船に発展する過程に位置づけられる。また、我が国の造船技術の変遷を知る上でも重要な民俗技術である。

黒森神楽くろもりかぐら

(1) 文化財の所在地 岩手県宮古みやこ
(2) 保護団体 黒森神楽保存会
(3) 公開期日 毎年1月3日ほか
(4) 文化財の概要
文化財の特色
黒森神楽は、権現ごんげん様と呼ばれる獅子頭ししがしらを持って地域の家々を訪れ、厄払いや家内安全、供養、新築祝いなど様々な願いに応じた演目を演じ、また夜には民家の座敷などで、能や狂言と関わりのある演目などを演じる民俗芸能で、他に類例が少なく、芸能の変遷過程や地域的特色を示している。
文化財の説明
権現様を持って地域を廻る黒森神楽の巡行は、宮古市北方の市町村を廻る北廻りと、同市南方の町村を廻る南廻りが、隔年で行われている。黒森神社を1月3日に出発して戻るまで1ヶ月余りである。
 訪れた地域では、家々の戸口などで権現様を中心に多様な願いに応じて舞う。夜には地域の民家などに近所の人々が集まるなか、12ほどの演目を披露する。これを神楽と呼ぶことがある。まず神を招く歌と楽器伴奏がある。続いて前半は儀式的な舞が演じられ、後半は滑稽な内容のものや女性・武士を主人公にした演目などが演じられる。その内容は、日本神話や能に関わるもの、さらに狂言と同様にせりふ中心に展開されるものなど多彩である。舞は、動きが早く、時に高く跳躍するなど勇壮活発なものが多い。
 このように黒森神楽は、地域の家々を訪れ、厄払い、家内安全などの様々な願いに応じた演目、多彩な内容の夜神楽など、他に類例の少ない神楽であり、芸能の変遷過程や地域的特色を示す民俗芸能である。

月浜つきはまのえんずのわり

(1) 文化財の所在地 宮城県東松島市
(2) 保護団体 えんずのわり保存会
(3) 公開期日 毎年1月11日から16日
(4) 文化財の概要
文化財の特色
 年の初めに子供たちが農作物を荒らす害鳥を追い払う行事の典型的な事例であり、鳥追とりおいに先立って岩屋にお籠もりをしたり、子供たちによる伝承組織が年齢階梯的かいていてきな秩序に基づいてよく守られていることなどに特色がある
文化財の説明
 月浜のえんずのわりは、宮城県東松島市宮戸の月浜地区に伝承される小正月の鳥追い行事である。子供たちが1月11日から最年長の一番大将の指揮のもとに岩屋に籠もって共同生活を行い、14日の夜になると集団で家々を回る。子供たちの一行は、家の縁側や玄関先などで、松の棒を用いて地面を突きながら害鳥を追い払う唱え言をいい、一年の豊作や無病息災を祈願する。16日には、地区にある五十鈴いすず神社の境内で、幣束へいそくをつけた竹をもって害鳥を追う所作を行う。
 年頭に害鳥の駆除を願って行われるこの種の行事は、東北地方や北陸地方など東日本に多くみられ、子供たちを中心に伝承されてきたが、少子化等により行事の変容が進んでいる。そうした中で、本件は一番大将をはじめとする子供の組織が維持されており、唱え言もきちんと伝えているなど、鳥追い行事の典型的な事例と考えられ、我が国の年中行事や民間信仰の変遷を知る上で重要である。

上総かずさ掘りの技術

(1) 文化財の所在地 千葉県上総地方
(2) 保護団体 上総掘り技術伝承研究会
(3) 文化財の概要
文化財の特色
 水の確保という日常生活の必要から生み出された井戸の掘削技術であり、鉄製の道具や竹などの身近な素材を巧みに利用し、経済性に優れた簡便な技術であることや、技術習得が比較的容易であることから、一地方から広範に展開した技術であることなどに特色がある。
文化財の説明
上総掘りの技術は、千葉県の上総地方で考案された掘り抜き井戸の掘削技術である。ホリテッカンと呼ばれる細長い鉄管とそれを地中の孔に吊す竹製のヒゴを基本的な用具とし、用具の自重を利用しながら専ら人力を頼りに地下を掘り進み、地下水を掘り当てる技術である。
 上総地方の職人によって日本の各地に広められたことから、一般に上総掘りと呼ばれる。道具立てと技術の習得の容易さから、従来の掘り抜き井戸の掘削法に代わって短期間のうちに各地に普及した。
 また、石油や鉱物資源などの掘削にも利用され、近代産業の中でも一定の役割を果たした。
 日常生活を支えた伝統的な井戸の掘削技術として高く評価できるとともに、近代的な掘削に関わる機械技術導入の基盤形成に寄与した民俗技術としても貴重であり、我が国の掘削技術の変遷を知る上で重要である。

下平井しもひらい鳳凰ほうおうまい

(1) 文化財の所在地 東京都西多摩郡日の出町平井
(2) 保護団体 鳳凰の舞保存会
(3) 公開期日 毎年9月29日に近い土曜・日曜日
(4) 文化財の概要
文化財の特色
 下平井の鳳凰の舞は、「やっこの舞」と「鳳凰の舞」で構成される民俗芸能である。「鳳凰の舞」は、踊り手の扮装や踊り方について、他に類例を見ない希少な伝承である。また、「奴の舞」は、所作しょさや台詞まわしに歌舞伎の影響がみえ、近世に流行した都市の芸能を巧みに取り入れ地域の芸能として定着させたことを窺わせる。これらは芸能の変遷の過程を示し、かつ、地域的特色を有している。
文化財の説明
下平井の鳳凰の舞は、春日神社の祭礼時に演じられ、「鳳凰の舞」と「奴の舞」で成り立つ。
 「鳳凰の舞」は鳳凰4人、ささら4人、軍配1人、小太鼓1人の計10人の踊り手による。うち鳳凰と小太鼓が鳳凰の冠をつける。大太鼓を中心に三重の円を描くように位置した踊り手が、大太鼓を打ちつつ、勇壮活発にその周囲を踊りまわる。
 「奴の舞」は、奴姿の子供たちが、扇と木刀を持って演じる。踊りの場への入退場時に独特の所作で踊り、また、奴の台詞を披露する。台詞には忠臣蔵や菅原伝授手習鑑すがわらでんじゅてならいかがみを題材にしたものなどがある。台詞まわしは歌舞伎の荒事の長台詞を窺わせる。
 このように、本件は、鳳凰の冠や踊り方など希少な伝承であるとともに、台詞に歌舞伎の影響がみえるなど、芸能の変遷過程を示し、地域的特色を有する民俗芸能である。

犬山祭いぬやままつり車山やま行事

(1) 文化財の所在地 愛知県犬山市
(2) 保護団体 犬山祭保存会
(3) 公開期日 毎年4月第1土曜日とその翌日
(4) 文化財の概要
文化財の特色
 犬山型と呼ばれる車山の巡行を中心とする行事で、車山の上でからくり人形が披露される。また子供や若い衆が初めて車山に乗ることを初上がりと称し盛大なお披露目が行われるなど、民俗的特色のある行事である。
文化財の説明
 この行事は、愛知県犬山市に鎮座する針綱はりつな神社の祭礼に行われる行事で、13町内から車山が、3町内から練り物が出される。
 祭礼1日目は試楽しんがくと呼ばれ各町内が車山を曳いて針綱神社に行き、からくり人形を奉納した後、二手に分かれて夜を待ち夜車山よやまの行事が行われ、各町内に向かって巡行する。
 2日目は本楽ほんがくで、13町内の車山がそれぞれ傘鉾かさぼこを前に立てて針綱神社に集結する。3町内の練り物も奉納される。集結が終わると順にからくりと練り物を奉納し、二手に分かれて夜山車に備える。巡行の途中では何度か曳き手の力を競うどんでんが行われる。
 犬山祭の車山行事は、犬山型と呼ばれるからくり人形を乗せた車山の巡行と練り物を中心とする行事であり、祭に初めて参加する際の初上がりと呼ばれる儀礼が見られるなど、都市型祭礼の変遷を知る上で重要な行事である。

亀崎潮干祭かめさきしおひまつり山車だし行事

(1) 文化財の所在地 愛知県半田はんだ
(2) 保護団体 亀崎潮干祭保存会
(3) 公開期日 毎年5月3日・4日
(4) 文化財の概要
文化財の特色
 知多型と呼ばれる山車の巡行を中心とする行事で、祭りに参加することを確認する着帳ちゃくちょうと役割を行う行事、さらに車元くるまもと制度などの伝統的な祭祀さいし組織に特色がみられる。
文化財の説明
 この行事は、愛知県半田市亀崎地区の鎮守神前かみさき神社の祭礼である潮干祭に行われる。神前神社の氏子で組織される亀崎地区の5組から、からくり人形をのせた知多型と呼ばれる5台の山車が巡行する。
 祭り前日の夜には参加者の確認をする着帳と役を割り振る役割の儀礼が町内ごとに行われる。祭り当日は各組の山車が海浜曳かいひんひき下ろしを行い、その後からくり人形を披露して地区の西側にある尾張おわり三社に巡行する。その翌日は各組の山車が尾張三社に集合して巡行が始まる。前日同様に海浜曳き下ろしの後、神前神社に向かいからくり人形を披露する。その後、山車を曳き出して町内に向かい町内を巡行して行事が終わる。
 亀崎潮干祭の山車行事は、からくり人形をのせた知多型山車の巡行を中心とする行事で、着帳や役割、車元と呼ばれる役による祭の経費負担制度など特色ある祭祀組織を有しており、山車行事を中心とした祭礼の変遷を知る上で重要である。

東光寺とうこうじ鬼会おにえ

(1) 文化財の所在地 兵庫県加西市
(2) 保護団体 東光寺追儺式及び田遊び保存会
(3) 公開期日 毎年1月8日
(4) 文化財の概要
文化財の特色
 年頭にあたって鬼が災厄を払うという、修正会しゅしょうえに行われる鬼の行事の典型的な事例であり、田遊びの儀礼が伝承されていることや、子供たちが扮する鬼の子による棒打ち、鬼の花と呼ばれる作り物の奪い合いなど民俗的要素を豊富に伝えていることなどに特色がある。
文化財の説明
 東光寺の鬼会は、兵庫県加西市上万願寺町かみまんがんじちょうの東光寺で年頭に行われる修正会の行事として伝承されてきたものである。鬼会は、厄年の男性が扮する赤鬼と青鬼の二匹の鬼が登場し、松明や大きな鉾を振り回しながら堂内を巡って一年の災厄を払う。鬼が登場する前には、福太郎や福次郎などの諸役により、田起こしや種蒔きなど稲作の作業過程を模擬的に演じる田遊びが行われ、一年の豊作が祈願される。
 鬼は、赤鬼、青鬼の順で東光寺本堂の東西から6回ずつ計12回登場し、鬼の子と呼ばれる子供たちにはやし立てられながら外陣を巡る。最後に鬼が退場すると、参詣者が本堂前に飾られた鬼の花を奪い合う。
 兵庫県内では播磨から摂津にかけての地域に鬼の行事が数多く分布するが、田遊びの儀礼が結びついて伝承されている事例は本件のみであり、地域的特色も豊かで、我が国の民間信仰や年中行事の変遷を考える上で重要である。

別府明礬温泉べっぷみょうばんおんせん花製造技術はなせいぞうぎじゅつ

(1) 文化財の所在地 大分県別府市
(2) 保護団体 明礬温泉湯の花製造技術保存会
(3) 文化財の概要
文化財の特色
 この技術は、湯の花小屋という製造施設をつくり、内部で温泉の蒸気である噴気ふんき青粘土あおねんどを利用して湯の花の結晶を作り出すという特色ある民俗技術である。
文化財の説明
 この技術は、大分県別府市の明礬温泉で江戸時代より行われている湯の花を製造する技術で、製品である湯の花は、薬として飲用・塗布とふされたり、入浴剤として利用されてきた。
 作業は、湯の花小屋づくりと小屋の内部で湯の花を結晶化させる作業に大きく分けられる。湯の花小屋は、噴気を通した小屋こやどこのうえに藁や茅で屋根を葺いたもので、内部は噴気が一定の強さでまんべんなく噴き出し、温湿度を一定に保ちやすい構造になっている。その小屋床に青粘土を敷き固め、噴気の強さを調節して内部の温湿度を一定に保つことで、湯の花の結晶を作り出す。
 このように本件は、温泉の沈殿物などを採取するのではなく、湯の花小屋という特殊な製造施設をつくり、内部で噴気と青粘土を巧みに利用して湯の花の結晶を作り出すという全国でも類を見ない貴重な民俗技術である。



【 記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財の選択 】

中新田なかにいだ虎舞とらまい

(1) 文化財の所在地 宮城県加美郡加美町
(2) 保護団体 中新田火伏せの虎舞保存会
(3) 公開期日 毎年4月29日
(4) 文化財の概要
文化財の特色
 中新田の虎舞は、二人一組で虎に扮して、太鼓、笛を伴奏に舞う民俗芸能である。各地の虎舞や虎踊は、近松門左衛門ちかまつもんざえもん作『国性爺合戦こくせんやかっせん』の影響を受けた虎退治のものが多いが、「中新田の虎舞」はその影響が見られず、火伏せの祈願として独自の展開が見受けられ、芸能の変遷過程や地域的特色を示している。
文化財の説明
 中新田の虎舞は、毎年4月29日の祭礼で、数台の山車だしにそれぞれ太鼓を乗せ、笛、3〜6頭の虎がついて家々を回り、虎舞を舞う民俗芸能である。虎は、平たい感じの虎の頭に、虎縞の胴幕、束ねた割竹を虎縞の布で包んだ尾がある。舞は、「本調子の舞」、「岡崎の舞」、「寝覚めの虎の舞」の三種がある。家々で5〜6分程度舞い、街の中心の祭典本部では屋根の上でも舞われる。
 虎舞や虎踊りは虎退治のものが多いが、そのなかで中新田の虎舞は、火伏せ祈願の舞として独自の展開を示し、各家々や屋根の上で舞われるもので、芸能の変遷過程や地域的特色を示している。

最上もがみ地方の山の神の勧進かんじん

(1) 文化財の所在地 山形県最上地方
(2) 保護団体 なし
(3) 公開期日 毎年12月30日ほか
(4) 文化財の概要
文化財の特色
 年末や春先、中学生以下の男子が一番大将と呼ばれる年長者の指揮の下に、山の神の御神像を持って集落内の各家をまわって供物を集め、山の神を祀るという特色ある行事である。
文化財の説明
 山形県の最上地方では、年末の山の神の年取りの日や、山の神が里に降りてきて田の神になるといわれる春先に山の神の勧進と呼ばれる行事が行われている。集落の中学生以下の男子が山の神社に祀られている木製の山の神の御神像を持って、集落内の各家をまわり、山の神への供物を集め、御神像をお祀りする行事である。
 この行事は子供によって行われる行事であると同時に、最上地方の山の神信仰ひいては我が国の山の神信仰を知ることのできる行事である。

大日向おおひなたの火とぼし

(1) 文化財の所在地 群馬県甘楽かんら南牧なんもく
(2) 保護団体 大日向区
(3) 公開期日 毎年8月14日・15日
(4) 文化財の概要
文化財の特色
 盆に行われる先祖供養の火祭りで、子供たちが麦藁で作った大きな松明を持って山に登り、山上で火を焚くことや、その火を小さな松明に移して男性たちが橋の上や川原などで勇壮に振り回すことなどに特色がある。
文化財の説明
 大日向の火とぼしは、群馬県甘楽郡南牧村の大日向に伝承される盆の先祖供養の火祭りである。8月14日と15日の二日間、火とぼし山と呼ばれる集落近くの山に子供たちが登り、麦藁で作った大松明に点火して里に降り、その火を小さな松明に移して、子供をはじめ地区の男性たちが橋の上や川原で一斉に振り回す。15日の夜は、オネリと称して、行燈を持った子供たちを先頭に、地区の人たちが太鼓や笛を伴って、大日向地区にある安養寺あんようじまで練り歩く。
 この行事は、永禄年間の武田氏による上州攻めの史実に由来を求める説もあるが、先祖の霊を迎え送る盆行事としての性格が濃厚に認められ、典型的な盆の火祭りとして我が国の年中行事の変遷等を理解する上で貴重である。しかしながら、南牧川流域に広く分布していたこの行事も、現在では本件が群馬県内では唯一の伝承例となっている。

山中やまなか安産祭あんざんまつり

(1) 文化財の所在地 山梨県南都留郡みなみつるぐん山中湖村山中やまなかこむらやまなか
(2) 保護団体 浅間神社せんげんじんじゃ諏訪神社氏子すわじんじゃうじこ
(3) 公開期日 毎年9月4日・5日
(4) 文化財の概要
文化財の特色
 山中の安産祭は、安産祈願やそのお礼参りなどをする女性が遠方からもやってきて神輿みこし渡御とぎょに直接参加するという行事であり、安産信仰の一つのあり方をよく示している。
文化財の説明
 山中の安産祭は、山梨県南都留郡山中湖村山中の諏訪神社の例大祭に行われる行事で、9月4日と5日に行われる。
 渡御した神輿が御旅所おたまや本殿ほんでんに安置される際、安産祈願をする妊婦や子供が欲しい女性、お礼参りをする女性などが、神輿の担ぎ手にしがみついて列をなして神輿とともに臼や御神木ごしんぼくをまわる。女性たちは神輿が安置されるとお百度参ひゃくどまいりをする。
 女性たちは、山梨県東部の郡内地方ぐんないちほうをはじめ、静岡県の東海地方などからも来る。
 この行事は、子授けや安産祈願、またそのお礼参りをする女性が遠方からもやってきて、神輿の渡御に直接参加するというもので、安産信仰の一つのあり方をよく示している行事である。

蛭ヶ谷ひるがや田遊たあそ

(1) 文化財の所在地 静岡県牧之原市蛭ヶ谷ひるがや
(2) 保護団体 蛭ヶ谷田遊び保存会
(3) 公開期日 毎年2月11日
(4) 文化財の概要
文化財の特色
 蛭ヶ谷の田遊びは、豊作を祈願して、冬の時期に稲作作業の様子を演じる民俗芸能である。楽器の伴奏なしで、演じ手のとなえと所作によって演じられ、また稲作作業の工程を演じる前に周到に儀式的な演目を演じる。楽器を全く使用しない田遊びは、他に例がなく、芸能の変遷過程や地域的特色を示している。
文化財の説明
 蛭ヶ谷の田遊びは、2月11日の夜に、蛭児ひるこ神社境内に積み上げた丸太に点火し、その明かりのもとで演じられる。演じ手は、細長く切った白い紙を数多く束ねて垂らしたアヤガサ(綾笠)と呼ぶものを頭からかぶる。手拭いを頭からかぶり、おかめの仮面を付け振袖姿の者や菅笠すげがさをかぶり羽織姿の者なども加わる。
 はじめに、神社本殿で弓で的を射る所作や境内で剣や木刀などを持った儀礼的な演目が演じられる。その後、苗代なわしろを整えたり田植えや稲刈りなど稲作作業を表現した演目が演じられる。
 これらは、いずれも太鼓などの楽器を全く使用せず、演じ手の唱えと所作によって進行していく。
 このように蛭ヶ谷の田遊びは、豊作を祈願して、稲作作業の様子を演じる民俗芸能であるが、楽器の伴奏が全くないなど、芸能の変遷過程や地域的特色を示している。

白鳥しろとり虎頭とらがしらまい

(1) 文化財の所在地 香川県東かがわ市白鳥
(2) 保護団体 白鳥虎頭舞保存会
(3) 公開期日 毎年10月6日、8日
(4) 文化財の概要
文化財の特色
 白鳥の虎頭の舞は、大太鼓、かね、笛、拍子木を伴奏に、虎退治の様子を演じる民俗芸能である。これは人形浄瑠璃や歌舞伎で演じられた虎退治の演技などを取り入れられたと考えられ、芸能の変遷過程や地域的特色を示している。
文化財の説明
 白鳥の虎頭の舞は、10月の白鳥神社秋祭で、6日の神輿の御旅所おたびしょへの渡御とぎょ、8日の御旅所からの還御かんぎょに随行し、両日ともに発輿前、渡御途中の休憩時、着輿後の3回行われる。舞は、脇で大太鼓、鉦、笛、拍子木で伴奏されるなか、子供が扮する虎退治役の和唐内わとうないが、泰然として扇や刀などで虎をあしらい、最後に虎の頭を押さえ込んで終わる。
 虎を退治するという内容や、和唐内の衣裳、化粧などから、人形浄瑠璃や歌舞伎で上演された近松門左衛門ちかまつもんざえもん作『国性爺合戦こくせんやかっせん』などから工夫されたものと考えられるなど、芸能の変遷過程や地域的特色を示している。


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