文学

解説

 日本では、古典文学と呼ばれる史書、歌集、随筆、浮世草子などさまざまな表現方法を用いた独自の文学作品が古くから多数生み出されてきました。そのなかには、小説『源氏物語』(紫式部著)、俳諧紀行『奥の細道』(松尾芭蕉著)など海外に紹介されている作品も多くあります。 明治時代になると、開国により西洋の近代小説の理念が流入し、日本文学も大きな影響を受けます。現代につながる日本の近代文学がはじまったのもこの頃からと言われています。現在では、純文学から大衆小説・エンターテインメント小説まで幅広いジャンルの作品が生み出されています。こうしたなかから、『窓ぎわのトットちゃん』(1981年発売(日本語) 黒柳徹子著)の英語版累計販売部数が19万部を超えているほか、『宮本武蔵』(1936年-1939年発売(日本語) 吉川英治著)の英語版も12万部を超えるなど、海外でロングセラーとなっている作品も生まれています。また、1968年に川端康成、1994年に大江健三郎がノーベル文学賞を受賞し、海外でも高い評価を受ける作家も登場しています。

宮本武蔵

講談社英語文庫
『宮本武蔵』
吉川英治 著
講談社インターナショナル刊

窓ぎわのトットちゃん

講談社英語文庫
『窓ぎわのトットちゃん』
黒柳徹子 著
講談社インターナショナル刊

トピック

ケータイ小説の登場

 近年では、携帯電話を利用したインターネット上に展開する“ケータイ小説”が話題を集め、10~20代の若い書き手が多数登場しています。なかには『Deep Love アユの物語』(Yoshi著)、『電車男』(中野独人著)、『恋空』(美嘉著)など100万部を超えるベストセラーも登場し、テレビドラマ化、映画化を遂げるなど、メディアミックスが話題となった作品もあります。


海外で流通する日本の文学作品の広がり

 かつて海外で流通する日本の文学作品は、純文学を中心に一部の日本研究者を読者としていたのが実状でしたが、近年では純文学にとどまらず、一般向けに幅広いジャンルの作品が発行されるようになってきています。そうしたなかから、2003年に翻訳版が出版された桐野夏生の作品『OUT』が、2004年の第53回エドガー賞にノミネートされ、最終候補に残るという快挙を成し遂げるといった例も出ています。海外向けの流通は、日本の出版社が関与するケースが大半でしたが、最近は海外の出版社から直接本を出版する日本人作家も登場しています。

このページのTOPへ

業界構造・商習慣

文学業界の構造
 日本の書籍の流通は、約4,000社ある出版社を通じて出版社系列による直販ルートと出版社から約80社の取次店(出版卸)を通じて書店、コンビニ、キヨスクなどの小売網に流通するルートに大きく二分されます。ただし、取次店(出版卸)は、日本出版販売トーハンという二大取次店が7割近いシェアを占めているのが特徴です。

 海外に向けて流通する場合は、海外出版社との提携して販売するルートと日本の出版社によって設立された海外出版社を経由して販売するルートとの2つのルートがあります。国内では海外向けの出版を手掛けている代表的な団体としては、老舗であり最大手である講談社インターナショナル、日本文学に特化したヴァーティカルなどが挙げられます。そのほかにも、2002年に文化庁が明治時代以降の日本の優れた文学作品を海外に紹介することを目的に「現代日本文学の翻訳・普及事業」(Japanese Literature Publishing Project :JLPP)を開始しており、日本の文学作品を英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語の4ヶ国語に翻訳、出版しています。2008年時点で約70冊が上記のいずれかの言語に翻訳され世界各国の書店で一般向けに販売されているほか、図書館や大学などの施設に寄贈されています。

このページのTOPへ

各種データベース

    • アーティスト・作品等データベース
  • ジャパン・コンテンツ・ショーケース/Japan Content Showcase
  • 現代日本文学の翻訳・普及事業/Japanese Literature Publishing Project
  • 日本文学翻訳書書誌検索/Japanese Literature in Translation Search