国語施策・日本語教育

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一般問題小委員会審議経過報告(審議経過報告)

前田会長

 次に一般問題小委員会の報告をお願いする。

西島一般問題小委員会委員長

 時間の関係上,配布資料「一般問題小委員会審議経過報告」を朗読して報告にかえる。
(西島委員長,以下の「一般問題小委員会審議経過報告」を朗読。)

〔一般問題小委員会審議経過報告〕

 第9期の国語審議会に設置された一般問題小委員会は,主として,国語施策と教育との関係について検討した。その審議経過は,過去2回の総会のたびに報告をしてきたのであるが,第9期の最終総会にあたって,あらためて,審議の概況をまとめて報告する。

1 当用漢字表,当用漢字音訓表と義務教育との関連

(1)  漢字の字種について:一般社会で基準となるもののすべてを義務教育の期間中に指導することは実際には困難であると思われる。そこで,一般社会での基準の中から基礎的なものを,教育上の基準として定め,義務教育で指導することが適当である。
 ここにいう教育上の「基準」を,どのような形式で定めるべきかは,なお,検討を要すると思われるが,いわば,指導上の最低基準と考えるべきである。すなわち,「基準」に掲げてある漢字は,義務教育の期間中に,計画的に学習させるべきものであって,これを下回ってはならないものとすべきである。
(2)  音訓について:字種と同様に,一般社会での基準の中から基礎的なものを選んで指導することが適当と思われる。

2 「送りがなのつけ方」と義務教育との関連

   一般社会での基準と,義務教育の期間中に指導すべきものとが,一致することが望ましいが,教育上の必要に応じた配慮をすることも考えられる。

3 国語教育について

(1)  義務教育で行なう漢字の指導について,「読み」と「書き」とを分離して行ない,漢字の「読み」を「書き」に先行させて,多くの漢字について「読み」の能力を伸ばし,全教科の教育内容の向上を図るべきである,との提案があった。
 これに対して,少なくとも,小学校の低学年における計画学習では,教育技術のうえからみて,「読み」と「書き」とを並行して行なうことが必要であるとの意見があった。
 この問題について,どちらのほうが学習効果が上がるか,必要な実験調査を行ない,慎重に研究してほしいという要望があり,これをめぐって,いろいろの討議が行なわれたが,結局,文部省でこの実験調査について種々の観点から慎重に検討されることを了承して,小委員会としてはこの問題の審議を終えることとした。
(2)  また,現行の国語施策は主として「書くための範囲」であって,これを直接に児童・生徒の「読み,理解する基準」として適用することは問題であり,国語教育は過去のすぐれた言語文化を享受し,現在の読み書き話す能力を高め,未来を開くためのものであるとの見地から,たとえば義務教育の期間中における古典的教材の取り扱いを増すべきであるなどの国語教育振興についての提案があった。
 この提案に関連して,国語教育の現状について検討を行なったが,これに関して教育的配慮から実施すべき事項は,教育関係機関での検討にまつべきものであろうが,なお,国語審議会としても,国語教育の振興を図る必要があることを認め,
   義務教育における国語科の学習時間を増加すること。
   教員養成機関における国語教育を充実すること。
   国語科以外の他教科を受け持つ教師にも,国語に関する事がらについての知識・教養を高めるための措置をすること。
   国語教育関係諸機関が行なう諸研究を拡大・進展すること。

  などのための検討が必要であると考えた。


 以上の報告の内容は,国語審議会の当面の仕事である国語施策の改善の具体策についての答申の実施にあたって,関係各方面でじゅうぶんに考慮されるよう期待するしだいである。

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