国語施策・日本語教育

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次第 前回の総会議事要旨の確認

国松国語課長

 第71回総会を開く。

前田会長

 議事を始めるにあたって相談したい。まず,前回の議事要旨の確認を願って,あとで部会の構成を決めていただき,それから自由討議にはいりたいと思うがどうか。(異議なし。)
 それでは,まず前回の議事要旨の確認を願いたい。
(国松国語課長「第70回国語審議会総会議事要旨」を朗読。)

前田会長

 前回の総会議事要旨をこのままお認めいただけるか。

大野委員

 総合委員会というのは,ここに「仮称」と書いてあるが,この間の話では部会の一つのように伺ったが,ここでは部会とは別扱いとなっている。そこはどうか。

前田会長

 わたくしとしての考え方では,いわゆる部会は,従来どおり漢字・かた両部会とする。ただし,その部会内で決定し得ない,あるいはまた,いろいろな一般常識に基づく問題が出てくるであろうと思うので,それらを総合調整するために,総合的な委員会をつくりたいという考え方である。したがって,小委員会であって,部会とは考えていなかった。

大野委員

 前回の議事要旨中 (3)のイに,「部会に所属しないものも部会に出席して意見を述べることができるものとする。」とあるが,そうすると総合委員会に属してないものは,総合委員会に出て発言できないということか。

前田会長

 部会については従来からもそうであり,今後もそのように取り計らいたいと考えていた。しかし,この委員会のほうはそこまで考えていなかったので,みなさんがそのほうがよいということであれば,いちおう所属委員を指名しておいて,必要に応じてだれでもこの委員会にも出て,傍聴なり意見を述べるなりすることができる道は開いてもよいかと考えている。

大野委員

 たとえば部会がある具体的な案をつくったときに,総合委員会はさらにそれを審議するという権限を持つものであるか,部会の意見に対して総合委員会はどういう権限を持っているかを,もう少し明確にしておいたらいいと思う。

前田会長

 部会が決定した事項等については,さらに総会で最終的意思を決定することとなると思う。この小委員会は,漢字とかなの両方に関連して,その必要があれば調整意見を出す。運営委員会と異なって,会議の運営という問題でなくて,漢字とかなの問題と関連を持ってくるわけであるが,最終的にはやはり総会でこれらの意見についてはすべて結論を出すということにかわりはない。したがって,本質的には総会の性格・権限などを変更するものではないと考えている。

大野委員

 そうすると,総合委員会というのは部会の一つと考えてよいのか。

前田会長

 部会は二つしかない。

大野委員

 前回の議事要旨にも,「両部会の谷間にある諸問題について審議する……。」というように書いてあるが,そこのところをもう少しはっきりしておいたほうが,今後いろいろなことを進めるうえに明確になるようにわたくしは思うがどうか。

安達文化庁次長

 会長のおっしゃる意味は,部会としては二つであるが,たとえば教育との関連というような問題については,漢字部会でもかな部会でも,それぞれ研究されるわけだが,そういう問題を双方で調整しながら考え方をまとめていくというような意味で,共通問題とか一般問題とかいうことが話に出たのではないかと思う。それから,この総合委員会の構成についても,部会の所属委員でありながら同時にこの委員会に出ていただくかたも出てくるだろうと思われる。そういう意味で,諮問事項を正式に審議するものとしては二つの部会であるが,両方に共通する問題についての調整やら,あるいはそこでの谷間にあるような問題については,総合委員会で議論していただいて,それをまた各部会に反映させていただくというようにし,最終的には,会長のおっしゃるように総会ですべて決定するという意味であろうかと思う。したがって,漢字部会およびかな部会で出たものを,さらに総合委員会にはかって,それからでなければ総会に出さないというものではなく,それぞれ漢字部会・かな部会から当然総会に対して直接報告がある。その間にあって,共通問題その他についての調整なり話し合いなりをしていただく機関としての総合委員会であるという意味で,部会ではないという形のほうがいいというのが会長の御趣旨であろうと思う。

前田会長

 次長から具体的にお話ししたとおりである。この委員会の委員は,かな部会と漢字部会からそれぞれ数名ずつ出ていただくという考え方である。さらにそのほかにはできれば運営委員会から1名か2名出ていただく。そういう形で漢字部会・かな部会の審議事項と関連し,しかも両部会の審議の対象とならない問題についても必要があれば,意見を調整しながら,両部会の検討の材料を豊かにしていくという考え方を,おもな目標としている。

岩淵委員

 わたくしは,いままで部会で具体的にぶつかった問題で申し上げてみたい。たとえば,教育に関することと一般社会に関することとを分けて考えたほうがいいとか,あるいは教育だけに限定したほうがいいとかいうような考え方を部会でも独自に考えていたわけであるが,総合委員会のほうでそういう点まで決められて,その結果が部会に示されるということになるのであろうか。それとも,そういうことを部会で考えて具体的にやってみても,総合委員会で「いや,そういうわけではないんだ。」といってむだになってしまう恐れがあるというようなことはないのだろうか。
 わたくしは,総合委員会のほうは,施策の実施上のいろいろな問題を考えるというようなことのほうがよくはたいかと思う。あまり部会のやり方について制約を加えるようなことになると,部会もやりにくいこともあるのではないかと思う。

前田会長

 わたくしとしては,部会に制約を加えるという考え方は毛頭持っていない,最も能率的に総会を運営していく方法はないかということをまず考えたわけである。そして,従来,一般方針,会議の運営方針については,運営委員会をつくり,これによって総会の運営を円滑にしていきたいということでみなさんの御賛同をいただいているわけである。また,専門部会としては,今後もかな部会と漢字部会とがあるわけである。しかし,この両部会と,会議の基本的運営方針を中心とする運営委員会だけでじゅうぶんかというと,少し疑問が残る。やはり,かな部会と漢字部会との間の,それぞれの専門分野で処理できない問題や,あるいは専門分野の中に頭を出さないで内在しているような問題にも触れて意見の交換があったほうがよいのではないかと考えた結果,そういう意味での小委員会をつくりたい。要するに,いろいろな問題が起こった場合に,総会に対しても,あるいは漢字・かな両部会の意思の疎通のためにも,こういう場を持っていたほうがいいのではないかという程度のものであって,これが両部会の作業を制約するとか,あるいは総会に代わるものであるとかいうような考え方は少しも持っていないわけである。

柴田委員

 わたくしの考えも岩淵委員の御発言と同じ方向である。第8期でも漢字部会・かな部会に共通な問題および両部会の谷間の問題については,合同部会というものがあって,そこで審議する機会がしばしばあったわけである。そういう合同部会というものをこんどは認めないのかどうか,そういうものがあれば,かなりの問題はそこで解決がつくのではないか。そこで解決がつかない問題があれば,総合委員会で審議するのもよいが,それは,漢字部会・かな部会が常置の委員会とすれば,これは臨時の委員会,つまり問題が起きたときに開く委員会という形にすることをわたくしは希望する。

前田会長

 いま御発言のあったかたがたは,前回すべて御欠席だったのか。

柴田委員

 わたくしは,前回欠席した。

大野委員

 わたくしは出席した。

前田会長

 わたくしは,前回の総会でこの委員会をつくることを了承いただいたように記憶しているのだが。いかがか。

大野委員

 総合委員会という名まえがそのときについていたかどうか明確な記憶がないのだが,その性格については,非常にふめいりょうなままで残されていたわけで,もう少しそれをはっきりと確認しておいたほうがいいという考え方から,くりかえし質問しているわけである。

前田会長

 前回,まだわたくし自身どういう名まえをつけたらいいかわからず,いちおう仮称としておいて,いずれ名まえをみなさんにも事務当局にも考えていただきたいということを申し上げたのである。したがって,この前回の議事要旨では,なまのままの名まえが出ているわけだが,きょうおはかりしたいと思っていた名まえは,総合委員会というのは少しいきすぎのようだから「一般問題小委員会」といったような名まえにしたいと思っていたわけである。

大野委員

 漢字・かなの両部会にわたる問題とか,両方の意見を調整することが必要であると認められる場合には,合同部会を開くことができると思う。ただ。第8期においては,国語施策の全般的な,また基本的な施策について,もう一度確認しておいたほうがいいというもののために,小委員会が途中でつくられて,そこで一つの案をつくり,それを総会にはかるということがあった。今回の場合は「一般問題小委員会」と会長がおっしゃったが,それがもし必要であるならば,こういう問題を現実に扱ったらどうかという具体的な例を出していただいたほうがはっきりするのではないかと思う。

前田会長

 それは,みなさんのお考えを伺って,総会として,そのほうがいいということであれば,わたくしは別に固執する気持ちはない。ただ,漢字・かな両部会の合同委員会というのは,実際上の問題としてはともかく,機構としてあったというようには考えられない。

大野委員

 何回か実際上やったわけである。

前田会長

 そういうことは今後もありうるだろうと思う。だからそのへんのことについては,わたくしは固定的には考えていないわけだが,しかし,委員の中にはやはりこういうものがあったほうがよいという御意見もある。

遠藤(慎)委員

 前回の議事要旨の中にも,「総合委員会(仮称)では,前期の小委員会報告にある国語の美しさ・豊かさ・正しさ・厳密さの深い意味,内容をもっと煮つめ,また基本的問題の輪郭も明確にしてほしい。」という要望・意見が出ている。文部大臣の諮問にこたえて,国語表記の基準に関することだけを,漢字部会もかな部会もやっているわけだが,国語表記の基準を推し進めていって,はたして,国語の美しさ・豊かさ・正しさ・厳密さの深い意味にまで到達できるかというと,そうではないと思う。
 つまり,話しことばの問題とか,そのほかいろいろな問題をも含めなければ,こういう目的は達せられないと思う。たとえば,最近新しくできた小学校学習指導要領では,ドラマの脚本の指導ということが削られているが,会話の指導をやらないでいいのかどうか問題である。諮問事項以外にもこういう大きな問題があると思う。総合委員会でそういうことに手をつけて将来の審議会の行き方に方向を与えるという役目が,総合委員会にあると思う。
 それからもう一つは,かな部会・漢字部会でなんらかのことが決まったときに,それを実施していく施策について考えること,この二つが,総合委員会の主たる役割ではないかと思う。

前田会長

 ほかに御意見はないか。

大和委員

 総合委員会は,性格的には非常に部会に近いと思うので,部会ではないけれども部会扱いとするというような項を入れていただいて,総合委員会に属しないかたも自由に出席して意見を述べられるということで,前期の基本問題小委員会で行なわれた方式でやっていだだけたら大きな問題や支障は起こらないのではないか。先ほどの遠藤委員の発言のように,美しく,正しく,あるいは厳密にというふうた,いわゆる理想の一つの型を追求していくということは,実は文部大臣の諮問を逸脱するのではなくて,やはりそれに準じた,あるいは関連のある問題を煮つめていくことになるという意味では,こういう機関があったほうが便利だと思う。
 総合委員会をどういう名まえにするか。さきほど会長が提案された「一般問題小委員会」という名まえは,それでもよいと思う。

前田会長

 ほかに御意見はないか。それではおはかりする。この小委員会は,いまみなさんに御発言いただいた点を中心として運営を考えていくということとし,再度小委員会そのものの設置について御賛同いただけるならば,前回決定どおりの方針でいきたいと考えるがいかがか。よければそうしたい。

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