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第71回国語審議会総会(昭和43.7.29)議事要旨

 議事要旨の確認
 前回(第70回)総会の議事要旨の確認を行なった。なお,確認の際,総合委員会(仮称)の設置をめぐって,次のような意見が出た。
(1) 総合委員会は部会の一つか。部会と同じように所属外の委員の出席ができるか。漢字・かなの両部会で,ある具体案がまとめられた場合,それをさらに審議する権限をもつものなのかどうか。できれば,総合委員会で扱う問題を明らかにしておいたほうがよいのではないか。
(2) 総合委員会は国語施策実施上に関する問題点についてのみ審議することにしてはどうか。部会審議に制約を加えるようなことになると,部会審議がやりにくくなる。
(3) 漢字・かなの両部会に共通の問題や,谷間にある問題については,前期におけるような両部会合同の会議を開くことによって,かなり解決がつくのではないか。総合委員会は問題が生じたときにのみ開く臨時の委員会としてはどうか。
(4) 漢字部会・かな部会は大臣の諮問にこたえて国語表記の基準に関するものだけを審議している。はたしてそれだけで国語の美しさ,正しさ,豊かさといったものが追求しうるものなのかどうか。こういう目的を達するためには,話しことばの問題等にもふれていく必要があろう。ある意味では,諮問事項以外の大きな問題に手をつけ,将来の国語審議会の行き方というものに方向を与えるという役目が総合委員会にあってもよいのではないか。
(5) 総合委員会は部会扱いとし,かつ,その性格は前期の小委員会と同様の性格,運営方法をとるとすれば支障も起きないのではないか。
 以上の意見を勘案して,会長から,総合委具会(仮称)の名称はこれを正式に「一般問題小委員会」と呼ぶこととし,「一般問題小委員会」は前回の決定どおりの方針,つまり部会とは別のものであるが,この小委員会は部会所属委員,運営委員会所属委員中のそれぞれ若干名で構成するものであるから,漢字・かなの両部会に共通する問題の調整や谷間にある諸問題を審議することになること,部会の審議を制約するような権限をもつものではないこと,そして小委員会には所属外の委員も出席できることとし,かつ,本日の各委員の意見をも取り入れて運営を考えていくことなどの表明があり,総会もあらためて「一般問題小委員会」の設置について賛同した。
 部会委員および小委員会委員の指名
 前回,会長に一任していた部会所属委員および小委員会所属委員について,次のとおり指名があった。
〔漢字部会〕
阿部,池上,石割,岩淵,大島,大野,小野(忍),小野(昇),菅野,北島,小谷,志田,実方,柴田,田中,長岡,中田,西尾,日高,平林,山田,李家 各委員(計22名)
(部会長 岩淵委員,部会長代理 阿部委員)
〔かな部会〕
植松,遠藤(五),遠藤(慎),金田一,熊沢,倉沢,佐々木,佐藤,時実,西原,野間,久松,平田,福田,三樹,村上 大和,吉国,吉田,和田,渡辺 各委員(計21名)
(部会長 村上委員,部会長代理 熊沢,佐々木両委員)
〔一般問題小委員会〕
阿部,岩淵,大野,熊沢,倉沢,佐々木,菅原,西島,日高,村上,大和,李家 各委員(計12名)
(委員長 西島委員,委員長代理は,特に決めず,委員長欠席の場合は,随時,議長を選出することとした。)
※部会長,部会長代理および委員長の選出については,会長から各所属委員を指名後,いったん総会を休憩し,ただちに部会および小委員会を開催して互選したものである。
その他
(1) 今期は,ア 前期の小委員会報告の大筋をふえんすべきこと,イ 審議の運営の効率化をはかること,ウ 漢字・かなの両部会の結論を待つまでもなく,なすべきこと(たとえば,戸籍法による人名に用いる漢字の制限等の問題。)があれば解決していくこと,かつ,この3点については,一般問題小委員会で取り上げて検討してほしいという意見があった。
(2) 前期の漢字部会の審議経過報告に関連して,審議の経緯,報告書に掲げてある語例の選定方法,またその語例が拡大解釈を要するものが多いのではないか,最終的に世間に公表する場合には,代表的な語例しか掲げないものかどうかといった質問があり,これに対して,報告書にある語例は一部にすぎず,ある程度問題になる音訓について検討がすんでいること,ただし,現行の当用漢字音訓表で認められている音訓の中にも問題のあるものがあるので,それらは,今後の検討課題として残っていること。最終的には,1字1字の音訓について示すことになろうという発言があった。

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