国語施策・日本語教育

HOME > 国語施策・日本語教育 > 国語施策情報 > 第8期国語審議会 > 第65回総会 > 議事要旨

第65回国語審議会総会(昭和42.7.24)議事要旨

開会(前田会長が欠席のため,古賀副会長が司会。)
庶務報告
 文化局長の異動に関連して蒲生前文化局長,後任の安達文化局長(前文化局審議官),内山文化局審議官(前社会教育局社会教育課長)から,それぞれあいさつがあった。
協議
(1) 議事要旨の確認
 前回(第64回)総会の議事要旨の確認を行なった。
(2) 部会の審議経過報告について
 漢字部会長およびかな部会長から,それぞれ次のような部会審議経過報告を口頭で行なった。
 (ア)漢字部会
 漢字部会では,当用漢字音訓表の問題から検討をはじめたこと。まず部会であらかじめ漢字の音訓に対する基本的な考え方として,異字同訓・同字異訓は整理する方向で考えるべきであるという意見と,漢字を使う以上は,その表意性をいかして,ある程度の異字同訓・同字異訓も認めることはやむを得ないという意見とがあって,結論は得ていないこと。資料「当用漢字の音訓使用度数に関する資料」〔総-12〕について個々の漢字の音訓について検討にはいったこと。また漢字表の構成方法について検討するために小委員会を設けて,一度会合したこと。
 (イ)かな部会
 かな部会では,送りがなの問題を審議することとして,まず「活用語の活用語尾を送る。」という原則のみで貫いたら,どのような問題があるかを見きわめるため,「送りがなのつけ方」の通則に掲げられた用例について,いちおう全部この原則どおりに送ってみることにしたこと。これが資料〔総-13〕で,この場合,解釈のしかたで三とおりの送り方が考えられるので,通則とこの3種の送り方が比較対照してあること。そしてこの表を検討した結果,問題になる点がかなりはっきりしてきたと思われるので,今後はこれらについて多くの語例を集めて検討する予定であること。
 以上の部会審議経過報告について,次のような意見があった。
 (ア) 漢字表の構成を考える場合,あらかじめ漢字の字数を限定して審議するやり方はおかしい。
 (イ) かな部会では送りがなの問題から先に審議されているが,送りがなの問題点と同時に,現代かなづかいの問題点も早く明らかにしてほしい。
 (ウ) 送りがなの問題を考えるにあたって,その語のいちばん古い形にまでさかのぼって,そこから変化したものと認めれば,これを転成した語とみて,送りがなを考えるなどは,現代語の書き表し方を考えようとする場合に必要のないことである。
 (エ) 部会の審議経過報告は口頭でなく,刷り物にしてほしい。
(3) 木内提案について
 副会長から,前回の総会の取り決めによって開かれた漢字・かなの合同会議では,木内提案について説明を聞き,またいろいろ懇談したが,この問題を合同会議の形で取り扱うのは必ずしも適当でないとの空気が強かったこと,もっと明確な提案理由を示してもらいたいこと,また提案事項が質問の形式で書かれているけれども,それに対する提案者自身の考えを述べてもらいたいことなどの意見が出た旨の報告があった。以上のことを考慮し,この総会において,@「戦後の国語施策の根本理念を再吟味するための提案」,A「提案理由」,B「私の意見」が提出され,その追加説明があった。
 この提案に対し,委員の中で意見があれば,9月中ごろまでに書面で提出されたい旨の木内委員の希望の表明があり,了承された。
(4) 国語表記に関する意見収集について
 現行の当用漢字等の国語表記の基準に関して,関係機関・団体および個人の意見を収集して,国語審議会の審議の参考に資するため,「国語表記に関する意見収集」を実施する旨,国語課長から説明があり,これを了承した。
 なお,上記の調査については,国語審議会委員の協力を得ることとし,次の7名の委員が古賀副会長から指名された。
 岩淵,大野,熊沢,柴田,中田,大和,山本各委員
(5) その他のおもな意見
 (ア)「国語表記に関する意見収集」の調査はけっこうであるが,今回の計画にあるような比較的専門家のみならず,一般国民や,これから文字を学ぼうとする年代の者などを対象とした計画も必要と思う。
 (イ)「国語表記に関する意見収集」と関連して,漢字の構造原理等の各方面の研究結果をも集めるように配慮してほしい。
 (ウ)国立国語研究所は,国民のための国語辞典の編集を急ぐべきである。

トップページへ

ページトップへ