国語施策・日本語教育

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総会概要

 昭和39年1月の委員改選から41年1月の任期満了までの第7期の国語審議会は,合計6回の総会を開いた。
 この期最初の総会である第52回総会(昭和39.1.23)では,まず会長・副会長の互選が行なわれ,会長に阿部真之助委員,副会長に池田潔委員が推され,多数委員の賛成を得て,就任した。(池田委員欠席のため後日承諾)そのあと,内藤事務次官のあいさつがあり,そのなかで述べられた「前期は,一般的な審議で終わりとなりましたが,これからの審議は,その中身にはいって検討するということであり,今後は,この報告に基づき,この報告の趣旨に沿って,さらに問題を深く掘り下げ,ご審議いただきたいと存じます。」という点に,一,二の委員から疑問や意見が出され,ついで,国民が等しく関心を持っている国語の問題の検討であるから,会議を公開にしてほしいという提案があった。この公開の問題は,いちおう運営委員会で考えることとなり,今期審議すベきことがらや審議の方法などを中心に自由討議に移った。そして,最後に,運営委員会の設置を決め,会長から運営委員として,古賀,相良,高木,細川,村上,森戸の6委員が指名された。
 第53回総会(昭和39.3.13)では・運営委員会の審議運営についての考え方が明らかにされ,ついで運営委員会で出た意見を中心に,会議の公開,非公開についての討議があり,けっきょく報道関係者に限って総会の会議の傍聴を許すという線で研究することになった。そのあと,自由討議にはいり,審議の態度,審議すべきことがら,審議会の責任範囲審議結果の取扱いなどの問題が出された。また,この総会で吉田委員から,
 @ 小学校の漢字教育について
 A 「現代かなづかい」制定の基本方針について
 B 国語に於ける伝統の尊重について
 C 国語審議会が審議する「国語」を規定し,これを公表することに就て
の4つの提案が,文書によって出された。Cは,前期にも提案されたものである。
 第54回総会(昭和39.4.22)では,総会の会議の傍聴について,運営委員会でまとめた結論を審議,決定し,ただちに会長は,報道関係者の入場を許可した。そのあと,白由討議にはいり,審議すべきことがらに関連して,第1,第2両部会の設置を見た。第1部会は,国語の表記の基準について審議するものであり,これまでの国語施策の問題点について具体的に検討する,(外国の地名・人名の表記等を含む。)第2部会は,ことばの基準について審議するものであり,語句,語法およぴ発音等について問題のあるものを検討し,その標準的な形を考えることを任務とする。最後に,学術用語分科審議会から,「論理学」の審査案について連絡があったことに対して,連絡を受けた旨の回答をすることを決めた。
 第55回総会(昭和39.10.9)では,最初に愛知文部大臣のあいさつがあり,ついで阿部会長死去による新会長の選出に移った。運営委員のほかに,石井,沢畑,寺西,丹羽(文雄)の4委員を加えた選考委員会を作って協議し,森戸委員を会長に推すことに決まったので,総会出席全員の賛成を得て,森戸委員が会長に就任した。副会長・部会長は留任,次に相良第1部会長から第1部会の審議経過の報告,古賀第2部会長から第2部会の審議経過の報告があった。かねて第1部会で審議してきた吉田委員の提案Cの総会での審議は,吉田委員の欠席のため,次回に延ばすことになった。
 第56回総会(昭和40.3.19)では,各部会の審議経過の報告が,相良第1部会長,古賀第2部会長によって行なわれた。ことに,当用漢字表の性格について,「範囲」を「基準」とすることをめぐって,論議がかわされた。次に,吉田委員の提案Cについて,第1部会の審議状況の要約を中心に審議したが,世間では漢字かなまじり文が使われていること,国語審議会はこの現実に行なわれている漢字かなまじり文を審議の対象としているとの2点は確認するが,漢字かなまじりを国語の表記の原則とし,これを今日の時点で声明するには及ばないというのが大勢の空気であった。
 この期最終の第57回総会(昭和40.12.9)では,相良第1部会長,古賀第2部会長からそれぞれ部会の審議経過のまとめの報告があった。いずれも,部会としての,いちおうの結論は得たが,最終的な結論に到達するにいたらなかったので,今期は各部会の審議経過として総会に報告するにとどまり,次期以降に審議を継続することになった。なお,吉田委員の提案Cについて,吉田委員から重ねて詳しい提案趣旨の説明があったが,審議の結果,審議会としてあらためて漢字かなまじり文を正則とするということを公表するのは,かえって誤解を生じるおそれがあるという総会の意見を発表することとした。

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