国語施策・日本語教育

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これからの敬語

ま え が き


 この小冊子は,日常の言語生活における最も身近な問題を取り上げて,これからはこうあるほうが望ましいと思われる形をまとめたものである。
 これからの敬語についての問題は,もちろんこれに尽きるものではない。元来,敬語の問題は単なることばの上だけの問題でなく,実生活における作法と一体をなすものであるから,これからの敬語は,これからの新しい時代の生活に即した新しい作法の成長とともに,平明・簡素な新しい敬語法として健全な発達をとげることを望むしだいである。

基本の方針


1

 これまでの敬語は,旧時代に発達したままで,必要以上に煩雑な点があった。これからの敬語は,その行きすぎをいましめ,誤用を正し,できるだけ平明・簡素にありたいものである。


2

 これまでの敬語は,主として上下関係に立って発達してきたが,これからの敬語は,各人の基本的人格を尊重する相互尊敬の上に立たなければならない。


3

 女性のことばでは,必要以上に敬語または美称が多く使われている(たとえば「お」のつけすぎなど)。この点,女性の反省・自覚によって,しだいに純化されることが望ましい。


4

 奉仕の精神を取り違えて,不当に高い尊敬語や,不当に低い謙そん語を使うことが特に商業方面などに多かった。そういうことによって,しらずしらず自他の人格的尊厳を見うしなうことがあるのは,はなはだいましむべきことである。この点において国民一般の自覚が望ましい。

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