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著作権制度の概要

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4.著作者の権利


(3)権利の内容

「著作者の権利」には、人格的利益 (精神的に「傷つけられない」こと)を保護するための「著作者人格権」と、財産的利益 (経済的に「損をしない」こと) を保護する「著作権(財産権)」の二つがあります。

1 「著作者人格権」と「著作権 (財産権)」

 「著作者人格権」と「著作権(財産権)」は、著作物が創作された時点で「自動的」に付与されます。したがって、権利を得るための手続は、一切必要ありません (無方式主義 (第17条第2項))。

 「著作者人格権」は、著作者が精神的に傷つけられないようにするための権利であり、創作者としての感情を守るためのものであることから、これを譲渡したり、相続したりすることはできないこととされています (第59条)。

 一方、財産的利益を守るための「著作権 (財産権)」は、土地の所有権などと同様に、その一部又は全部を譲渡したり相続したりすることができます。 したがって、通常、著作物が創作された時点では、「著作者」(創作者)と「著作権者」(「著作権(財産権)」を持つ人)は同一ですが、「著作権 (財産権)」が譲渡されたり相続されたりすると、著作者と著作権者は異なることになります(第61条)。

 また、「著作権(財産権)」が譲渡されても、「著作者人格権」は引き続き「著作者」に残っていますので、「著作権(財産権)を持っている人」と契約する場合には、その人は「著作者」なのか、又は「著作権(財産権)を譲り受けた人」なのかを、よく確認することが必要です。それによって、著作者人格権を持つ人の了解を得なければならない利用について、「誰の了解を得るか」が違ってくるからです。

2 「著作者人格権」の具体的な内容

ア 公表権(無断で公表されない権利)

 まだ公表されていない自分の著作物について、それを「公表するかしないかを決定できる権利」(無断で公表されない権利)です(第18条)。

 ただし、「未公表の著作物」の「著作権 (財産権)」を譲渡した場合や、「美術の著作物の原作品」や「写真の著作物で未公表のものの原作品」を譲渡した場合などには、著作物の公表に同意したものと推定されます。

イ 氏名表示権(名前の表示を求める権利)

 自分の著作物を公表する時に、「著作者名」を「表示するかしないか」、表示するとすれば「実名」(本名)か「変名」(ペンネーム等)かなどを決定できる権利です(第19条)。

 ただし、著作物の利用目的や態様に照らして、著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるときは、公正な慣行に反しない限り、著作者名の表示を省略することができます。例えば、ホテルのロビーでBGMを流している場合に、いちいち作曲者名をアナウンスする必要はありません。

ウ 同一性保持権(無断で改変されない権利)

 自分の著作物の内容や題号を、自分の意に反して無断で「改変」(変更・切除等)されない権利です(第20条)。

 ただし、著作物の性質やその利用の目的・態様に照らしてやむを得ないと認められる場合は除かれます。例えば、印刷機の性能の問題で色がうまく出ないとか、「歌手の歌が下手」などという場合が、これに当たります。

3 「著作権(財産権)」の具体的な内容

 著作権の対象となるのは「行為」であって、原則として「方式」は問いませんので、以下のすべての「行為」について、「アナログ方式」の場合も「デジタル方式」の場合も、さらには将来開発されるかもしれない新たな方式の場合も、著作権法ではすべてカバーされています。

<コピーを作ることに関する権利>

複製権(無断で複製されない権利)

 手書、印刷、写真撮影、複写、録音、録画、パソコンのハードディスクやサーバーへの蓄積など、どのような方法であれ、著作物を「形のある物に再製する」(コピーする) ことに関する権利で、すべての著作物を対象とする最も基本的な権利です。「生」のものを録音・録画・筆記するようなことも含まれます(第21条)。

 なお、脚本等の演劇用の著作物の場合は、それが上演・放送されているときに録音・録画することも、複製に当たります。

 また、建築の著作物に関しては、その「図面」に従って建築物を作ることも、複製に当たります (建築に関する図面自体は、「図形の著作物」として保護されます。)。


<コピーを使わずに公衆に伝えること(提示)に関する権利>

ア 上演権・演奏権(無断で公衆に上演・演奏されない権利)


 著作物を公衆向けに「上演」(演劇等の場合)したり、「演奏」(音楽の場合)したりすることに関する権利です(第22条)(「公衆」の定義については、下記の「(注)「公衆」とは?」を参照)。

 上演・演奏には、CDやDVDなどの「録音物・録画物を再生すること」や、著作物の上演・演奏を離れた場所にあるスピーカーやディスプレイに送信して見せたり、聞かせたりすることも含まれます。

イ 上映権(無断で公衆に上映されない権利)


 著作物を、機器(テレビカメラ等)を用いて、公衆向けに「上映」する(スクリーンやディスプレイに映し出す)ことに関する権利です(第22条の2)。

 この権利は、映画の著作物に限らず、すべての著作物が対象となりますが、「機器」を用いた場合に限定されているので、「現物を直接見せる」という場合は含まれません(「展示権」を参照)。

 なお、インターネットを通じていったん入手した「動画」や「静止画」をディスプレイ上に映し出して公衆に見せる行為(通常は、いったんパソコン内に固定されている)も、上映に当たります。

ウ 公衆送信権(無断で公衆に送信されない権利)


 公衆送信権は、著作物を公衆向けに「送信」することに関する権利(第23条)であり、公衆向けであれば、無線・有線を問わず、あらゆる送信形態が対象となります。具体的には、次のような場合が含まれます。

(a) テレビ、ラジオなどの「放送」や「有線放送」
(著作物が、常に受信者の手元まで送信されているような送信形態)
(b) インターネットなどを通じた「自動公衆送信」
(受信者がアクセスした(選択した)著作物だけが、手元に送信されるような送信形態。受信者が選択した著作物を送信する装置(自動公衆送信装置=サーバーなど)の内部に著作物が蓄積される「ホームページ」のような場合と、蓄積されない「ウェブキャスト」などの場合がある)
(c) 電話などでの申込みを受けてその都度手動で送信すること
(ファックスやメールを用いるもの。サーバー等の機器によってこれを自動化したものが (b)の場合。)

 上記(b)の場合、この権利は、サーバー等の「自動公衆送信装置」からの「送信」だけでなく、その前段階の行為である、「自動公衆送信装置」への「蓄積」(いわゆるアップロード)や「入力」(ウェブキャストなど蓄積を伴わない場合)などにも及びます。こうした行為により、蓄積・入力された著作物は、「受信者からのアクセス(選択)があり次第『送信』され得る」という状態に置かれるため、これらの行為は「送信可能化」と総称されています。

 つまり、無断で「送信可能化」すると、まだ、受信者への送信が行われていなくても、権利侵害となるわけです。

 また、この公衆送信権は、学校内などの「同一の構内」においてのみ行われる「送信」は、対象とはなりません。したがって、学校の校内放送では音楽を自由に流すことができますが、校内LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)を使う場合は、サーバー等に「コピー」ができますので、コピーすることについて著作権者の了解を得ることが必要となります。

エ 公の伝達権(無断で受信機による公の伝達をされない権利)

 公衆送信された著作物を、テレビなどの受信装置を使って公衆向けに伝達する(公衆に見せたり聞かせたりする)ことに関する権利です(第23条)。

 この権利については、後に述べる(「8.著作物等の「例外的な無断利用」ができる場合/7「非営利・無料」の場合の「上演」「演奏」「上映」「口述」「貸与」等関係」参照)大幅な「例外」が設けられていますが、テレビ受信機などによって番組を公衆に見せる行為は、原則としては無断で行ってはならないこととされています。

オ 口述権(無断で公衆に口述されない権利)

 「言語の著作物」を、朗読などの方法により口頭で公衆に伝達することに関する権利です(第24条)。「口述」には、CDなどに録音された著作物を再生することや、著作物の口述を離れた場所にあるスピーカー等に送信して伝達することも含まれます。

カ 展示権(無断で公衆に展示されない権利)

 「美術の著作物の原作品」と「未発行の写真の著作物の原作品」のみを対象として付与されている権利で、これらを公衆向けに「展示」することに関する権利です(第25条)。

 原作品とは、美術の著作物にあっては画家が描いた絵そのもののことです。 また、写真については、ネガは原作品ではなく、印画紙にプリントされたものが原作品となります。

 なお、通常、絵画が売買されても、売主から買主へ移転するのは、物としての絵画の「所有権」だけで、「著作権」は、著作権を譲渡するという契約が行われていなければ、著作権者が引き続き持っています。

 したがって、物としての絵画を購入しても、著作権者に無断で「コピー」や「展示」は原則としてできないことになりますが、「美術の著作物等の原作品の所有者による展示」については、後に述べる例外があります(「8.著作物等の「例外的な無断利用」ができる場合/9「美術品」「写真」「建築」関係」参照)。

<コピーを使って公衆に伝えること(提供)に関する権利>

ア 譲渡権(無断で公衆に譲渡されない権利)


 著作物を公衆向けに譲渡することに関する権利です(第26条の2)。

 この権利が設けられたのは、主として、無断で海賊版を大量に作った侵害者が、これを全部第三者に一括して転売してしまった場合に、その第三者(海賊版作成者ではない)による販売を差し止められるようにするためです。したがって、次のような限定がかけられています。

 第一に、「いったん適法に譲渡されたもの」については、権利がなくなります。例えば、店頭で売られている本やCDを買った場合、この権利は既に消滅していますので、転売は自由です。

 第二に、この権利が働くのは「公衆」向けに譲渡する場合のみですので、「特定少数の人」へのプレゼントのような場合には、この権利は働きません。

 第三に、後に解説する「例外」によって「例外的に無断でコピーできる場合」で、公衆への譲渡が当然想定されているような場合(例:教員による教材のコピー)には、譲渡についても例外とされ、無断でできることとされています。

イ 貸与権(無断で公衆に貸与されない権利)

 著作物を公衆に「貸与」することに関する権利です(第26条の3)。

 貸与には、どのような名義・方法でするかを問わず、貸与と同様の使用の権原を取得させる行為、例えば買戻特約付譲渡等も含まれます。公共図書館からの館外貸出しの場合など、「非営利目的で無料」の貸与については、後に解説する例外があります(「8.著作物等の「例外的な無断利用」ができる場合/7「非営利・無料」の場合の「上演」「演奏」「上映」「口述」「貸与」等関係」参照)。

 なお、図書館などでの館内貸出しは、著作権法上は、「貸与」には該当しません。

また、書籍・雑誌については、(主として楽譜により構成されているものを除いて)当分の間は貸与権は働かないこととされていますので、貸本業等は、当分の間、権利者に無断で行うことができます(附則第4条の2)。

 平成16年の著作権法改正により、平成17年1月1日からの記述は次のようになります。

 「貸与権」は昭和59年の著作権法改正により導入された権利ですが、当時の貸本業は零細な事業者が多く、事業者数もそう多くなかったことから、書籍・雑誌の貸与は、(主として楽譜により構成されているものを除いて)当分の間は貸与権が働かないこととされました。しかしながら、平成15年頃から大手の事業者が貸本業に参入してきたことなどから、平成16年に著作権法が改正され、平成17年1月1日からは、他の著作物と同様、書籍等の貸与についても原則として権利者に無断でできないことになりました。

ウ 頒布権(無断で公衆に頒布されない権利)

 「映画の著作物」(映画、アニメ、ビデオなどの「録画されている動く影像」)の場合に限り、「譲渡」と「貸与」の両方を対象とする「頒布権」という権利が付与されています(第26条)。

 「頒布」とは公衆向けに「譲渡」したり「貸与」したりすることですが、「映画の著作物」の「頒布権」は、譲渡・貸与する相手が公衆でない場合(特定少数である場合)であっても、公衆向けの上映を目的としている場合には、権利が及ぶ「頒布」に該当することとされています。

 この「頒布権」のうち譲渡に関する部分は、「譲渡権」の場合とは異なり、「いったん適法に譲渡された後には消滅する」という規定がありません。この強力な権利は、ビデオなどが出現する前の「劇場用映画」の配給形態を前提としたものであり、「劇場用映画」以外の「公衆に提示することを目的としない」ような映画の著作物(「ビデオ・DVD」や「ゲームソフトの影像部分」など)については、いったん適法に譲渡された後には、この「頒布権」も(「譲渡」については)消滅します(平成14年4月の最高裁判決)。

<二次的著作物の創作・利用に関する権利>

ア 二次的著作物の創作権(無断で二次的著作物を「創作」されない権利)

 著作物(原作)を、翻訳、編曲、変形、脚色、映画化などにより、創作的に「加工」することによって、「二次的著作物」を創作することに関する権利です(第27条)。

 これらのことを行うためには、「原作」の著作者の了解を得ることが必要です。したがって、例えば、Aさんの原作をBさんが翻訳して出版したい場合、BさんはAさんの了解を得なければなりません。

イ 二次的著作物の利用権(無断で二次的著作物を「利用」されない権利)

 自分の著作物(原作)から創られた「二次的著作物」をさらに第三者が利用すること(「二次的著作物」を利用すること)に関する原作者の権利です(第28条)。

 例えば、Aさんの原作をBさんが(Aさんの了解を得て)翻訳した場合で、この翻訳物(二次的著作物)を、さらに第三者であるCさんがコピーするとします。この場合、この翻訳物の著作者はBさんですので、CさんはBさんの了解を得る必要があります。さらに、原作者であるAさんが、この「(自分の著作物の)二次的著作物の利用に関する権利」を持つため、Cさんは、Aさんの了解も得なければならないわけです。

図・二次的著作物の利用権

)「公衆」とは?
 「公衆」とは、「不特定の人」又は「特定多数の人」を意味します。相手が「ひとりの人」であっても、「誰でも対象となる」ような場合は、「不特定の人」に当たりますので、公衆向けになります。

 例えば、「上映」について言うと、1人しか入れない電話ボックス程度の大きさの箱の中でビデオを上映している場合、「1回に入れるのは1人だが、順番を待って100円払えば誰でも入れる」というときは「公衆向けに上映した」ことになります。 また、「送信」について言えば、ファックス送信などの場合、1回の送信は「1人向け」ですが、「申込みがあれば『誰にでも』送信する」というサービスを行うと「公衆向けに送信した」ことになります(これを自動的に行っているのがサーバーなどの自動公衆送信装置)。

 さらに、1つしかない複製物を「譲渡」「貸与」するような場合、「特定の1人」に対して、「あなたに見て(聞いて)欲しいのです」と言って渡す場合は「公衆」向けとはなりませんが、「誰か欲しい人はいませんか?」と言って希望した人に渡した場合は、「不特定の人」=「公衆」向けということになります。

 「特定多数の人」を「公衆」に含めているのは、「会員のみが対象なので、不特定の人向けではない」という脱法行為を防ぐためです。何人以上が「多数」かはケースによって異なると思われますが、一般には「50人を超えれば多数」と言われています。

 「不特定」でも「特定多数」でもない人は「特定少数の人」ですが、例えば「電話で話しているときに歌を歌う」とか「子どもたちが両親の前で劇をする」といった場合がこれに当たり、こうした場合には著作権は働きません。

(参考) プロバイダ責任制限法について
   他人の著作物の「放送」「有線放送」「インターネットでの送信」などは、権利者に無断で行ってはならない行為です。これらのうち「放送」などの場合は、「誰が無断で放送しているのか」ということの確認が比較的容易ですが、インターネットが使われた場合は、「誰がサーバー等への蓄積・入力をしているのか」ということを確認するのが極めて困難です。

 このような場合権利者は、特定が可能な「サーバー管理者(プロバイダ)」の所へ行って、「私の権利が侵害されているので、サーバーから削除してくれ」とか、「自分で相手を訴えるので、誰が蓄積・入力しているのか教えてくれ」などと要求することになります。

 しかしプロバイダの側は、「利用者(蓄積・入力する人)との契約」に基づいてサーバーを貸しているため、利用者に無断で削除すると、利用者の側から契約違反で訴えられる可能性があります。また、利用者の名前を教えてしまうと、逆にプライバシー侵害や通信の秘密の漏洩に問われる可能性があります。

 このような事態に対応するため、「プロバイダの責任の範囲」(どのような行動をとれば、利用者・権利者の双方から訴えられずにすむかということ)を定めたのが、いわゆる「プロバイダ責任制限法」です(平成14年5月施行。正式名称「特定電気通信役務提供者の賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」)。

 インターネットを通じた権利侵害は、「著作権侵害」だけではなく、「プライバシー侵害」「肖像権侵害」「名誉毀損」など、様々な場合があり得るため、この法律は、これらすべてを対象とするものとして定められました。

 その内容としては、第一に、「私の権利が侵害されているので、サーバーから削除してくれ」という要望が権利者からあった場合については、「権利侵害が明らかである場合」と「明らかでない場合」を分けています。前者の場合には、プロバイダは、その情報を直ちに削除しても利用者から訴えられることはなく、逆に削除しないと権利者から訴えられる立場に立つことになります。また、後者の場合には、いったん利用者に通知するなどの手続きが定められています。

 第二に、「自分で相手を訴えるので、誰が蓄積・入力しているのか教えてくれ」という要望については、この法律で新たに「発信者情報開示請求権」というものが権利者に与えられました。これまでは、このような要望をプロバイダや裁判所に対して行っても、通信の秘密等との関係で「門前払い」になることが多かったようですが、今後はこうした請求を堂々と行えるようになりました。実際に「開示」がなされるかどうかは、最終的には裁判所の判断によりますが、迅速な決定が行われることが期待されます。


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