国語施策・日本語教育

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かな部会 概況 第1〜10回

<第1回〜第4回>

 審議を始めるにあたって,送りがなとかなづかいの両方を並行して審議してほしいとの要望もあったが,問題の性質や審議の能率等を考慮して,そのどちらかを先に取り上げることとした。それを決めるには,部会委員が両者の問題を理解する必要があるというので,まず,資料「検討すべき問題点の説明資料」〔総-6〕に即して,送りがなとかなづかいとの両方の問題点において,ひととおりの検討を加え,その結果を第63回総会に報告した。

<第5回〜第6回>

 かな部会として,送りがなとかなづかいのどちらを先に取り上げるか審議した結果,社会一般の実情等を考慮して,送りがなの問題を先に審議することとした。
 まず,資料「各種『送りがなのつけ方』一覧表」〔かな-4〕等をもとにして,現行告示の送り方と,過去の送りがな法や新聞社等の送り方とを比較しながら,告示の各通則や語例の送りがなについて検討を始めた。この課程で指摘された問題は,おおよそ次のとおりである。

 送りがなによって誤読・難読を避けようとしたため「行なう,冷たい,情け」などと活用しない部分をもおくるようになっている。
 他の動詞を含む語は,その活用語尾にあたる部分から送るようにしたために,「落とす,恐ろしい,冷ややかだ」と送るようになっている。反面,「おさえる,とらえる,くやしい」などは,「押える,捕える,悔しい」となっていて,「押す,捕る,悔やむ」とは関連させていない。
 動詞を含む複合語は,おのおのの部分の送りがなによって送ることにしたために,「売り出す,聞き苦しい」となっている。
 以上のような方針を,活用語から転じた名詞や複合名詞にまで一律に適用したために、「終わり,取り締まり,向かい合わせ」と送ることを本則とする結果になっている。
 「黄ばむ,春めく,積極的だ」など,送りがなとして処理すべきかどうか,疑問のあるものがある。

 以上のような指摘に関しては,それを第64回総会に報告した。
なお,これらの問題は,告示のまえがきに,3か条の方針が並列して掲げられているところに原因があるという意見があり,この3か条の方針についても種々の審議を重ねた。

<第7回〜第10回>

 送りがなのつけ方を「活用語尾を送る。」という単一の原則だけで処理したらどうなるかということについて,資料「活用語尾に限定した送りがなについて」〔かな-7〕などをもとにして審議した。
 この課程で審議された問題点は,おおよそ次のとおりである。

 「現われる,聞こえる,落とす」などを「現れる,聞える,落す」とするのはよいとしても,「群がる,動かす,定まる」などを「群る,動す,定る」などと書くことになったり,「明るい,大きい,健やかだ」などが「明い,大い,健だ」となったして,著しく実情と合わなくなる。つまり,語によっては,やはり活用語尾以外の部分も送ったほうがよいものがあるということである。
 逆に,「活用語尾を送る。」という原則を厳密に適用すると,「組み,話し」「切っ手,建て物,受け付け,組み合い,待ち合い室」などとなって,これまた慣用と合わなくなる。つまり,活用語尾であっても送らないほうがよい語もあるというわけである。

 結局,送りがなのつけ方を考えるにあたっては,「活用語尾を送る。」という原則だけで処理することは適切ではないという結論に達し,こうしたことについて第65回総会に報告した。

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