国語施策・日本語教育

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議事 学術用語の表記について(依頼)/(回答)

学術用語の表記について(依頼)

(昭和27年7月17日付学術用語分科審議会会長有光次郎から国語審議会会長土岐善麿あて)
  1.  外国語・外来語の表記について
     外国の地名・人名その他一般外来語をかな書きする場合に,その表記が確定していないため統一を欠いているので,一般方針について御意見を承りたい。〔別紙(1)参照〕(略)
  2.  英語語尾の長音符号について
     英語の語尾が,er,or,ar等のものを外来語としてかな書きで術語に採用する場合,語尾の長音符号を不必要とするものと必要とするものとの両意見がある。
     なお,戦時中に作成された内閣技術院監修・全国科学技術団体連合会編の「標準用語答申案」は,長音符号を省略する方式によっている。
     このことについて御意見を承りたい。
    〔別紙(2)および(3)参照〕(略)
  3.  術語のかな書きと送りがなについて
     術語のかな書きは,かたかなを用いることにいたしたく,その送りがなについては,「文部省刊行物表記の基準」(MIJ 8033)の一般基準に従い,原則として誤読・難読のおそれがある場合に限り,送る方針をとりたいので,このことについて御意見を承りたい。
    〔別紙(4)参照〕(略)

学術用語の表記について(回答)

(昭和27年12月18日付国語審議会会長土岐善麿から学術用語分科審議会会長有光次郎あて)
  1.  外国語・外来語の表記について
    1.  外来語をかな書きにする場合,さしつかえないかぎり,「ファ」「フィ」「フェ」「フォ」・「ヴァ」「ヴィ」「ヴ」「ヴェ」「ヴォ」の代りに,「ハ」「ヒ」「へ」「ホ」・「バ」「ビ」「ブ」「べ」「ボ」と書く。

      ホルマリン, プラットホーム, バイオリン, ビタミン, ベランダ, ボルト
    2.  外来語をかな書きにする場合,さしつかえないかぎり,「ティ」「ディ」のかわりに,「チ」「ジ」と書く。

      チンキ, チーム, ラジオ, ジレンマ
    3.  外来語および外国の地名・人名をかな書きにする場合,原語のつづりにおける i a の a は原則として「ア」と書く。

      ピアノ, ダイアル, アジア, イタリア
    4.  外来語および外国の地名・人名の表記の一般方針については,今後なお審議する予定である。
  2.  英語語尾の長音符号について
     原語のつづりの終りのer,or,arなどをかな書きにする場合には長音符号「−」を用いる。ただし,省く慣用のあるものや,これから造る術語では,必ずしもつけなくてよい。

    ライター, エレベーター, ハンマ, スリッパ, ドア, エネルギー, エントロピー
  3.  術語のかな書きと送りがなについて
    1.  特に術語であることを明らかにしたい場合には,かな書きの部分はかたかなにしてもよい。

      早メ点火, サビ止ペイント
    2.  術語の送りがなは,難読・誤読を避けるに必要なかなを送る。

      曲ゲモーメント, 突合セ継手, 伸ビ率, 折リ尺
      〔別紙参照〕(略)

 その後,昭和29年2月23日学用分第7号で,電気用語専門部会から,上記回答の「1外国語・外来語の表記について」の中のc)の例から,「ダイアル」の語の削除希望が提出されたから配慮願いたい旨の依頼があったので,第20回総会(昭和29.3.15)にはかった結果,これを削除することになり,会長名でその旨を回答した。

学術用語の表記について(依頼)

(昭和29年2月23日付学術用語分科審議会会長有光次郎から国語審議会会長土岐善麿あて)

 標記のことについて,さきに昭和27年12月18日付省調第30号をもって御回答に接しましたが,その後当分科審議会の電気用語専門部会から,別紙の意見が提出されましたので,然るべく御配慮願います。
 なお,このことについては,当分科審議会の審査部会において了承され,また関係各専門部会においても意見の一致をみているものであることを申し添えます。(別紙略)

学術用語の表記について(回答)

(昭和29年3月22日付国語審議会会長土岐善麿から学術用語分科審議会会長有光次郎あて)

 昭和27年12月18日付省調第30号「学術用語の表記について(回答)」の中の「1外国語・外来語の表記について」のc)項の例から,「ダイアル」の語を削除する。

 なお,その後は表記部会と合同部会を開き,術語の側から外来語の表記について審議して,「外来語の表記」の成案を得たので,これを術語表記合同部会の名で第20回総会(昭和29.3.15)に提出した。文部大臣に建議することを要望したが,総会における審議の結果,報告にとどめるべきであるということになった。(「2外来語表記の問題」参照)


 昭和29年3月12日付学用分第9号で,学術用語分科審議会会長有光次郎から国語審議会会長土岐善麿あて「学術用語の制定について」(依頼)があったので,その取扱について第20回総会(昭和29.3.15)に会長からはかったところ,会長に一任となり,3月22日会長名をもって回答を発した。

学術用語の制定について(依頼)

(昭和29年3月12日付学術用語分科審議会会長有光次郎から国語審議会会長土岐善麿あて)

 当審議会は学術用語の制定について調査審議を進め,特に表記の問題については貴審議会の御意見を尊重し,またローマ字のつづり方についても昭和28年3月12日付で貴審議会が答申された方式を採用してまいりましたが,このたび数学・物理学・動物学・土木工学・採鉱ヤ金学の各用語専門部会における選定原案が完成し,文部大臣に答申する運びとなりました。
 つきましては,答申に先立ち,別添5編(数学・物理学・動物学・土木工学・採鉱ヤ金学)の原稿を提出いたしますから御検討願います。

学術用語の制定について(回答)

(昭和29年3月22日付国語審議会会長土岐善麿から学術用語分科審議会会長有光次郎あて)

 昭和29年3月12日付学用分第9号で御依頼のあった学術用語の検討について回答します。
 貴審議会における学術用語制定に際し,当審議会の決定を尊重されたことに対し感謝します。
 学術用語(数学・物理学・動物学・土木工学・採鉱ヤ金学)中の用語の表記については,審議の御努力に敬意を表します。ただ,中にはなおくふうを要するものがあることは,おそらく審議の過程において種々御討論のあったことと察せられます。この点については,将来さらに相互の密接な連絡に期待します。

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