国語施策・日本語教育

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次第 前文について補足説明

佐々木かな部長

 この内容は,もうすでに,説明会,その他で先刻御承知と思うので,ここでは,この中からいままでの繰り返しになるとは思うが,要点を,三つばかり取り上げて,お話を申し上げたいと思う。
 その第1は,「適用範囲」である。「前文」の第2節に,この「改定送りがなのつけ方」は,「法令・公用文書・新聞・雑誌・放送など,一般の社会生活で現代の国語を書き表わす場合の送りがなのつけ方のよりどころを示すものである。」とあるが,その「法令・公用文書・新聞・雑誌・放送など,一般の社会生活で」というのは,適用の範囲を示したのである。ここは,「当用漢字改定音訓表」とひょうそくを合わせてある。これについては,のちほど漢字部会長からお話があることと思うが,要は適用範囲を音訓表と同じにしたのである。
 それから第2は「方針」である。「方針」の第2節に,「今回,送りがなのつけ方を改定するに当たっては,国語表記の実態を踏まえたうえで,できるだけ系統的で簡明な法則にまとめることとした。」とあるが「しかし,送りがなには,このような法則だけで処理することのできない慣用の事実があり,これを無視するわけにはいかない。そこで,この現実を考慮して,慣用を尊重し,さらに表記上の実際に即して弾力性をもたせることとした。」としている。これが「改定送りがなのつけ方」の方針であるが,その次の「内容」でこれを受けて,「以上の方針に従い,送りがなのつけ方を次のように本則・例外・許容の三つに分けて考えた。」としているのである。そしてことに注意を要することは,このうちの「許容」である。3の「許容」で,「語によっては,本則に合う送りがなのつけ方とともに,本則に合わないつけ方が慣用として行なわれていて,本則だけを適用することは妥当でないと考えられるものがある。これらの語については,本則に合わないつけ方をも取り上げて,これを許容とする。」というように,今回の案では,許容を現行よりも多くした。これについて思い当たることは,先般,かな部会の「試案」を発表したところ,一般のかたがたの中には,「このように許容を多くしたのでは,どっちを使っていいかに迷う。」というような批判もあり,質問もあった。また,合同部会や説明会等でもどちらが優先するのかという質問があったので,部会としては,あれこれ考え合わせて,運用の第1に「各通則において,送りがなのつけ方が許容によることのできる語については,本則,許容のいずれに従ってもよいが,個々の語に適用するに当たって,許容に従ってよいかどうか,判断しがたい場合には,本則によるものとする。」ということで合意に達したのである。そのような裏付けを持って,かなりゆとりを持たせたのが,今回の案の特徴であろうと思う。
 それから第3には,全体の構成である。現行の送りがなのつけ方は,品詞別になっており,26項目の通則でできあがっているが,この最終案は,前文にあるように,「単独の語」,「複合の語」と大きく二つに分け,「単独の語」をさらに「活用のある語」と「活用のない語」とに分けた。こういうような分類をして,以下,表にあるとおり「通則1,2」,「通則3,4,5」,「通則6,7」というように,全体で七つの項目に整理した。これは,かな部会の「試案」と比較すると,さらに整理したものである。かな部会の試案を発表した当時,現行のような品詞別であるよりも,このような構成にしたほうがわかりやすい,ということで,かなりの評価を受けたものである。ここでもそういうようにしたのである。以上がだいたい重要な三つの点と思うのである。

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