国語施策・日本語教育

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次第 審議経過報告

古賀副会長

 引き続いて文化局長から従来の国語審議会の審議経過について報告していただく。

蒲生文化局長

 これまでの国語審議会の審議経過について,ご説明申しあげるが,その詳細は,今後,具体的に審議される際にゆずり,ただいまは,その大要について申しあげることとしたい。
 国語審議会は,文部省設置法第27条に基づいて設置されており,その所掌事務等については,政令である国語審議会令で定められている。国語審議会の任務は,文部大臣の諮問に応じて,国語の改善に関する事項,国語の教育の振興に関する事項,およびローマ字に関する事項について調査審議し,文部大臣に答申し,また必要に応じて関係各大臣に建議することになっている。この審議会は,学識経験者および関係行政機関の職員のうちから,文部大臣の任命する50人以内の委員で組織することになっており,委員の任期は2年と定められている。なお,審議会に関する事務は,文化局国語課が行なうことになっている。
 国語問題の取り扱いは,明治初年以来の長い歴史をもっているが,文部省でも明治35年,国語調査委員会を設置して以来,大正10年に臨時国語調査会,昭和9年には,官制による国語審議会等の機関を設けるなど、問題の処理に対処してきたのである。現在の国語審議会は,官制によるものから,昭和24年に,設置法によるものに改められ,自主性の強いものとされたのであるが,その後,昭和37年4月には,政令の一部改正が行なわれ,現在に至っている。その際,文部大臣の諮問に応じて調査審議する点を明確にし,それまでの推薦による委員の任命方式を改めて,他の審議会と同様な任命の方法によることとし,会議公開の原則の規定は,削除されることとなった。
 昭和24年までの官制による国語審議会は,昭和10年になされた諮問事項に対して,昭和21年9月には「現代かなづかい」を,同年11月には「当用漢字表」を答申したが,これらは,政府により採択され,同年内閣告示,同訓令として公布された。ついで昭和22年9月「当用漢字音訓表」「当用漢字別表」を答申し,これらも翌年に内閣告示,同訓令として公布された。また,昭和23年6月には,「当用漢字字体表」を答申し,これも翌24年に告示・訓令の措置がとられた。
 以上申しあげたことがらは,官制による国語審議会が戦後行なってきた審議の結果に係るものである。
 昭和24年7月,文部省設置法によることとなった国語審議会は,委員の任期2年をもって1期とし,各期ごとに建議・報告等を行なってきた。そのおもなものは,本日,配布した資料の答申建議集にのせてあるが,その中で告示・訓令となったものには,「人名用漢字別表」「ローマ字のつづり方」および「送りがなのつけ方」がある。第6期,第7期の審議会の審議については,別に資料をお配りしてあるが,第6期の審議会は,従来のように個々の施策を打ち出すことをやめて「国語の改善について」審議し,その結果を文部大臣に報告した。この報告では「国語の改善の考え方」を示し,これまでの国語施策を検討し,その問題点を指摘するとともに,今後改善をはかる必要のある問題を取り上げている。最後に前期である第7期の国語審議会は,第6期の報告の趣旨に基づいて,当用漢字表と送りがなのつけ方の再検討,ならびに発音のゆれについて審議を行ない,いちおうの審議結果を得たが,いずれも最終的な結論を得るにいたらなかった。
 以上,はなはだ簡単ではあったが,戦後の国語審議会の審議経過のあらましを申しあげたしだいである。

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