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送りがなのつけ方の再検討について(部会報告)

 送りがなのつけ方の再検討については,まず送りがなの基準は,はたして必要なのかどうかという問題をめぐって,しばらく論議がかわされた。多数の意見は,やはり何らかの基準が必要であろうということであった。しかし,送りがななどは各人の自由にまかすべきものであるから,現行の基準などは廃止して,この問題の審議もできるだけ早く打ち切るべきであるという意見もあった。もっとも,この意見も学校などで送りがなについては何も教えなくてもよいというようなことではなくて,複雑な規則を設けて人をしばろうとすることに反対であるという趣旨の意見である。そこで,現行の送りがなのつけ方の修正すべき点について考えることとした。
 この点について審議した結果,送りすぎている点を改めたり,例外や許容の多すぎる点などを整理する必要があるという意見のほか,これまでとは違った立場で基準を考えれば,もっとすっきりとした案もできるのではないかというような意見も提出された。しかし,いずれの立場に立つにしても,まず,世間の実情を調べて現行の送りがなのつけ方のなかの問題点を明らかにすることが必要であるということになった。そこで,国立国語研究所の雑誌90種についての調査「送りがなのゆれの一覧表」および文部省国語課提出の「新聞の送りがな」を資料として,送りがなの問題点について,全般的な検討を加えた。
 その結果,最も問題のあるのは・活用語から転じた名詞の送りがなであることが明らかとなった。ただ,活用語から転じた名詞といっても,単独名詞もあれば複合名詞もある。そこで,まず,そのなかの単独名詞について,いちいち検討した結果,いちおう,

(1)  送っているものを,送らないようにしたいものとして,
並 誉 祝 係 暮 肥 届 割
(2)  2字送っているのを,1字だけ送るようにしたいものとして,
明り 預り 曲り 起り 当り 隔り 集り 決り 定り 締り 止り 泊り 始り 積り 終り 代り 替り 変り 断り 現れ 表れ 生れ 行い 向い 向う 聞え 暮し 落し 肥し 悔み

などが考えられるということになった。
 ただし,この案を現行の送りがなのつけ方のなかに組み込むためには,ほかの語との関連もあるので,なお,慎重な検討を必要とするものである。また,このほかに,複合語の送りがなの問題が残っているうえ,送りがなの定義の問題,音訓表との関係を明確にする問題・例外や許容の整理の問題などもある。
 したがって,送りがなのつけ方については,今後,さらに審議を続ける必要があると認められる。

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