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当用漢字表の再検討について(部会報告)

 当用漢字表の再検討については,まず「まえがき」によって,当用漢字表の性格,選定の方針・基準を検討した。そのなかで特に問題になったのは,当用漢字表の性格の点である。この点については,のちに改めて「まえがき」を審議することにして,具体的に字種についての審議にはいった。
 字種についての審議の資料としては,(1)国立国語研究所が昭和31年度の雑誌について調査した報告「現代雑誌九十種の用語・用字――第二分冊・漢字表」のなかの使用度数8回以下の当用漢字177字と,使用度数9回以上の表外漢字323字,(2)当用漢字補正資料で当用漢字表から削る字28字と,加える字28字等,(3)日本新聞協会提出の当用漢字表に追加希望する字15字と,削除可能とする字6字,(4)刑法改正の関係で当用漢字表に追加希望する字13字を取り上げた。また,審議の態度ならびにその過程で考慮されるべきことがらとして,(1)資料に現われた使用度数は尊重するが,これだけにはこだわらない。(2)日本国憲法に使われている漢字でも,日常あまり使われないものは必ずしも入れておかなくてよいのではないか。(3)当用漢字補正資料の漢字については特に考慮したい。(4)字形の繁簡や,漢字構成上の基本型であるかどうかというような点も考慮したいなどの発言があった。
 審議は第1次・第2次にわたって慎重に行なったが,その結果,いちおう,

(1)  当用漢字表から削ってもよいと思われる字
丙 嗣 朕 璽 迭 嚇 拷 罷 脹 迅 頒 錬 謁 虞 劾 濫 逓 遵 寡 畝 芋 且 煩 恭 但 悦 爵 堪 箇 丹 附,
(2)  当用漢字表に加えてもよいと思われる字
僕 誰 杉  唄 旦 仙 堀 汁 肌 亭 泥 涯 尚 釣 皿 偵 悠 甚 洞 垣 蛇 傘 拐 曹 棟 朴 枕 槽 泡 厄 宵 挑 漠  斉 淫  姦 矯 溪 洪 溝 肢 酌 塾 賂〔字体変更〕 灯(←燈)

などが考えられるということになった。
 ただし,字種の選定については,さらに資料を加えて審議する必要があるかないか,憲法関係の字を削ってもさしつかえないかどうか,固有名詞関係の字として,都道府県名に使われる字ぐらいは表のなかに入れたほうがよいか,あるいは別わくに取り扱ったほうがよいか等の問題が残っている。
 続いて,「まえがき」の修正を審議し,次の2つについて,いちおう了解に達した。

  1. この表は,法令・公用文書・新聞・雑誌および一般社会で,普通に使用される漢字の基準を示したもので,今日の国民生活のうえでは,この程度の漢字で用を足すことをめやすとして選んだ。
  2. この表以外の漢字を使用する場合には,読みがなをつけるごとが望ましい。しかし,このような「まえがき」では,漢字の無制限な使用を助長するようになりはしないかという意見もあった。

 なお,当用漢字表の再検討については,音訓表ならびに字体表の再検討とも関係するところがあるので,今後,それらの審議をしたうえで,総合的に最終的な結論を出すことが望ましいと考える。

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