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平成19年度[第11回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品


○アート部門

〈大賞〉 「nijuman no borei」 作者:Jean-Gabriel PERIOT[映像, フランス]

「nijuman no borei」 作者:Jean-Gabriel PERIOT[映像, フランス]

©Envie de Tempete Productions

贈賞理由
本作は, 1915年に広島県物産陳列館として開館し, 被爆によって廃墟となった原爆ドームの約90年の歩みを, スティール写真1,000枚をアニメーションのコマ取りのように重ねてつくった時間のコラージュである。ドーム(これは半球体であるがゆえにどの方向からでもそれと同定できる)を中心に, その周辺の変化―建設, 破壊, 復興の過程のドラマが展開される。主人公であるドームは生き物のようにまわりと関わりながら変貌する。過去に幾度もとりあげられ, クリシェに陥りかねないテーマを, ペリオ監督は「作品をつくり続けることで新たな視点を与え感動を引き出すことができる」と核廃絶へのメッセージの継続の重要さを語る。今メディアアートに何ができるか, 多くのドキュメンタリーとアートが交錯する試みがなされている現在, 静かだが深い感銘を与える作品である。
  • 〈優秀賞〉 「Se Mi Sei Vicino (If you are close to me)」 作者:Sonia CILLARI[インタラクティブアート, オランダ]
  • 〈優秀賞〉 「ビュー・ビュー・View」 作者:blue elephant[インタラクティブアート, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「Camera Lucida: Sonochemical Observatory」 作者:Evelina DOMNITCH / Dmitry GELFAND[インスタレーション, オランダ]
  • 〈優秀賞〉 「ISSEY MIYAKE A-POC INSIDE.」 作者:佐藤 雅彦+ユーフラテス[映像, 日本]
  • 〈奨励賞〉 「Super Smile」 作者:Effie WU[映像, ドイツ]

○エンターテインメント部門

〈大賞〉 「Wii Sports」 作者:「Wii Sports」開発チーム代表 太田 敬三(おおた けいぞう)[ゲーム, 日本]

「Wii Sports」 作者:「Wii Sports」開発チーム代表 太田 敬三(おおた けいぞう)[ゲーム, 日本]

©2006 Nintendo

贈賞理由
エンターテインメント部門の大賞は, 審査委員の満場一致で比較的すんなりと決まった。ただし, ひとつだけつけ加えておきたいのは, これが『Wii Sports』というソフト単体だけではなく, ゲームマシン, インターフェース, OS, Mii(アバター)などを含めた, Wiiというシステム全体に対する評価であることだ。本賞の趣旨に則していえば, “メディアとしてのWii”が大賞に値するという判断である。商用ゲーム史における最初のヒット作は, ピンポンをモチーフにしたものだ。『Wii Sports』は, ゲームの原点ともいえる“スポーツ”を“新しい皮袋”に入れることによって, メディア体験の新たな地平を切り開いたのだ。
  • 〈優秀賞〉 「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS」 作者:小島 秀夫(KONAMI)(こじま ひでお)[ゲーム, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「MONSTER HUNTER PORTABLE 2nd」 作者:「モンスターハンターポータブル 2nd」開発チーム代表 辻本 良三(つじもと りょうぞう)[ゲーム, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「気づいていますか。」 作者:田中 英生(たなか ひでお)[ショートムービー, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「DAYDREAM」 作者:勅使河原 一雅(てしがわら かずまさ)[ウェブ, 日本]
  • 〈奨励賞〉 「匂いをかがれるかぐや姫〜日本昔話Remix〜」 作者:原 倫太郎+原 游(はら りんたろう+はら ゆう)[絵本, 日本]

○アニメーション部門

〈大賞〉 「河童のクゥと夏休み」 作者:原 恵一(はら けいいち)[劇場公開アニメーション, 日本]

「河童のクゥと夏休み」 作者:原 恵一(はら けいいち)[劇場公開アニメーション, 日本]

©2007 木暮正夫 / 「河童のクゥと夏休み」製作委員会

贈賞理由
康一少年が河原で拾った石から復活した河童の子クゥを通して, 人間の優しさ, 醜さ, 小ささ, それと人間社会の怖さ, 歪み, マスコミの傲慢さ, などをみごとな脚本と演出で描き出した原恵一監督の手腕を高く評価したい。日本ではお馴染みの妖怪とはいえ, クゥのキャラクターがカワイ〜だけではなく, 今は忘れられかけている, 受けた「恩」は忘れない古風な性格の子どもとして描いたところがいい。人間に殺された父への想い, TV局からクゥを脱出させる途中で命を落とした犬のオッサンの身の上など, 今の社会問題を含んだ内容が涙を誘う。『クレヨンしんちゃん』で名作をつくり続け, 試してきたものが集大成されたような長編アニメーション映画の傑作。
  • 〈優秀賞〉 「うっかりペネロペ」 監督:高木 淳(たかぎ じゅん)[テレビアニメーション, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「天元突破グレンラガン」 監督:今石 洋之(いまいし ひろゆき)[テレビアニメーション, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「電脳コイル」 作者:磯 光雄(いそ みつお)[テレビアニメーション, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「カフカ 田舎医者」 作者:山村 浩二(やまむら こうじ)[短編アニメーション, 日本]
  • 〈奨励賞〉 「ウシニチ」 作者:一瀬 皓コ(いちのせ ひろこ)[短編アニメーション, 日本]

○マンガ部門

〈大賞〉 「モリのアサガオ」 作者:郷田 マモラ(ごうだ まもら)[単行本・雑誌, 日本]

「モリのアサガオ」 作者:郷田 マモラ(ごうだ まもら)[単行本・雑誌, 日本]

©郷田マモラ / 双葉社

贈賞理由
大罪を犯し収監されて, 毎日毎朝死と向き合っている死刑囚たちと, 彼らの世話をし, いつの日か, ついに自らの手で送ることになる刑務官の日常をコツコツと真摯に描いている。人間の心はとても不安定なもの。ほんのちょっとしたきっかけで, やさしい善良な人にも, 恐ろしい凶悪犯にもなれてしまう。そして「死刑」は是か非か。非常に難しいテーマを郷田マモラ氏は自ら悩み自問自答をしながら, 深く暗い森の中をさ迷いながら描き続けた作品がコレだ。「読者や人気アンケート等には拘泥せず創作する姿勢が見えて清々しい, 地味ではあるが, 郷田マモラ氏の誠実な取材に裏付けられた人物表現やストーリー展開, そして独特な筆致と演出はズッシリと重く, 我々に色々な問題を問いかけてくる」というのが審査委員の共通の感想だった。
  • 〈優秀賞〉 「海街diary」 作者:吉田 秋生(よしだ あきみ)[単行本・雑誌, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「鈴木先生」 作者:武富 健治(たけとみ けんじ)[単行本・雑誌, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「竹光侍」 作者:松本 大洋(まつもと たいよう) 作:永福 一成(えいふく いっせい)[単行本・雑誌, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「プライド」 作者:一条 ゆかり(いちじょう ゆかり)[単行本・雑誌, 日本]
  • 〈奨励賞〉 「天顕祭」 作者:白井 弓子(しらい ゆみこ)[自主制作, 日本]

○特別賞

辻 真先(つじ まさき)
[アニメ脚本家・ミステリ作家, 日本]
贈賞理由
辻真先さんはテレビアニメの黎明期から, ものすごい量の脚本を書いてこられた。SF, スポーツ, ファンタジー, ホームドラマ, ギャグ, スリラー……彼の才能に死角はない。とにかく引き受けたら何でも書いてしまう……と, まあそんな感じがするほど, その量たるや半端なものではない, ゆうに1,500本を超えているという。とにかく書くスピードが早いらしい。このスピードがテレビアニメ界のストーリー部分を支えてきたことに多言を要しないだろう。しかも辻さんの興味はテレビアニメを越え, 推理小説を書き, 鉄道を愛し, 温泉宿を訪ね, そして座談の名手……アニメのことを話しはじめると留まることがない。本当に本当にアニメが好きな人である。

 審査委員会推薦作品一覧

 

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