国語施策・日本語教育

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漢字部会 第2回〜23回概況

〔概況〕

<第2回〜第4回>
 新しい委員が加わったので,前期(第8期)の漢字部会の審議経過の概要を部会長が説明し,部会は今期も引き続いて音訓の問題を優先的に審議することを了承した。そして,「音訓に関する小委員会」を設置して音訓についての前期からの継続審議を押し進めることとした。
 音訓審議の方法について意見の交換を行なった結果,音訓の選定は新聞・雑誌だと一般社会のためであり,義務教育期間に必ずしも学習させなくてもよいものを含むこと,語の表記のためのものとして考えることを了承した。これに対して,従来の文献を読むための音訓や,漢字の意味の理解を助けるようた訓も考慮すべきであるという意見もあった。

<第5回〜第8回>
 音訓の問題を音訓に関する小委員会で検討している間,当面,字種・字体の問題について自由討議を進めることとなり,前期の漢字部会での字種・字体の審議内容について部会長から説明し,字種の問題について1回,字体整理の考え方について3回話し合った。そして,これらの問題については,さらに資料の整備につとめることとした。以後は,音訓小委員会で手がけている音訓の問題を討議することとした。字種(字数)については,いわゆる補正資料で,加える字としている28字の処置,当用漢字表以外のもので府県名,大都市名などを書き表わすのに必要な漢字をどうするか,また,漢字表の組み立て方の問題などが話題となった。字体については,中国の簡体字と日本の略体の字との関連,当用漢字表内の漢字の字体と表外の漢字の字体との関連,略体の字をさらに検討してみること,活字の字体と書写の字体との関連などが話題となった。その中で,中国の簡体字と日本の略体の字を関連づけて考えることはむずかしいということであった。なお以上の経過を第72回総会(昭和44.3.10)に報告した。
 音訓に関する小委員会は,この間に8回開いた。進行、運営には岩淵部会長が当たることになった。まず審議の進め方について話し合った後,前期の漢字部会での音訓の検討結果をふまえながら,あらためて1,850字の1字1字について音訓の検討を始めた。これに関して,語表記一覧のようなものを作るのが基本であるとの意見があった。検討に際しては,前期と同じく「現代雑誌九十種の用語用字」のほか,新聞社で使用しているもの,また使用を希望しているもの,文芸家協会その他各方面からの意見や要望などを資料として用いた。

<第9回〜第14回>
 音訓に関する小委員会での審議と並行して,音訓の取捨に関する原則的な考え方,最終的な報告のまとめ方等について話し合った。また,熟字訓や和語の副詞等の問題について話し合った。その結果了解に達したのは,まず前提となる考え方については,音訓表を「制限」ではなく「基準」と考えること,一般社会で現代の日本語を書き表わすためのものであること,現行の当用漢字表1,850字の範囲内に限って取り扱うこと,選定の方針としては,現代語を書き表わすのに必要度の高いものを採用すること,いわゆる異字同訓はできるだけ避けるが,使用上漢字で区別する必要があると考えられるものは採用すること,もっぱら副詞または接続詞にだけ使われる訓でも特に必要なものは採用すること,海女(あま),為替(かわせ),景色(けしき),時計(とけい)などのいわゆる熟字訓やあて字も,語によっては漢字で書くほうがよいのではないかなどの諸点である。そして,音訓に関する小委員会での音訓の整理案を部会全体で検討し,成案をまとめる段階に達した。以上の経過を第73回総会(昭和44.12.5)に報告した。
 音訓に関する小委員会は,この間に14回開いた。音訓一つ一つの検討を継続し,また,副詞にあたる訓,接続詞にあたる訓についてはまとめて検討をした。そして,各委員の判定に基づいて1,850字の音訓を整理した「音訓整理表」の作成を進めた。

<第15回〜第18回>
 音訓に関する小委員会での整理案について部会委員の修正意見をまとめ,それに基づいて具体的な検討を行なった。さらに「音訓表」の趣旨の説明(前文)や前書き・凡例の文案について審議し,一応の成案を得て,第1回合同会議(昭和45.3.13)に提出した。
 音訓に関する小委員会は,この聞に9回開いた。熟字訓および異字同訓について採否の検討を行なった。熟字訓については「現代雑誌九十種の用語用字」に現われるものや,新聞社で使用しているもの,また,使用を希望しているものを主として検討し,文芸家協会その他各方面の要望などを参考にした。異字同訓については専門調査員に委嘱して資料を整備した。
 また,この間に音訓の整理,音訓表の前書きの作成,報告案の起草等についての整理・起草委員会を3回開いた。

<第19回〜第23回>
 音訓表の前文や,本表,付表の構成,内容について討議し,第1回合同会議以後各委員から寄せられた意見をも参考にして修正を加えた。そして第2回,第3回の合同会議の議を経て。「当用漢字改定音訓表(案)」として最終総会(第74回,昭和45.5.27)に報告した。なお,参考資料として「訓の一覧表」,「『異字同訓』の漢字の用法」をあわせて総会に提出した。
 音訓に関する小委員会は,この間に10回開いた。まず第1回の合同会議以後各委員から寄せられた「音訓表(案)」に対する意見について具体的な検討を行ない,さらに第2回,第3回の合同会議を経て,「音訓」,「例」,「備考」の各欄,「付表」および「前文」,「表の見方」の内容について修正を重ねた。また,異字同訓の漢字の書き分けについて審議し,参考資料「『異字同訓』の漢字の用法」を作成した。たお,この間に,報告案の起草についての整理・起草委員会を2回開いた。

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