国語施策・日本語教育

HOME > 国語施策・日本語教育 > 国語施策情報 > 第6期国語審議会 > 第50回総会 > 次第

次第 各部会の審議経過報告

阿部会長

 きょうは各部会から,これまでの審議経過をまとめた中間報告をしてもらい,それについて審議することになっている。第1部会から順次報告願いたい。

村上第1部会長

 ことばや文字の性格,機能などについての問題点,考え方などを整理し,中間的な段階であるが部会としての考え方をまとめてみた。
 ご検討を仰いだ上で,さらに先へ進みたいと思っている。
(各部会担当官が「第1部会審議経過報告」「第2部会審議経過報告」「第3部会審議経過報告」を順次朗読。)

阿部会長

 以上の報告についてご意見があれば発言願いたい。まず,第1部会についてはどうか。

金田一委員

 第1部会は,他の部会と異なり,審議の結論が出ているような印象を受けたが,今後の審議はどう進めていくのか,「国語問題要領」のようなものをお作りになるのか。

村上部会長

 ごく一般的な報告で,一つの骨組みができた程度にすぎない。これでよいということになれば,今後その肉づけをしていくということになる。改善の基準に重点をおいた,「国語問題要領」のようなものが作れたらと考えている。

白石委員

 「3 国語国字改善の基準について」の中に「基本語いの認定……」とあるが,基本語いとは,べーシックイングリッシュのようなものと考えていいのか。

村上部会長

 義務教育の期間中に習得すべき基本的な語という意味である。

金田一委員

 「基本語いの認定……」をここにあげたのは,特に第3部会で取り上げて検討してほしいという意図があるのか。

村上部会長

 そうでなく,審議会全体として考えるべき一般的な問題としてである。

森戸委員

 報告の趣旨には賛成である。ただ,「緊急に解決を求められているものについて,最も現実的な解答を与えるものとして,……義務教育,新聞,法令,公用文など…」とあるが,教育は,それだけでなく将来の問題も含まれなければならないと思う。

村上部会長

 将来のことも含めて考えるのは当然のことで,その点は,「1ことばについて」の終わりに述べてある。

有光委員

 「3 国語国字の改善の基準について」の中に「国語の理想像……」とあるが,その内容について話が出たのか。

村上部会長

 どういうのがよいかというような話は出なかった。ただ,理想像を考える際の態度などについては論議した。

西原委員

 報告は,全体的に見て妥当であり,賛成であるが,報告のしくみ,用語などは,さらに吟味する必要があろう。たとえば,ことばが手段であることから,直ちに平明簡素で能率的であることがいいとするのは,やや早急にすぎるのではないか。思想感情を表現し,伝達媒介するものといえば,当然社会的なものを予想していると思えるが,そうだとするとあとの文章とのつながりが問題になるのではないか。

村上部会長

 ここでは,手段的なものを社会的,歴史的,伝統的なものと対立させているのである。そして,ことばは,まず手段的のものであるとし,さらに単なる手段以上のものであると言おうとしたのである。

金田一委員

 「社会的」を「伝達媒介するところの社会的手段」としたらどうか。

熊沢委員

 問題になりそうな語句や文章は除いたらどうか。

阿部会長

 この報告は,最終的なものではなくて,中間的に方向づけをおはかりするものであるから,細かな字句のことでなく,方向の是非について審議していただきたい。

千種委員

 義務教育の問題について話が出たが,たとえば,当用漢字表についていろいろな考えがあるとしても,あらゆる領域に適合するものを決めることは無理であろう。しかし,義務教育で必要とする基準を決めることによって,自然に他の部面にも影響を及ぼすものと思われる。こうした意味で第1部会ではいちおう義務教育の場を中心にして考えようとしてきたのであって,将来のことを考えなくてもよいという考え方ではない。

西尾委員

 報告の趣旨に賛成である。だが,この結論にいたるまでに,ことばや文字のあるべき姿について,たとえば,理想像は多元的なものであるべきだというのか,それとも一元的であるべきだが,現実の政策としては多元的であるべきだというのか,そのへんの話し合いはなされたのか。別のことばでいうと,理論的に考えて,表意文字,表音文字のどちらか一方に徹するよりも,現在の漢字とかなとを合わせ用いる表記が日本語としていいという考え方に立たれたのか,あるいは,そういう話し合いはなされずに,ただ政策的に,こうあるのがよいとしてまとめられたのか,伺いたい。

村上部会長

 具体的に理想像だけを取り上げて論議したことはない。ただ,それを考える際,過去,未来の時点に結びつけて,固定して考える態度はとるべきでないということは論議された。この点は,報告書にも述べたとおりである。

森戸委員

 急速にコミュニケーションが発達した現状では,地域的に方言の差異が減少する傾向がうかがわれるが,他方,専門部門では,かえって複雑化,多様化の傾向が見られる。一概に多様性といっても,いろいろな問題が含まれているので,多様性の動きに対して考慮する必要があろう。

石井委員

 西尾委員,森戸委員のお考えは,教育の立場をもっと積極的に出すべきではないか,というお考えのように思える。第1部会の報告はまだ下絵を書いた程度であり,今後検討すべきことは少なくない。

金田一委員

 この報告の趣旨には,どの委員も賛成のように思える。

阿部会長

 次に第2部会について,ご意見はないか。

トップページへ

ページトップへ