国語施策・日本語教育

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次第 国語表記に関する意見収集について

古賀副会長

 次いで,「国語表記に関する意見収集について」をおはかりしたい。まず事務当局から説明がある。

金田課長

 本年度の予算に計上している「国語表記に関する意見種集について」
(「別紙2」参照。)

別紙2

国語表記に関する意見収集について(案)

昭和42年7月24日

〔趣 旨〕

 現行の当用漢字表等の国語表記の基準に関して,関係の機関・団体および個人の意見を収集して,国語審議会の審議の参考に資する。

〔調査事項〕

 現行の国語表記の基準のうち当用漢字表(別表を含む。),当用漢字音訓表,当用漢字字体表,送りがなのつけ方および現代かなづかいについて,その改善に関する意見を調査する。

〔調査対象〕

 意見収集のための調査対象は,次のとおりとする。

  1 機関・個人 国家機関,報道・出版・広告の関係機関・団体その他合計約1,000とする。
  2 個  人  公務員(学校教職員を含む。),報道・出版・広告の関係者,学識経験者,学生その他合計約2,000とする。

〔調査方法〕
  1 国語審議会委員若干名を含む専門委員を委嘱して,具体的な調査項目の決定,調査対象の選定その他必要な事項に関する意見をきく。
  2 調査実施の時期は昭和42年11月とする。

 というのは,現行の当用漢字表等の国語表記の基準に関して,関係の機関・団体および個人の意見を収集して,国語審議会の審議の参考に資そうとするものである。これははじめての試みであるが,この調査の調査事項や調査方法に慎重を期すために,国語審議会委員の中から,何名かのかたがたにご協力をお願いしたいと思う。調査の実施時期はことしの11月ごろを予定しているが,次回(10月6日)の総会までに,その具体的な要項を定めて,みなさんのご了承を得たいと考えている。とりあえず本日この席上でご協力いただく委員の選任をお願いしたい。

古賀副会長

 この調査を実施するということはご承認を願えるか。(賛成)。では,さっそくこの調査にご協力いただく委員を指名させていただく。岩淵,大野,熊沢,柴田,中田,大和,山本の各委員にお願いしたい。なお,このほかにもご協力願える委員があれば申し出てほしい。残り時間も少ないが,なにか特に発言があれば承りたい。

森戸委員

 「国語表記に関する意見収集について」の調査はまことにけっこうなことである。予算の関係で,そう大げさな調査もできないと思うが,ただ,わたしの予想では,漢字を多く知っている人,使う人といった専門家を対象に調査するだけでなく,国語の問題は一般の人々の問題であるから,日常,現に国語を使っている人,これから国語を学ぼうとする人々の意見もじゅうぶんに聞いていくようにしなければならないと思っている。今回は比較的専門家を対象に調査されるようであるが,広く一般の人々が戦後の国語改革や国語の将来をどう考えているのか,そうした基本的なことも,今後調査していただきたいとお願いしておきたい。

長岡委員

 今期の国語審議会は,文部大臣から国語施策の改善の具体策について諮問を受けているが,国語施策の改善というからには,改善されるべき国語の具体的現状を知らなければならない。その意味で,文部省は現代に即した国語辞典を編集して国民の前に示すことが急務である。それには国立国語研究所の仕事の一部を割愛しても権威ある国語辞典の編集を進めるべきであり,また,国民の各家庭に1冊ずつそれが備えられるようにしていくことが国語改善の具対策ではないかとわたしは考えている。現在の国立国語研究所の仕事の中には,割愛してよいようなものもあるようだ。たとえば方言の研究などに相当の労力を費やされているが,これなどは割愛してもらってもいい仕事の一つであると思うが。

阿部委員

 「国語表記に関する意見収集」の調査と関連してお願いしたいことがある。現在の当用漢字表は主として,出度数を基準にして選定されているが,わたしは漢字の構造原理から選定すれば違った結果が出てくるものと考えている。この漢字の構造原理については,現に研究している人もあって,教育基本漢字といった程度の漢字900字を覚えれば,それからふえんして1,000字から1,200字程度の漢字を自然に覚えるということである。わたしは今度の調査だけでなく,そういう研究の結果も国語審議会に提出してもらえるよう配慮願いたいと思っている。

古賀副会長

 いま述べられた各意見について,関係者はよく考えてほしい。ほかに意見がなければ,これで閉会とする。

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