国語施策・日本語教育

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次第 一般問題小委員会(西島委員長)

前田会長

 続いて一般問題小委員会委員長から中間報告をしていただく。

西島一般問題小委員会委員長

 小委員会では,総会での要望に基づいて,まず国語施策を公示する方法について審議した。これは,第8期の国語審議会の小委員会の報告の中で,国語施策の実施は,従来どおり,内閣告示・内閣訓令の形式によるのが適当と考える旨を述べている。今回は,内閣法制局法制次長の吉国委員に,小委員会に加わっていただいて審議を重ねた。
 その結果,訓令・告示の法制上の性格についての解釈はまちがっていなかったという結論に達した。国家行政組織法の第14条第1項では,「各大臣,各委員会及び各庁の長官は,その機関の所掌事務について,公示を必要とする場合においては,告示を発することができる。」第2項では「各大臣,各委員会及び各庁の長官は,その機関の所掌事務について,命令又は示達するため,所管の諸機関及び職員に対し,訓令又は通達を発することができる。」と規定している。すなわち,告示とは公示であり,訓令とは,官庁がその所管の機関に対して命令を発し,これを拘束するものであり,国民全体を拘束するものではない,ということである。ただこれまでの訓令や告示の文章が,国民全体を拘束するのかともとれるような表現があったために誤解を招いたと思われる。したがって,この点を注意すれば,改定音訓表や改定送りがなのつけ方を発表し実施する場合に,訓令・告示の形式を採ってよいという結論を得たのである。
 さらに訓令・告示という方法を採る場合,具体的な方法として,1現在の訓令・告示を廃して,新しい訓令・告示を発する。2新しい訓令・告示で現在のそれを改正する,という2方法がある。このいずれの方法を考えるかについては,今回の改定は「制限」から「基準・目安」へとその根本的な考え方を変えるのであるから,前者の方法,つまり現在の訓令・告示を廃止して,新しい訓令・告示を発する方法がよいという意見が多いようであった。また,訓令・告示の内容について今度の改定音訓表・改定送りがなのつけ方の前文を訓令・告示に取り入れ,改定の精神をはっきり訓令等の中に明記したらどうかという意見もあるが,他方,これまでの訓令・告示の内容はきわめて簡単なのが例であるので訓令・告示の内容はできるだけ簡単にして,改定の精神は,文部大臣の談話とか国語審議会の方針などの中で詳しく説明するほうがよいのではないかという意見もある。いずれにしても,訓令・告示の内容は内閣法制局や文部省であらかじめ検討してもらって,国民に強制するものではないが,皆が守っていこうという精神を盛り込むようにしたいという希望である。もちろん,この内容については,案がまとまった段階で各部会等の合同会議などで特に検討すべきであると考えている。
 さらに,第9期の最終総会に報告した,「一般問題小委員会審議経過報告」の中で国語教育振興に関する施策として,(1)義務教育における国語科の学習時間を増加すること,(2)教員養成機関における国語教育を充実すること,(3)国語科以外の他教科を受け持つ教師にも,国語に関する事がらについての知識・教養を高めるための措置をすること,(4)国語教育関係諸機関が行なう諸研究を拡大・進展すること,の四つを取り上げ検討することが必要であると報告しているが,前期に続いて国語施策と教育との関連をもっと検討したいという要望が出た。今日の児童・生徒・学生を通じて全般に国語力が低下している原因は何か,それは戦後の国語施策と関係があるのではないか,あるいは国語教育そのものの貧弱さに基づくものではないかというようなことについて論議し,前述の4項目についてさらに検討を続け,国語教育の現状を分析した。その結果,義務教育だけでなく,高等学校・大学を通じて国語教育を充実すること,それは単に国語科の時間数の増加だけでなく質的に充実させることが必要である。すなわち,全教科を通じて国語教育の重要性を強調することが必要であることなどを認めた。
 そこで近い将来,国語審議会が,改定音訓表や改定送りがなのつけ方を決定し答申する場合,国語教育の振興に関しても,国語審議会の名で建議したいということになった。
 なお,この内容は,小委員会でさらに検討を続けることになっている。

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