国語施策・日本語教育

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第1部会 概要

 第1部会は,第54回総会(昭39.4.22)で設置され,国語の表記の基準について審議する。――これまでの国語施策の問題点について検討する(外国の地名・人名の表記等を含む。)――ことを任務とした。
 最初に,総会から付託された形の吉田委員の四つの提案のうち,「国語審議会が審議する『国語』を規定し,これを公表することに就て」(漢字かなまじりを国語表記の正則としこれを声明するということ)という提案〔A-4〕を取り上げて審議した。この審議の結論は,少数の委員は声明することに賛成したが,多くの委員は,提案の趣旨にあるように漢字かなまじり文について審議することは当然のことであり,とのことを今日の時点で特に声明することは不必要であるという意見であった。その理由とするところは,おおむね次のようである。

  1. 審議会は,これまでも漢字かなまじり文を審議の対象としてきたのであるから,今あらためてこのような声明を出すことは,これまでこの立場・原則を無視してきたかのような感じを与えることになるので,賛成できない。
  2. 第6期の報告「国語の改善について」のなかに,その趣旨は生かされていると思う。現在,審議会は漢字かなまじり文について審議しているが,ことさら声明するのは,将来あるいは発展するかもしれない方向を規制してしまうおそれがあり,適当でない。
  3. 将来の国語は,漢字かなまじり文がよいのか,表音的なものにするのがよいのかというような根本的なことは,国語審議会よりももっと高い次元で審議される事がらではないか。世間に疑惑があるのなら,漢字かなまじり文について審議するということを確認するのはよいが,今さら声明する必要はない。
  4. 提案者や声明賛成の人の言う漢字かなまじり文と他の委員の言うそれとには,理解の違いがあるように思われる。このままで,かりに漢字かなまじり文を正則とするという声明をしてみても,今後の審議に役だつとは思えない。むしろ,早く具体的な審議にはいったほうがよい。

 これらに対して,少数の声明賛成の委員の意見は,次のようなものである。
 自明のことであるから声明は不必要であるという理由は,問題にならない。将来を規制するおそれがあるという意見も,審議会としては現実の国語について考えればよいのであるから,将来のことまで心配する必要はない。これまでのいろいろなことから,世間に不安疑惑があるのだから,やはり,このさい声明する必要がある。
 そこで,この審議の経過を総会に報告して,総会で取り上げて審議してもらうことにした。なお,他の三つの提案については,部会でそれぞれの問題を審議するさい,検討することに決まった。
 次いで,部会で検討すべき問題や審議の進め方などについて話しあった結果,当用漢字表・同音訓表・同字体表などの問題について審議する「漢字に関する小委員会」と,現代かなづかい・送りがなのつけ方・外来語の表記の問題について審議する「かなづかい・送りがなに関する小委員会」の二つの小委員会を設けて審議を進めることにした。

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