国語施策・日本語教育

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次第 自由討議

塩田委員

 日本文芸家協会で国語国字問題についての意見調査を行ない,その回答をまとめて昨年6月,国語審議会あて要望書を提出した。その後の取り扱いはどうなったのか。

相良委員

 前期の第2部会で,一つの参考資料としてそれを取り上げ,検討審議した。前期の報告の中で,当用漢字音訓表の中にも問題点のあることを指摘しているが,そうした形で参考にしたものである。なお,あの要望書は,必ずしも協会あての回答を求めたものでなかったように思う。

岩下委員

 今期の審議会は,前期で示された結論を土台とし,さらに具体的に審議を進めるべきものと思うが,あるいは,前期の結論そのものを検討し直すことから出発するのか。

阿部会長

 前期の結論をご破算にして,最初からやり直すことはどうかと思う。

岩下委員

 今期は,具体的な問題について審議するという方向で部会のことも考えてほしい。ただ軽々しく国語施策を変えられると,学校教育の現場では困るので,改める以上は,じゅうぶん審議を尽くして,当分は変更されないものを決めてほしい。

高津委員

 第6期の報告を土台に具体的検討をする前に,漢字やかなを用いている以上,日本語に,万人が納得するような正書法といったものを決めることができるかどうか,その可能性を検討する必要があろう。また,戦後の国語施策は,あまりにも性急に決められたところに問題があろう。送りがなのつけ方にしても,合理的でない面も含んでいるように思われる。もっと,慎重な準備が必要だったと思う。

市原委員

 賛成である。短時日で決めた不完全なものに権威をもたせようとするところに問題がある。長い年月をかけて検討すべきものである。

岩下委員

 送りがなのつけ方について合理的でないというのであれば,適当な代案を示していただきたい。完全でないまでも,できる範囲でいいものを作るということでいいのでないか。

金田一委員

 当用漢字表にしても送りがなにしても,まったく誤りがないとは思わないが,従来,あまりに多様に書かれていた送りがなをなんとかまとめて,いちおうの基準を作ったほうがいいと考えたのである。

塩田曇委員

 実際には,いちおうの基準でなくなり,すべての場合の基準になったところに問題があり,混乱のもとがあるように思う。教科書の送りがなの表記もまちまちでないか。

金田一委員

 従来,送りがなのつけ方は決まっていなかったので,なるべくこれに従ってほしいという形で基準を示したもので,必ずしも一本立ての形でなければならないとはおもわない。

高津委員

 送りがなのつけ方の場合も,すべてのつけ方の例を集めて,どこまで決めることが可能かということを確かめる必要があったと思う。正書法を決める必要は認めても,万人が納得するような正書法ができるかどうかということは別であろうし,必ずしも統一した形でなくてもいいのであれば,むりに決めなくともいいともいえるのではないか。

相良委員

 決められた内容がだれにも納得できるものでなかったためでもあろうが,現在の混乱は,決まったものに従わない人がいるためである。話し合いのうえ,適当なところで折り合いたい。送りがなについては,取り決めのなかった,もとのままがいいのだというのなら別であるが,個人的には,ともかくも基準がほしいし教育上でも基準が必要であろう。

細川委員

 いずれも根本的な立場の相違による議論とは思われない。まったく野放しでいいということでもなく,また,絶対にこの形でなければならないというほどの決め方をしようとするものでもなかろう。一つの基準は必要であろうが,国民に使用を義務づけるようなやり方は避け,幅広い基準を示すことにしたい。

岩下委員

 送りがなのつけ方を決めるまでは,国語施策についてあまり問題はなかったのであるから,今期は,それを決めた基本的な考え方に誤りがあるかどうかを検討してみてはどうか。

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