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第62回国語審議会総会(昭和41.1.26)議事要旨
1 | 開会 |
会長に代わって,副会長の司会のもとに開会し,まず,昭和41年12月1日死去された佐々木茂索委員の霊に黙とうした。 | |
2 | 文部大臣あいさつ |
劔木文部大臣が就任に際してのあいさつをした。 | |
3 | 庶務報告 |
国語課長から,配布資料「自由民主党国語問題小委員会の要望について」の説明,ならびに,漢字習得状況調査,教育課程審議会の審議計画について,それぞれ概略の説明をした。 | |
4 | 議事要旨の確認 |
前回(第61回)総会の議事要旨を一部修正して確認した。 | |
5 | 協議 |
(1) 部会審議にゆだねるべき事項について協議することとした。まず,その前提として「当用漢字表」等の訓令・告示の前文について,大局的に検討すべきだとする意見があり,これに対して,抽象的議論よりも,直ちに具体的な事項についての審議にはいるべきだとする意見があったが,これらの問題を包含した「国語施策の改善の具体策について検討すべき問題点の説明資料」を部会における審議のめやすとすることで了承された。 | |
次いで,阿部委員から,資料「国語審議会の運営その他について」〔総-3-1〕の補正として,「当用漢字表等の取り扱い方に関する試案その他」が提出され,説明があった。 | |
(3) 次に,各委員から,部会に対する具体的な要望その他についての意見が述べられた。 | |
(ア) 漢字の選定は日常生活の語いと関連して考えること。 | |
(イ) 漢字の制限は,学校生活に限定して考え,一般社会に対しては無制限にすること。 | |
(ウ) 漢字の制限は,教育だけでなく,法令についても考慮すること。法令で使われる漢字は,教育でもその習得についてじゅうぶん考慮すること。 | |
(エ) 当用漢字の性格は,これまでと同じ方向で,つまり「範囲」と解釈して,修正は手直し程度にとどめるべきこと。 | |
(オ) 専門用語は別わくという考えでなく,漢字制限の方向で,当用漢字表の中に含めて考えること。 | |
(カ) 日常使用する漢語は漢字・かなのまぜ書きではなく,すべて漢字で書き表せるようにすること。 | |
(キ) 児童文学の方面では,881字以下の範囲内で新しい文体が生まれつつあるということを考慮して,漢字はふやさないこと。 | |
(ク) 国語政策の見地から,当用漢字表の大幅な変更は行なわないこと。 | |
(ケ) 音訓の幅を広げること。 | |
(コ) 固有名詞については別わくとする意見と,別わくは不可とする意見とあった。 | |
(サ) かな部会においては,送りがなとかなづかいの問題を並行して審議すること。 | |
(シ) かなの審議については,その原理を明らかにし,基本原則さえ習えばわかるようにすること。 | |
(4) その他,「現代かなづかい」にある助詞「は」「へ」「を」の問題についての意見があり,また外国の固有名詞の表記のしかたについても,この審議会で検討してはとの意見があった。 | |
(5) 最後に,前田会長は次のように述べ,了承された。 | |
「文字の問題は,国語の問題,現代国語の問題として考えるべきである。国民の生活能力を高め,文化水準を向上させることを国語改善の目標とすべきである。 | |
また国語を純化するように考えるべきである。上記の趣旨を達成するためには,漢字は無制限ではなく,かなづかいや音訓についても,この方向で考えていくことが妥当だと思う。決して短期間でできあがるとは思わないし,また審議の途中で,いろいろ意見が対立することもあろうが,部会は,まず,総会での各委員の意向を考慮に入れて審議してほしい。」 | |
(6) その他 | |
次回の総会は,昭和42年3月27日と予定された。 |