「生活者としての外国人」に対する
 日本語教育の標準的なカリキュラム案データベースシステムについて


 「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案PDF版,A4サイズ,全162ページ)は,各地域において「生活者としての外国人」の実情に応じた日本語教育の内容について検討し,カリキュラムや教材を作成する際に参考となるものです。本データベースは,この冊子の「標準的なカリキュラム案で扱う生活上の行為の事例」に対応する学習項目の要素を,様々な条件で検索することができます。また,活用例,教材例のダウンロードもできます。

地域の実情・学習者の状況に応じた日本語教育プログラムを作成する際には,「1.域内の外国人の状況・ニーズ,地域のリソース等の把握」から始まり,「2.日本語教室の目的や設置場所等についての検討」,「3.具体的な日本語教育プログラムの作成」と進みます。(作成手順の図を参照のこと。)

 本データベースでは,このうち「3.具体的な日本語教育プログラムの作成」を支援します。

 日本語教育プログラムの作成手順の詳細については,「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案 活用のためのガイドブックPDF版,A4サイズ,全75ページ)を御覧下さい。

 

1.標準的なカリキュラム案とは…

 

【基本的な考え】

・「生活者としての外国人」に対する日本語教育は,対話による相互理解の促進及びコミュニケーション力の向上を図り,「生活者としての外国人」が日本語を用いて社会生活へ参加できるようになることを目指すものです。標準的なカリキュラム案は,その日本語教育の具体的な内容やプログラムを検討・作成する際の基となるものです。

 

【内容】

・生活の基盤を形成する上で必要不可欠であると考えられる生活上の行為の事例,そこで必要となる日本語学習の項目・要素,関連する社会・文化的な情報などから構成されています。

 

【想定している利用者】

・各都道府県,市町村における日本語教育担当者等,各地域において日本語教育のコーディネーター的役割を果たす人に活用されることを想定しています。そのほかにも,各都道府県,市町村において,日本語教育施策や事業の企画を行う人や,教室活動を行う人などに利用されることを想定しています。

 

2.言語や言語学習についての考え方

 

【言語について】

言語は,人が生活する上でとても重要なものです。思考力や想像力を高めたり,感情や考えを表現したり,また,周囲の人と触れ合いや語り合いをしたりする際に大きな役割を果たします。標準的なカリキュラム案では,言語がこうした多様な役割を果たしている様々な生活上の行為を扱います。

言語生活(言語環境)は話し言葉と書き言葉などから構成されています。標準的なカリ

キュラム案では,このうち書き言葉で用いる文字表記そのものの指導や学習には触れていません。しかし,日常生活で接する日本語の書き言葉は,漢字・平仮名・片仮名・アルファ

ベットなど数種の文字体系で書き表され,複雑な表記の姿を見せていることに留意する必要があります。

 

【言語学習について】

 標準的なカリキュラム案は「生活者としての外国人」が「日本語を用いて生活上の行為を行えるようになること」を目指していますが,そのための言語学習は学習者が生活の中で実際に必要性を感じて初めて意識され,進むものです。この意味で,学習者自身が生活の中で実際に必要性を感じ,「できるようになりたい」と望む生活上の行為を適切に選ぶことが積極的な言語学習につながります。同様に,話し言葉と書き言葉についても,学習者が生活上の必要性を感じる部分を適切に選択することが必要です。

 

【教室活動について】

 言語学習を促進するためには,学習者が必要性を感じ,「できるようになりたい」と望む生活上の行為と教室活動とがつながっていることが不可欠です。具体的には,実際に生活上の行為を体験してみるほか,実物やイラスト,写真を活用し,さらに学習者が実際のコミュニケーション行動を行う行動中心の教室活動を展開することが有効です。

 また,言語学習の過程には,学習者の多様な側面(興味関心・学習スタイル等)が関わります。学習者の多様な側面に配慮した教室活動を行うためにも,地域における日本語教育の専門家と協働し,適切なプログラムを作成することが学習者の言語学習の進展や充実につながります。

 

【日本語教室から地域社会へ】

教室活動では学習者の主体性を重視する必要があります。主体的かつ自律的な態度が日本語学習に対する自信と日本語力を高めることにつながり,学習者自ら日々の生活を通じて学び続ける生涯学習へとつながっていきます。

また,教室を離れても主体的かつ自律的に日本語学習が続けられるという自信を持ってもらうことが大切です。そのため,日本語学習が外国人にとって地域社会で生きていくための基盤となるよう,学習の過程においても地域住民との協働活動をできる限り取り入れ,教室活動が,日常生活における対等な人間関係,さらにはネットワークの構築につながっていくよう工夫することが必要です。

新たに社会に参入する「生活者としての外国人」にとって,日本語習得はそれ自体が最終目標ではありません。獲得された意思疎通の手段により,人とつながること,言葉の壁によって発揮できていなかった自分らしさや力を取り戻したり,発揮できたりするようになること,そして社会の一員として自立し,社会生活のあらゆる領域に参画すること,つまり「エンパワメント」を実現することによって初めて目標に到達したと言うことができます。そのことをしっかりと見据えて,地域における具体的なプログラムを構築することが大切です。
 

3.標準的なカリキュラム案を活用したプログラム作成手順