国語施策・日本語教育

HOME > 国語施策・日本語教育 > 国語施策情報 > 第5期国語審議会 > ローマ字のわかち書きの問題

ローマ字のわかち書きの問題 審議会報告1

ローマ字調査分科審議会報告



 第5期の国語審議会ローマ字調査分科審議会は,昭和34年6月12日に第1回会合を開いて以来,今日に至るまで,18回の会合を重ね,ローマ字文のわかち書きのしかたについて審議を進めてまいりました。
 従来,ローマ字文わかち書きについて,いちおうのよりどころとされていたものには,昭和22年に文部省から発表された「ローマ字文の書き方」がありましたが,これはその内容が簡略にすぎるから,もう少し充実したものがほしいと,関係方面から要望されておりました。そこで,分科会としては,「ローマ字文の書き方」を基礎とし,これを発展・拡充させて,しっかりしたわかち書きのよりどころを作ることを必要と認めましたので,「ローマ字文の書き方」を資料として審議をすることといたしました。
 その前に,わかち書きの問題を検討するうえの根本となるいわゆる単語認定の問題,品詞分類の問題,漢字かなまじり文のわかち書きとの関連についても,検討いたしました。
 単語認定の問題というのは,ローマ字文わかち書きの最も普遍的な一般原則は,たとえば,「原則として単語は一続きに書き,他の単語から離して書く。」というのでありますが,この「単語」とは何かということがはっきりと決まっていない以上,原則の適用上にいろいろの解釈が生じてくる場合があるわけであります。しかし,この問題は,単にローマ字文のわかち書きについてだけの問題ではありません。したがって,これについて審議することは,分科会として適当でないと思われますので,審議事項として取り上げないことにいたしました。
 次に,品詞分類の問題につきましては,これはある語の品詞を何であるかを決めてみても,それがただちにわかち書きのしかたを決定することにならず,また,品詞分類のしかたについても,いろいろの説がありますので,これもまた,分科会の審議事項として取り上げないこととし,必要がある場合は,普通の考え方に従うことといたしました。
 ついで,漢字かなまじり文とローマ字文とは,ともに日本語を書き表わしているものでありますから,その両者のわかち書きを合致させてはどうかとか,すくなくともできるだけ近いものにしてはどうか,の問題についても検討しましたが,現在の段階としては,ローマ字文としての立場だけから,わかち書きの問題を考えていくことになりました。
 以上のように,まず分科会としての態度を決めてから,具体的な審議にとりかかることとし,前述のように,昭和22年に文部省から発表された「ローマ字文の書き方」を再検討していくこととして,これについて,各委員から意見の提出を求めました。
 提出された意見の中には,普通名詞の語頭を大文字で書くか,小文字で書くかをはっきりと決めてはどうかという意見や,現代かなづかいの「じ」「ぢ」,「ず」「づ」,の書き分けに対応して,ローマ字でもziとdi,zuとduとを書き分けるようにしてはどうかというものもありましたが,これらは,わかち書きを決定するうえに,さしあたって関係ないものとして取り上げないことといたしました。
 けっきょく,わかち書きにおいて,特に問題となるのは,
  a  助詞
  b  助動詞
  c  複合語
であり,その中でも,特に助詞および助詞と助詞とが重なった場合のわかち書きのしかたに問題があると思われるから,これを取り上げるべきであるとの意見が採択されました。

トップページへ

ページトップへ