国語施策・日本語教育

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次第 かな部会(村上部会長)

岩淵漢字部会長

 なければ,引き続いて,かな部会の報告をお願いする。

村上かな部会長

 かな部会からの中間報告を申し上げます。
 かな部会もこれまで8回の部会審議を重ねてまいりました。かな部会には御承知のように審議すべき重要事項としては,かなづかいと,送りがなの二つの基本的な問題があるわけでございますが,今回,第9期のかな部会におきましては,前期のかな部会と同様に,まず送りがなの問題を取り上げるということにいたしまして,前期のかな部会の審議会の経過,および成果を受け継いで継続審議をいたしてまいりました。
 そこでまず今期のかな部会で審議すべき対象をどこにおくかということでありますが,それは当然前期のかな部会における審議の経過を受け継いでおりますので,まずその審議の対象は前期と同様に,現代国語を書き表わすものであって,一般社会において用いられているもの,一般社会と申しますのは,御承知のように法令とか,公用文とか,新聞,雑誌等を含めていうのでありますが,そういうのを審議の対象にするということであります。
 それから第2は,現行の当用漢字音訓表内の漢字とかなで書き表わす語を審議の対象にするということであります。こういうふうに審議の対象を前期のかな部会と同様に限定をいたしまして審議を進めてまいりました。
 次に,今期のかな部会が取り上げました審議の方法について簡単に御説明申し上げます。これは御承知のことと思いますけれども,前期最後の総会のかな部会からの報告の中で,送りがなのつけ方に関する審議のための語の分類表というものが出ております。この分類表に従って語例審議を続けてまいりました。この分類表というのは現行の告示がとっております品詞別の分類ではなくして,いわば語の構造別による類型的な分類であります。この新しい分類表は語の全体を大きく単独の語の語群と,複合の語の語群に分けて,それぞれの二つの大きな語群を,さらに活用する語と活用しない語に分けるなどして,語の全体を71の語群に分けている分類法であります,この分類法に従って各語群に属する語例審議をしながら,それを通して各語群に共通する基準として考えられる一般的法則を明らかにしていくという審議の方法をとりました。前回,第8回までで,ほぼいま申し上げました単独の語群のひととおりの審議を終わりました。次回からは複合の語群の審議にはいる予定であります。
 このような審議の方法による審議の過程でだんだん明らかにされてきた一般的法則についての考え方には,次のような考え方がございます。各語群に共通する基準として考えられる一般的な法則は,できるだけ単純包括的なもので,原理的に一貫しうるものが望ましい。できるだけ単純包括的なもので,例外を認めないですむような,原理的に一貫したものであってほしいということであります。そういう一般的な法則として考えられるものとしては,まず第1に用言については活用語尾を送るという原則が考えられました。この原則を基本にしてできるだけ例外を設けないような語処理をしていきたいと考えます。
 それから第2には自他の対応関係,派生関係については,もとの語の活用語尾にあたる部分から送るという原則が考えられてまいりました。しかしこの二つの原則だけで処理していこうとすると,社会的慣用等の上からみて著しく抵抗が感じられる,あるいは混乱を招くおそれもあるので,それについては,なんらかの処置を講ずるほうがよくはないか,その必要があるのではないかというふうに考えられておりました。
 原理,あるいは原則について,もう一つ新しい考え方が出てまいりました。それは接尾語的成分を伴う語については,その部分から送るという原則的な考え方であります。この場合,接尾語的成分というのは語の重要な部分から切り離すことのできる部分,その中には活用語尾等も含めて考えてみたいというものであります。その部分から送るようにすれば,送りがなのつけ方についていっそう一貫性のある原則が出てくるのではないか,こういう意見でございます。ただこの場合,接尾語的成分というものをどんなふうに考えるか,これまでのいわゆる接尾語との関係において,この新しい接尾語的成分をどうみるかということについて基本的な問題がありますので,この問題は続けて検討することにいたしております。
 次には活用しない本来の名詞等については送りがなをつけないということを原則にしよう,しかし語によっては必要に応じて送ることもあわせ認めることが実際的ではないか,それから活用しない語の副詞,接続詞,あるいは連体詞等については,現行どおり送りがなをつけるということで,特に問題はないといった意見でありました。
 最後に動詞の連用形の名詞的用法のようなもの,これが前期のかな部会では動詞的意識の強いものと,名詞的意識の強いものに分けられておりますが,どうもこの分類のしかたは主観的なものになるので,まだ問題が残っておりますので,できれば送りがなをつけるというようなことで統一し,その基準を明らかにしたほうがよくはないかという意見が出ております。
 以上がこれまでの単独の語の語群についての審議の経過,およびその主要な問題点でございます。これでいちおう単独の語の語群,これが32群ございますが,この審議をひととおり終わりましたので,次回からは,さきほど申し上げましたように複合の語の語群―――複合動詞や複合名詞についての語例審議にはいり,その法則化について検討していきたいと考えております。
 この二つの語群についての語例審議を終えた段階で,これまでの審議の経過の中で出てきた一般的な法則に関する考え方を整理しながら,結論を出してきたい,こういうふうに考えております。
 以上がかな部会の中間報告でございますが,あるいは重要なことで不足しておることがございますれば,かな部会の委員の先生がたに補足をしていただきたいと思います。以上でございます。

前田会長

 ただいまのかな部会長の報告について,かな部会委員の中から補足して説明することがあればお願いする。

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