国語施策・日本語教育

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3 話しことばの問題

結び

  1.  方言のいわゆる標準語化の過程については,その容易の度合いは,語い・語法・音韻・アクセントの順だとされている。あらたまって言う場合に出る方言についても,このことは対応するだろう。この調査によってそれを確かめることは困難であるが,あらたまって言う場合に,方言の語いの出かたよりも,方言の語法の出かたのほうが大きく,方言の音韻の出かたはさらに大きいというのが事実であろう。地域性・年齢層・教育程度の相違が出かたに影響する状況についても,語いにもっともそれが大きく,音韻にもっとも小さく,語法がその間に位するということは,この調査からもほぼ見てとれる。これはやはり,方言の要素のうち,音韻がもっとも強く出,語法・語いの順でこれにつぐことを示すものである。
  2.  近代の日本においては,全国に通ずることばの普及は急速に進んでいる。それは,もちろん教育やマスコミュニケーションの影響によるところが大きい。そうして今後の進行もこの線の上にあることはまちがいないが,そこに無理がなく,望ましい成果があげられるためには,特に教育において慎重適切な企画と方法とが必要であろう。それには,すでに見てきたところからもいろいろ考えられるところがあったが,いわゆる標準語普及の条件を総合的に明らかにして,それに立脚して進めるということが最も大事であるといえよう。
     ただし,いわゆる標準語の教育を考えるかぎり,小・中学校における話し方教育は,少なくとも現在より後退させてはならないし,放送(特に教育放送)の類は,ますます発達させなければならない。特に標準語の教育を一段と整備させるとすると,教員養成大学の講座の充実や現職教師の再教育講習など大いに力を入れる必要があるだろう。

    「『あらたまってものを言う場合にも出る方言』について」(資料)は省略。

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