国語施策・日本語教育

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第1部会 漢字に関する小委員会の審議経過

 漢字に関する小委員会では,まず当用漢字表を取り上げて審議することにした。初めに,これまで,すなわち第1期,第2期,第5期,第6期の審議会で当用漢字表を再検討してきた審議の結果〔A1-1〕ならびに当用漢字表の性格,選定の方針・基準〔A1-2〕について検討した。そのなかで特に問題となったのは,当用漢字表が日常使用する漢字の「範囲」を示したものであるという点である。この範囲という考え方を基準または基本という考え方に改めたらどうかということである。また,表外漢字を含む語については,できるだけ言いかえ・書きかえを試み,漢字・かなのまぜ書き,いわゆる抱き合わせはなるべくやめて,やむをえない場合には,表外漢字を使ってふりがなをする方法をとるべきであるという意見も出た。範囲の語を基準なり基本なりの語に改めて,表全体をゆとりのあるものにするということについては,これまで当用漢字表を実施してきた公用文,教育,新聞等との関係もあるので,今ただちに結論を出さず,いちおう基準と考えるという線で,具体的に字種の入れかえの審議にはいることにした。
 そこで,審議資料として,国立国語研究所が昭和31年度の雑誌について調査した報告「現代雑誌九十種の用語・用字第二分冊漢字表」を取り上げて,使用度数の少ない当用漢字とある程度使用度数のある表外漢字とについて審議する一方,目本新聞協会に依頼して,新聞方面における漢字使用の状況ならびに意見を提出してもらうことにした。
 初めに,当用漢字表のなかから削る字を選ぶために,当用漢字で使用度数8回以下のもの177字について審議し,〔A1-4〕次に加える字を選ぶために,表外漢字で使用度数9回以上のもの323字について審議した。〔A1-3〕そのさい,審議の態度ならびにその過程で考慮されるべき事がらとして,次のような発言があった。

1  調査資料に現われた使用度数は尊重するが,これだけにこだわらない。
2  日本国憲法に使われている漢字でも,日常あまり使わないものは,必ずしも入れておかなくてよいのではないか。
3  当用漢字補正資料の漢字については,特に考慮したい。
4  字形の繁簡や漢字構成上の基本型であるかどうかというような点も考慮したい。

 第1次審議の結果は次のとおりである。
 〔当用漢字で使用度数8回以下の177字について〕

1  当用漢字表から削る字   7字
2  保留の字   26字
3  当用漢字表に残す字   144字

 〔表外漢字で使用度数9回以上の323字について〕

1  当用漢字表に加える字   29字
2  保留の字   38字
3  当用漢字表に加えない字   194字
4  固有名詞関係の字   62字

 その間に,日本新聞協会から回答として意見書,〔A1-7〕ついでその補足として,(1)当用漢字表に追加希望する字15字(2)当用漢字表から削除可能とする字6字が提出された〔A1-9〕。また,法務省の参事官室から,刑法改正との関連で,当用漢字表に追加希望する字13字(別に音訓1)を非公式に連絡してきた〔A1-8〕。
 第2次の審議は,第1次の審議結果に,日本新聞協会と刑法改正関係との要求字,および補正資料の字で第1次の審議資料に出てこなかった字を加えたものについて行ない〔A1-10・11〕字種の入れかえについて,次のような結果を得た。
〔当用漢字で使用度数8回以下の177字,その他11字について〕

1  当用漢字表から削る字  31字
2  当用漢字表に残す字  157字

〔表外漢字で使用度数9回以上の323字その他19字について〕

1  当用漢字表に加える字  47字
(別に字体変更1字)
2  保留の字  3字
3  当用漢字表に加えない字  229字
4  固有名詞関係の字  63字

 この第2次審議の結果〔A1-12・13〕については,さらに当用漢字表の性格,憲法関係の漢字,固有名詞関係の漢字等,根本的な問題を審議したうえで,調整することにした。

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