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過去の国際文化フォーラム
平成19年度 第5回

開会式:基調講演 鼎談「文化の多様性」
〜文化の力が世界をつなぐ〜

シルクロードを経て花開いた天平文化の地「奈良」。国際的な文化交流のもたらす影響や役割について考え、「文化の多様性」の意義について国内外に発信する。さらに、世界に影響を与える日本文化に焦点をあて、その広がりと魅力について国内外の視点で議論していく。
開催概要レポート

平成19年11月10日(土曜日)13時30分〜17時30分
奈良県新公会堂 能楽ホール (奈良市春日野町)


 「文化の多様性」を共通テーマに、内外の著名な文化人や芸術家が文化芸術をとりまく世界の最新情報と課題に関する知見について交換する「文化庁 第5回国際文化フォーラム(文化庁、日本経済新聞社、NHK等主催)が平成19年11月10日より始まった。初日の10日は奈良県新公会堂を会場として、秋篠宮同妃両殿下の御臨席の下、開会式、基調講演・鼎談及びレセプションが開催された。

 はじめに、柿沼康二氏(書家)による書のパフォーマンス映像に合わせて、舞台脇で近藤等則氏(音楽家)による力強い ジャズ・トランペット演奏が行われた。

 続いて青木保文化庁長官による主催者挨拶の後、前韓国文化観光部長官で俳優のキム・ミョンゴン氏と国内外で高い評価を受ける現代美術家の村上隆氏による基調講演が行われた。

 キム氏は「創造、疎通、共存を通じてみた文化の多様性」というテーマの下、自身の文化観光部長官としての経験に触れながら、「クァンデ(廣大)」精神の重要性を説いた。「クァンデ」とは、韓国の伝統芸能を担っていた芸能者のことを指し、決して高い身分ではなかった彼らは、人間に対する深い愛情とその創造性で韓国の文化の発展を担ってきた。情報があふれ、個人主義が蔓延している今日においてこそ、その国の歴史など雑多なものが包含された神話等の物語の重要性が増していることにも言及された。

 村上氏は「『スーパーフラット』文化を輸出せよ!」というテーマの下、ルイ・ヴィトンとのコラボレーションにより作成したアニメーション作品を上映するなど、世界を意識した芸術活動を展開している自身の経験についてプレゼンテーションを行った。その中で、村上氏はキム氏の「クァンデ」精神を引用しつつ、自身が作品の素材とする日本のアニメ、漫画カルチャーはフラットな(階級のない)日本社会のなかでこそ生まれた文化であり、これらを西欧の高級ブランドなどに象徴される階級社会の中で現代美術として発表することの意義について言及した。

 正倉院復元楽器を使った天平楽府による演奏をはさみ、「世界に広がる日本文化」と題して、村上隆氏、ハーバード大学社会人類学教授のヌール・ヤルマン氏、青木保長官による鼎談が行われた。トルコ出身のヤルマン氏は、トルコやイギリス等で体験した日本の文化芸術との出会いのエピソードを交えながら、日本の文化が世界に大きな感動を与え影響を及ぼしてきた旨紹介した。さらに、日本の文化の純粋性は、美を愛する心を追究するところにあり、この点に日本文化が世界に対して根強く影響を与えてきた理由があると説いた。村上氏は、日本の文化は欧米における文化のある情報ソース(源)として影響を与えてきたが、これからは、自ら意識的にそのソースを見直し、世界において再利用して転化していく機会を自身でつくっていくべきだと説いた。アートに商品的な価値がつく現代における文化の「権利問題」の重要性について、三者で様々な観点から議論された。また、芸術は平等主義的な社会において、平和運動等をはじめ政治的なメッセージを発する手段として重要な意味を持つ旨語られた。

 今回の基調講演及び鼎談には秋篠宮同妃両殿下の御臨席を賜り、約290名の傍聴者が集まり熱心に講演・鼎談に聞きいっていた。また、引き続いて行われた開会レセプションにおいても、秋篠宮同妃両殿下の御臨席を仰ぎ、秋篠宮殿下からお言葉を賜り、関係者と和やかに御歓談された。

 ※基調講演及び鼎談の全文は、ダウンロードができます。
 報告書(PDF形式・25M)
基調講演 キム・ミョンゴン氏 柿沼康二氏の書を背景に行われた鼎談の様子 基調講演 村上隆氏
基調講演 キム・ミョンゴン氏 柿沼康二氏の書を背景に行われた鼎談の様子
(左より青木長官・村上氏・ヤルマン氏)
基調講演 村上隆氏
【参加者】
キム・ミョンゴン(前韓国文化観光部長官/韓国)
村上隆(アーティスト)
ヌール・ヤルマン(ハーバード大学社会人類学及び中東地域学教授/トルコ)
青木保(文化庁長官)
天平楽府(正倉院復元楽器オーケストラ)
近藤等則(トランペッター、音楽家)
柿沼康二(アーティスト、書家)

※所属・役職は開催当時のものです
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