国語施策・日本語教育

HOME > 国語施策・日本語教育 > 国語施策情報 > 第8期国語審議会 > 第69回総会 > 議事要旨

第69回国語審議会総会(昭和43.5.27)議事要旨

開会
 昭和43年5月21日に死去された諸井貫一委員の霊に黙とうをささげた。
協議
(1)議事要旨の確認
 前回(第68回)総会の議事要旨(総会前に送付ずみ。)の確認については,審議時間の都合上省略し,もし訂正箇所等があれば,あとで事務当局に申し出るということで確認にかえることとした。
(2)小委員会審議経過報告について
 西島小委員長から小委員会の審議経過報告を行なった。この報告は,小委員会の最終的結論として報告されたものであり,総会はこれを了承した。なお,この報告に対して次のような質問や意見が出た。
 ア 当用漢字表等の改善の方向として,これを基準として尊重することが望ましいという小委員会報告の考え方は,現行の内閣告示を即刻その方向に改正せよということか,という質問に対し,西島委員長は,即刻改正するとなれば戦後の国語施策がなにか急変を起こしたかのような印象を国民に与え動揺をきたすので,将来,当用漢字表等が改正される際に,そのように改めてはという趣旨である旨の説明を行なった。
 イ 官庁等においては,内閣訓令によって厳格な制限を受けているため,仕事に非能率をきたしている。今回の小委員会報告の趣旨を尊重して,即刻とまでは言わなくても,できるだけ早い機会に生かすようにしてほしい。
 ウ 法令等の制定にあたって,現行の国語施策に全面的に協力してきたものにとっては,今後,当用漢字表等を,基準という方向でゆるめるといわれても,どこまでゆるめるのか,その許容範囲を具体的に示してもらわないと,今後の法令の審査や公用文の作成に支障をきたすこととなる。
(3)漢字部会およびかな部会審議経過報告について
 岩淵漢字部会長および久松かな部会長から,それぞれ両部会の審議経過報告を行なった。この両報告は中間的なものであるが,総会は,この両報告の大筋の方向を了承して次期国語審議会に引き継ぐこととした。
 なお,この両報告に対し,次のような要望や意見が出た。
 ア 漢字部会では,音訓の検討に際しては,一般社会を対象にして,専門語,学術語等にはふれないという態度をとっていうようであるが,今日,専門語,学術語等の分野ではどんどん新しいことばが生まれつつあり,あるものは何年か先には新聞紙上にも非常によく使われる可能性をもっている。今後,そういうことも考慮して検討してほしい。
 イ 漢字の問題をことばの問題と関連させて検討を進めている態度には同感である。ただ,資料として「現代雑誌九十種の用語用字(国立国語研究所編)」だけをよりどころとしているのには問題がある。それに当面の問題ばかりでなく,国語の将来についても検討する必要があろう。
大臣あいさつ
 第8期国語審議会の最終総会にあたって,灘尾文部大臣から,2か年にわたる審議に対し謝意が述べられた。
 なお,この際,文部大臣に対し「今回の小委員会報告の考え方は,現行の国語施策に対するこれまでの考え方と少し色あいが違ってきているが,小委員会報告の考え方は妥当なものであるから,これを生かす具体的な行動をとられるように要望する。」という意見が出,これに対して文部大臣は,「実際問題としては,今後関係方面とも相談する必要があろうが,報告の内容は尊重する方向で善処したい。」と述べた。

トップページへ

ページトップへ