国語施策・日本語教育

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次第 庶務報告/前回の議事要旨について/漢字部会の審議経過について

古賀副会長

 会長が少し遅れてお見えになるので,それまでかわって司会をつとめる。まず事務当局から庶務報告がある。

金田国語課長

 本日,新しく就任された灘尾文部大臣のあいさつを予定しているが,国会との関係で,あるいは失礼することになるかもしれないので,あらかじめお断りしておく。次に,第65回総会で承認された「国語施策に関する意見収集」についてのその後の経過を報告する。国語審議会委員7名と学識経験者7名とからなる計14名のかたがたで協力者会議をもち,数回にわたって検討を重ねてきたが,まだ調査表の成案を得ていない。いまのところ,考えられている調査のねらいは,当用漢字表,現代かなづかい,送りがなのつけ方の三つの柱に関して,国語審議会の審議の参考資料にするために,現場において問題となっているような具体的事項についての意見を,記述式で収集しようというところにある。だからこの調査は,世論調査のように傾向を量的にはあくしようとするのではなく,具体的事例を集めようとするもので,かなり専門的な程度の高いものになろう。調査対象数は,当初想定したよりもかなり減少して500〜600になろうが,調査表の原案がまとまりしだい,委員各位にもお届けしたい。

古賀副会長

 協議にはいる。まず前回の議事要旨の確認を行ないたい。
(国語課長,「第66回国語審議会総会議事要旨」を朗読。)
 前回の議事要旨について,訂正や意見があれば伺いたい。

古賀副会長

 意見がなければ,議事要旨は承認されたことにして,引き続き漢字部会から審議経過報告をお願いしたい。

岩淵漢字部会長

 漢字部会は前回の総会以後3回部会を開いた。そして前回の総会でご承認願った資料「音訓整理の考え方について」〔総−14〕をもとに,「現代雑誌九十種の用語用字」(国立国語研究所編)の中から,当用漢字表にある漢字について音訓表で認められていない音訓のうち,まず使用度数15回以上のものについて具体的な検討をはじめた。そのうち,これまでに23字の検討をすませたわけである。しかし,検討をはじめるまえに,次の三つのことがらが問題になった。第1は,音訓表の性格を「範囲」と考えるのか,「基準」と考えるのかという問題である。部会の考え方としては,だいたい「基準」に傾いているように思えるが,しかし「基準」にしても,いちおうの「わく」は必要であるということから,とにかく,そのわくづくりをやろうということになった。第2は,この「わく」づくりをやるにしても,その「わく」は義務教育のためであるのか,一般社会のためであるのかという問題である。いちおう漢字部会としては,当初から一般社会を対象に考えていることでもあり,義務教育については,あとで考慮すればよいということであったが,この問題については,本日,志田委員からも意見が出ているように,問題が多い。第3は,音訓を検討する場合にこれからの文章を書き表すためにという前提で考えるのか,それとも過去の文献も読めるように配慮するという前提で考えるのかどうかということが問題になったが,けっきょく部会としては,この二とおりの立場から検討をすることとした。ただし,委員によっては,読む立場からの配慮というのには意味がないということから,書く立場からだけで検討されたかたもある。
 次に,具体的な音訓の検討に際しては,資料「音訓整理の考え方について」〔総−14〕にある項目のうち,いずれに重点において考えるのかが問題になったが,これは各委員の自由裁量に任せて検討した。したがって委員によって使用度数に,あるいは異字同訓の整理にというように,重点の置き方が違っているが,これらの検討の結果は,本日配布した資料に示してあるとおりである。(このあと,資料「音訓検討表」「音訓検討表に基づいて各委員が判定した結果の表」について説明。)
 以上の部会での検討の結果,「開(あける)・街(まち)・格(コウ)・乾(かわく)・眼(め)・球(たま)・魚(さかな)・兄(にい)・空(から)・固(かたい)・後(あと)」などは新しく認めてもよいと考えられるが,「以(もって)・為(ため)・居(おる)・許(もと)」などは,その必要がないというようなところであったように思う。結果からは,なにか,かなり音訓制限をゆるめるような印象にとられるかもしれないが,これは,現在検討中のものが,使用度数の高いものである関係からである。今後,逐次使用度数の低いものについても検討していく予定であるが,その場合は,新しく認める音訓は,かなり少ないことと思われる。なお,部会での審議の過程で,音については検討する必要がないという意見も出たが,音にまったくふれないというわけにもいかないというのが,部会の大勢であった。
(前田会長 出席)

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