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平成20年度[第12回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品


○アート部門

〈大賞〉 「Oups!」 作者:Marcio AMBROSIO[インスタレーション, ブラジル]

「Oups!」 作者:Marcio AMBROSIO[インスタレーション, ブラジル]

© Oups!

贈賞理由
参加している人々の楽しげで, 自分の身体の周辺に表れてくるアニメーションのイメージによってクリエイティブな反応が誘発されるようすが印象的な作品である。先端テクノロジーとクラシックなアニメーションをプレイフルにアーティスティックに組みあわせてつくられたこの作品は, なかに入った人が身体を動かすことで, さまざまなアニメのキャラクターやストーリーに引きこまれていく。次々と表れるキャラクターやエフェクトは, 自分が宇宙をつくりだしているという幻想をいだかせる。生きることを祝祭的に祝うようなブラジルのポジティブな明るさが存分に発揮された作品である。
  • 〈優秀賞〉 「touched echo」 作者:Markus KISON[インタラクティブアート, ドイツ]
  • 〈優秀賞〉 「Touch the Invisibles」 作者:渡邊 淳司(わたなべ じゅんじ) / 草地 映介(くさち えいすけ) / 安藤 英由樹(あんどう ひでゆき)[インタラクティブアート, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「Moment - performatives spazieren」 作者:田口 行弘(たぐち ゆきひろ)[映像, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「OUTSIDE」 作者:Alexander MENDELEVICH[静止画, イスラエル]
  • 〈奨励賞〉 「insider||outsider」 作者:海老原 優(えびはら ゆう)[インスタレーション, 日本]

○エンターテインメント部門

〈大賞〉 「TENORI-ON」 作者:岩井 俊雄(いわい としお) / 「TENORI-ON」開発チーム代表 西堀 佑(にしぼり ゆう)[電子楽器, 日本]

「「TENORI-ON」 作者:岩井 俊雄(いわい としお) / 「TENORI-ON」開発チーム代表 西堀 佑(にしぼり ゆう)[電子楽器, 日本]

©岩井俊雄 / ヤマハ株式会社

贈賞理由
音楽制作においては, 電気的に合成した音(シンセサイザー)や, 原音を録音したもの(サンプラー)が日常的に使われるようになり, "音源"のあり方は, ここ40 年ほどで, 革命的ともいえる変化が起こった。しかし, その音源をコントロールするインターフェースは, いまだに, 中世以来の鍵盤や, 伝統的な打楽器を模したパッドが主流である。大賞の理由は, 必然性を持つ革新であること。そして何よりも, ヒトと機械との接面ともいえるインターフェース部分を, ハードウェアとして, 商品化まで実現したことである。音楽の知識無しでも, 気軽に遊べる装置であることは確かだが, その可能性は未知数である。初めて手にしたプレイヤーたちに, これほどまで新たなチャレンジ意欲を抱かせる楽器(音楽インターフェース)を, ほかに知らない。
  • 〈優秀賞〉 「Wii Fit」 作者:「Wii Fit」開発チーム代表 宮本 茂(みやもと しげる)[ゲーム, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「君の身体を変換してみよ展」 作者:佐藤雅彦研究室+桐山孝司研究室 / ユーフラテス[展覧会, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「Carbon Footprint」 作者:「Carbon Footprint」製作チーム代表 Matt CHANDLER[映像, イギリス]
  • 〈優秀賞〉 「FONTPARK 2.0」 作者:中村 勇吾(なかむら ゆうご)[ウェブ, 日本]
  • 〈奨励賞〉 「Gyorol」 作者:「Gyorol」制作チーム代表 朴 正義(ぼく まさよし)[ウェブ, 日本]

○アニメーション部門

〈大賞〉 「つみきのいえ」 作者:加藤 久仁生(かとう くにお)[短編アニメーション, 日本]

「つみきのいえ」 作者:加藤 久仁生(かとう くにお)[短編アニメーション, 日本]

©ROBOT

贈賞理由
すでに国内外のいくつかのアニメーションフェスティバルでも入賞を果たしている本作品, なにがその受賞理由だろうか?繊細かつ郷愁的な絵世界, セリフや説明を排しながらも端的に伝わるストーリー, 地球環境的な設定などいろいろあると思うが, 表現自体が斬新で先鋭的ということではない。作品の佇まいもけっして派手ではない。しかし作者の人間に対する温かいまなざしと「想い」が観る人の心にしみる。アニメーション表現が多様化する昨今, つくり手がなにを目指し, なにを目的として制作するかが大きなポイントである。芸術性, 実験性, 娯楽性, 大衆性など, 目指しているパラメーターはつくり手ごとにちがうだろうが, 本作には国境や世代をこえて観た人を魅了する普遍性と豊かさがある。この普遍性こそ, 国内ではまだ認知度の低い短編アニメーションの在り方の新たな可能性, さらには表現行為のひとつの意義を示している。
  • 〈優秀賞〉 「カイバ」 監督:湯浅 政明(ゆあさ まさあき)[テレビ・OVAアニメーション, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「DREAMS」 監督:荒井 知恵(あらい ちえ)[短編アニメーション, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「KUDAN」 作者:木村 卓(きむら たく)[短編アニメーション, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「こどもの形而上学」 作者:山村 浩二(やまむら こうじ)[短編アニメーション, 日本]
  • 〈奨励賞〉 「ALGOL」 作者:岡本 憲昭(おかもと のりあき)[短編アニメーション, 日本]

○マンガ部門

〈大賞〉 「ピアノの森」 作者:一色 まこと(いっしき まこと)[単行本・雑誌, 日本]

「ピアノの森」 作者:一色 まこと(いっしき まこと)[単行本・雑誌, 日本]

©一色まこと / 講談社

贈賞理由
森のなかに一台のピアノがある。打ちすてられ, 雨ざらしになったピアノ。だが, 森という伽藍のなかに置かれ, 月光のライトを浴びて輝くグランドピアノ。たったひとりの少年にしか音を開かない森のピアノ…。なんといっても, 冒頭のこのイメージがいい。“森の端(はた)”と呼ばれるガラの悪い地区で育ったカイだけが弾きこなせる森のピアノの音が, 周囲の人々を変えていく。カイの自由な演奏に激しく心を揺らしつつも, 自分は「完璧なピアノ」を目指そうとする雨宮少年。あがり症を克服しようと懸命に努力する “便所姫” 誉子。どの子どもたちも魅力的で, 読んでいると愛しくなってくる。同じく音楽マンガである『マエストロ』と僅差の争いだったが, 子どもを主人公としていてわかりやすい『ピアノの森』の方が, より広い読者に受けいれられるであろうことが大賞へつながった。「音楽」マンガの豊かな実りは近年の収穫だと言えるだろう。
  • 〈優秀賞〉 「Real Clothes」 作者:槇村 さとる(まきむら さとる)[単行本・雑誌, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「栞と紙魚子」 作者:諸星 大二郎(もろほし だいじろう)[単行本・雑誌, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「マエストロ」 作者:さそう あきら[単行本・雑誌, 日本]
  • 〈優秀賞〉 「宗像教授異考録」 作者:星野 之宣(ほしの ゆきのぶ)[単行本・雑誌, 日本]
  • 〈奨励賞〉 「Cartoon 2008」 作者:菊池 正文(きくち まさふみ)[自主制作, 日本]

○特別賞

中谷 芙二子(なかや ふじこ)
[アーティスト, 日本]
贈賞理由
中谷芙二子さんは, 1960年代から今日にいたるまで, さまざまな作品を制作してきたアーティストだ。霧の彫刻のシリーズや, 情報彫刻『ユートピアQ&A 1981』。映像作品としては, 1972年に小林はくどう氏との共同制作の『水俣病を告発する会―テント村ビデオ日記』, 『老人の知恵―文化のDNA』など, 活動の範囲は多彩だ。そのなかでも忘れてならないのは, 1980年に原宿に開設されたビデオギャラリーSCANでの活動である。日本で唯一のビデオアート専門ギャラリーとして, 国内外の作品の紹介や, 1981年からは公募展などを主催し, 数多くの映像作家がここから巣立っていった。このビデオアートを根底から支えていった活動は称賛に値する。

 審査委員会推薦作品一覧

 

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