国語施策・日本語教育

HOME > 国語施策・日本語教育 > 国語施策情報 > 第4期国語審議会 > 3 話しことばの問題

3 話しことばの問題

語いについて

  1.  回答によると,品詞別に言って,動詞・形容詞・副詞にやや方言語いの多いことが目だっているが,名詞その他は,あまり問題とするにあたらないと思う。
     語いは,音韻・語法にくらべると可変性が強い。特に標準的なことばとの対応に気づきやすいという理由や,読書,マスコミュニケーション,学校教育が普及しているという理由などによって,標準的な語いは相当広く行きわたっていると察せられる。もちろん現状でじゅうぶんだというわけではないが,標準語的なことばの普及という観点からみるとき,語いには,意味の広い狭い,生活感情などに注意をしさえすれば,それほど障害がないと思われる。
  2.  しかし,なるほど,全県下各層の人々に共通して現われる方言語いには,比較的少ないが,もし,一地域や老年層,義務教育者層の人々に限定してみると,現われる方言語いの率は,非常に高くなる。このことは注意しなければならない。
  3.  けっきょく問題は語い習得の難易よりも,生活環境にあると考えられる。県の中心部を離れた農山漁村などは,事実上標準的なことばで話す必要性はほとんどないだろうし,老人層・義務教育層においても,標準的なことばで話す必要度は少ないと察せられる。このような環境においては,あらたまった場合でも方言語いの現われるのは当然であって,このことは語い習得の難易には関係がない。
     いわゆる標準語の普及を実現しようと思うと,地域社会における文化変容の問題も考慮しなければならないと思われる。

トップページへ

ページトップへ