国語施策・日本語教育

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次第 その他(自由討議)

前田会長

 まだ時間もあるので,自由にご意見を伺いたい。

細川委員

 次回の予定はどうなっているのか。

安達審議官

 次は12月6日(火)に開く。まず実質審議にはいっていただき,漢字に関する問題について話し合ってから,基本的事項の話し合いをお願いしたいと考えている。

阿部委員

 先に,教育課程審議会との関係が問題になったが,事務当局から,逐次,報告をしていきたいということで,わたしも安心した。それで,さっそくその現状を伺えるか。

安達審議官

 現在,教育課程審議会で審議している指導要領の改定案は,まだ熟していないようである。なお,国語審議会と関連をもつものに,当用漢字別表の問題があるが,この別表の漢字を増減させるのは,当用漢字全体とも関連するので,にわかにはできかねると思う。また,小学校では学年配当が決めれられていて、それについてはいろいろ批判が出ているが,これは教育課程審議会で決められたものである。今後この国語審議会として議論するのは可能と思うが,しかし基本的には教育課程の問題である。ただ,教育課程の問題であっても,参考として,この国語審議会の意見はあってもよい。

阿部委員

 国語の学力低下が社会問題化しているが,これは学年配当や国語の時間数の少ないところに問題があると聞いている。これについてこの国語審議会からその再検討を希望する決議をするのは行き過ぎか。

安達審議官

 学年配当や国語の時間数について,それぞれむずかしい問題があって,はたしてこの国語審議会から意見を出しても効果があるかどうか,慎重に検討していただく必要がある。形式的には建議していただいてけっこうであるが。

近藤委員

 この中にも教育課程審議会の委員を兼ねておられるかたが何人かおられるし,わたくしもそのひとりである。ここでの意見は,建議の形で正式に出すのは別問題として,そうでない場合でも,わたしとしては,わたしなりに教育課程審議会のほうへ反映していけると思う。

村上委員

 わたしも教育課程審議会の委員を兼ねている。現在,そこでは初等部会,中等部会に分かれて審議しているが,まだ具体的な内容までいっていない。来年の5,6月ごろに最終案がまとまるが,その間にご意見を伺う機会もあるので,その際に,みなさんの意見を出していただいてもよいのではないかと思う。

西尾委員

 学校教育で,国語が基礎学力として重視されているかどうかは疑問である。具体的にいうと,中学校,高等学校になると,作文指導などは実際には,ほとんど行なわれていない。これには,ひとりの先生で200人〜300人もの生徒のものを見きれないという問題があり,学力増進の上に大きな障害になっている。現在の中等教育で自己表現としての記録と,客観的な学習記録は有名無実となっている。これで基礎学力がのびると考えるのは大まちがいであろう。

植松委員

 国語の学力が低下しているのは,漢字が制限されたこともあろうが,当用漢字表の範囲内で文章を書くということについても一般に低下している。これはどこに原因があるのか,その説明をお願いしたい。

安達審議官

 現在,文部省では漢字の習得状況調査を行なっているが,もう少し,資料を整えてから必要に応じ説明したい。

西尾委員

 昭和26年に講和条約が締結されたとき,新教育の反省として学力低下が問題になったが,これは日本だけではなかったようである。当時,ある新聞の社説に,このごろのこどもは,おしゃべりになったけれど,字は書けなくなったという批評が出ていた。おしゃべりになったというのは,一方的に話すことだけで,ほんとうの話し合いというのは非常に幼稚で,それを改善するための努力がなされなかった。これは,まさに新教育の欠陥をついたものである。しかし字が書けなくなったということは,これも事実であると思うが,ただ,昔の漢字教育が国語教育であったその観点から学力を測るのではなく,新しい国語教育の観点から測るなら,当然,話しことばの改善が必要なように,書きことばの真実な表現力をのばさなければならないということがあり,その点では,前よりものびているのではないかと思われる。いまでも表現力ははるかに自由になっている。漢字が読める,書けるということも一つの要素であるが,表現力が自由に真実になるということもたいせつなことである。

中田委員

 世間が国語審議会に要望しているものは,大臣諮問に答えることだけではない。もっと大きなものである。いまの西尾委員の意見なども,諮問事項以外にまとめ,最後に基本的な問題として,国民が考えるよりどころを発表したい。

前田会長

 今後,そういう意見も生かされるようにしていきたい。きょうはこれで閉会とし,あとは,部会に所属することになった委員に,その所属について話し合ってもらいたい。

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