国語施策・日本語教育

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議事 ローマ字調査分科審議会

土岐会長

 次に,ローマ字調査分科審議会をお願いする。

大塚分科会長

 ローマ字調査分科審議会は,昭和32年2月第1回の会合を開き,ローマ字教育に関する諸問題について審議を進め,その結果をとりまとめて,32年11月の第36回総会に報告した。その要点は「1ローマ字に関することおよびその教育について戦後文部省で審議された経過。2ローマ字教育が昭和22年度から「ローマ字教育実施要領」に基づいて義務教育で実施されるようになったこと。しかし,ローマ字によって読み書きを行なう習慣が国民一般に普及するにはいたっていないこと。3〜4ローマ字のつづり方については,第1表および第2表が決定され,第1表が昭和30年このかた教育界で広く行なわれていること。また,わかち書きについては国語審議会としてまだ結論に達していないが,近い将来において決定し,統一されることの必要が認められたこと。5ローマ字教育は,国語教育に次のような効果があると認められること。(1)語意識を与えること。(2)音素文字であることの効能。(3)国語問題を考える力がつくこと。6このローマ字教育には反対の意見もあるが,それらは「学習指導要領」よって指導しないところからきた意見であると認められること。7ローマ字の理論と実用についての社会の情勢。8結びとして,ローマ字教育を11年前にふみ出したことは,正しい政策と認めてよかろうとされたこと。などである。ところがこの結びの中に「……ローマ字教育を義務教育で必ず行なうことが関係方面において考慮されなければなるまい。」とあったため,総会としてはおもにこの点について分科会で審議を続けるべきであるという意見であった。そこで分科会としては,その後もローマ字教育について審議をしていたが,本年3月教育課程審議会から教育課程の改訂に関して答申があり,その答申において「ローマ字学習は,国語学習の一環として第4学年以上においてすべての児童に対し,文字・言語および簡単な文章の読み書きを行なうものとすること。なお,単独のローマ字教科書は使用しないで,国語教科書の中でこれを取り扱うこと。中学校において継続学習させることが望ましい。」とされた。そこで分科会としては,ついでローマ字文のわかち書き(さきの報告4)の問題を取り上げて審議することとなった。わかち書きの審議に際しては,まず,わかち書きを決定し統一することが望ましいことを再確認し,ついで漢字かなまじり文におけるわかち書きと,ローマ字文におけるわかち書きを合致させるべきかどうかについて検討を加えたが,早急な解決はむずかしいので,両者を一応別問題と考えることとし,まずローマ字文のわかち書きについて審議をすることになった。各種の資料について検討を加えていったのであるが,けっきょくまず第1に単語認定の問題の解決が必要であることが確認され,これについて審議を進めたけれども,結論を得るまでにはいたらなかった。以上分科会が審議した事がらについて,その経過および結末を報告するとともに,次期の国語審議会がローマ字文のわかち書きを審議事項の一つとして取り上げ,一日も早く結論を見いだしてくださるよう要望するしだいである。

土岐会長

 意見はないか。ただ今のは分科会の審議の経過報告としてお聞き取りいただけばよい。

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