国語施策・日本語教育

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議事 質問等

土岐会長

 ただ今の報告について質問はないか。

松 坂

 ただ今の終わりのほうの,ことばの機械化……という中に,ローマ字なら5列穴,かなでは6列穴が必要で,ローマ字のほうが効率がよいとあるが単に5列穴,6列穴というと,5:6の能率の比較ととれる。字によってはローマ字が2字のものもかなでは1字ですむからかなのほうが早く送信できるときもあり,逆の場合もある。少し説明のしかたが足りなくはないか。

大塚分科会長

 そういう言い方もできるが,ここでいう効率とは速さの意味でなく,機械の設計も簡単であるし,材料も少なくてすむということまで含めた意味の効率をいったつもりである。単に通信の速さという条件だけではない。

松 坂

 速さの比較だけではないとすると,説明がなおふじゅうぶんである。テープによるパンチングマシンの場合はかなのほうが早い。

大塚分科会長

 そのことは実験的結果によらなければならない。

土岐会長

 松坂委員の意見は,報告の(a)の点だけについての考えであるか。ローマ字を使うときには(a)と(b)との両方のききめがあり,世界の新しい発明の機械を早く利用できるという(a)と(b)とをあわせて考えればよいのではないか。

大塚分科会長

 (a)と(b)とを分けないで一つにすればいいだろう。ここでは漢字に対してのみ主として考えて,かなのことはあまり考えなかった。誤解を生じないような文章に直したほうがいい。

土岐会長

 これはローマ字に対する客観的な事実を集めて,資料的に整理したものである。これは妥当であると了解してよいか。また,これをもととして意見を発展させていってはどうか。

佐久間

 報告の中の音素の理論の中で,ローマ字が簡単であるということの原則には多少問題があるが,あとで研究したい。

土岐会長

 具体的な案を出してほしい。ほかにも意見はないか。意見があれば,今のといっしょに考えてみたい。

佐久間

 ローマ字にはいろいろな式がある。今のところはつづり方にこだわらずに考えた場合はいいが,訓令式だけだとするとひっかかる。

大塚分科会長

 そのとおりである。ローマ字は音素を表わす字だという意味でいっているのである。現行の式にはこだわらないでいっている。原理的に説いたもので,機械にすると一,二の字について問題があり,もう一つ段階がいると思う。

佐久間

 その意味のことを補足してもらえばいい。

金田一

 ローマ字では不必要な音素にいちいち書き分けて書くことでかなよりはおそい。生徒は教わるときはローマ字で習っても,早く書くときはついてゆけないのでかなで書いている。ローマ字は理論的にはよいといわれるが,日本には,かなというものがあるのにそれを使わないという点でわたくしは不満である。

佐久間

 その点は実験しなければならないことである。ただ今は,機械化することの問題についていっている。

大塚分科会長

 その点は今まで出なかったことである。

佐久間

 機械が発達すると書くことがめんどうになり,原稿を書くのに速記で書くようになる。

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