国語施策・日本語教育

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第66回国語審議会総会(昭和42.10.6)議事要旨

庶務報告
(1) 斎藤文部事務次官(10月3日付け就任。)の紹介と,同士のあいさつがあった。
(2) 委員の移動について報告があり,小林,近藤,成田の3委員の辞任にかわり,新任の遠藤,西村,平田の3委員の紹介があった。
協議
(1) 議事要旨の確認
 前回(第65回)総会の議事要旨の確認を行なった。
(2) 部会の審議経過報告について
 漢字部会長およびかな部会長から,それぞれ次のような部会審議経過報告を行なった。
 (ア)漢字部会
 当用漢字表の漢字について,その音訓を検討する。検討にあたっての基本的な考え方の資料として,資料「音訓整理の考え方について」〔総-14〕をまとめた。
 (イ)かな部会
 これまでは活用語の活用語尾に限定した場合の送りがなについて検討を続けてきたが,これだけでは処理できない語も種々あるので,今後は資料〔総-15〕に基づいて,検討していくことにした。
 以上の部会審議経過報告に対して,次のような補足説明および意見があった。
 (ア) 音訓にも,教育用音訓と一般用音訓の二とおりを認め,使い分けてはどうか。
 (イ) 当用漢字音訓表は,書く場合について決められているけれども,音訓の整理では,従来の出版物も読めるように配慮しておくことが重要なことである。
 (ウ) 当用漢字の音訓を,かなりゆるめてはという意見には疑問がある。異字同訓を多くすることは国語の混乱をきたすのではないか。
 (エ) 「音訓整理は教育面で使用する場合に限ってはどうか。」という意見があるが,その範囲および教育面への具体的な適用のしかたについても,よく検討してほしい。
 (オ) 音訓整理の場合,字義と字訓との関連をも考慮する必要はないか。
 (カ) 異字同訓を多く残すことは国語の混乱を起こすという意見もあるが,反面,音訓が少ないために従来の文献が読めなくなるということも,国語の混乱の一つをいえよう。
 (キ) 音訓の整理をするにあたっては,次の世代の人のことや,外国人に対する日本語教育ということも相当に考慮してほしい。
(3) 木内提案について
 第65回総会で,木内提案に対し各委員の中で意見のあるものは書面で提出するということになっていたが,その後意見の提出はほとんどなかった。会長の発案によりあらためて,この問題について有志による懇談をすることとした。なお,この懇談は,国語審議会として行なうものでないこと,かつ木内提案だけにとどまらず,その他の問題についても自由に懇談するものであるということで了承された。
(4) その他
 (ア) 部会で意見の対立があった場合に,多数決に従うのか,どうかという質問があり,これに対し,第1回(昭和41年12月12日)の漢字・かなの合同会議で申し合わせた「部会の運営について」にも「部会は総会から付託された事項について問題を整理し,技術的・専門的事項を検討する。」とあるように,最終的な議決は,部会でなく,総会で行なうものであることを確認した。
 (イ) 今後の国語審議会の審議の結論をどういう形で結んでいくのか,会長の考えを聞きたいという希望に対し,会長の見解としては,今期の任期中になんらかの結論が出せるものなら出すべきだが,現在の審議の進行過程からいって,なかなかむずかしいかもしれないこと,そして,もし結論が得られない場合には,文部当局としても,次期に引き続いて検討を希望しているので,そのように処理することになろうが,いずれにしても,残りの期間で,できるだけ審議を活発に行なって,できれば結論の出せるようにみなさんの協力を得たいということであった。
その他
(1) 安達文化局長から教育課程審議会との関連について,次のような説明があった。
 教育課程審議会では,あくまで現行の当用漢字表,当用漢字別表等を前提にして審議している。さきの中間発表で,漢字学習について漢字の読み書き能力を高めるために,低学年から現行より多くの漢字を学習できるように処理するとの発表があったことについて,世間では,当用漢字別表の漢字がふえるのではないかなどという誤解もあるが,これは各学年における漢字指導の問題であって,現行の当用漢字別表の内容にはふれないこととなっている。
(2) かな部会に所属する委員として,金田一委員を追加指名した旨報告があり,了承された。

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