国語施策・日本語教育

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次第 答申書および建議書の提出/大臣あいさつ

前田会長

 以上で第80回国語審議会の総会はすべて事務的な手続きを完了することになる。そこで,これから答申したいと思うが,この実施の方法について,この審議会の第8回において小委員会を設けて検討した結果,および総会で承認された考え方は,従来のように手続きとしては内閣告示・内閣訓令で行なうことが適当であるという結論である。ただ,その表現は細心の注意を払って,全国民を告示および訓令で拘束するかのような感じを与えないようにしたい,というのが従来の考え方であるので,この点は,当局でも善処していただきたいと考え,わたしどももそれを希望したい。で,こういうたてまえに立って,わたしはただ今,会長として高見文部大臣に以上の経過を経た答申をしたいと思う。(答申書および建議書を大臣に提出。拍手。)

高見文部大臣

 ただ今,国語審議会の過去6年間の審議の成果である「当用漢字音訓表」および「送りがなのつけ方」の改定についての答申と,「国語の教育の振興について」の建議をお受けした。この総会で,わたし,文部大臣としてごあいさつすることは,まことに喜びに堪えない。
 現行の国語の書き表わし方のよるべき基準は,昭和21年に内閣訓令・内閣告示となった当用漢字表,現代かなづかいをはじめとする一連の訓令・告示であるが,これらは,実施の経験等にかんがみ,種々検討すべき問題があると考え,昭和41年6月「国語施策の改善の具体策について」の諮問をした。
 審議会では,まず当用漢字音訓表と送りがなのつけ方を取り上げ,以来6年間,伺うところによると,後半にはほとんど毎週1回以上会議を開くという熱心な審議を続けられ,このたび,この二つの問題についての改定の結論を出していただいたことは,まことにありがたく思う。国語問題の審議の困難さはじゅうぶん承っているので,皆様の御苦労はなみなみでないものがあったと拝察をする。
 しかも,皆様がたは,審議に当たって,国語は国民全体のものであると認識され,まず部会の試案を公表して広く社会の意見を求め,審議の参考にするという慎重な配慮のもとに結論をおまとめになったことに対して,深く敬意を表するところである。
 今回,御答申いただいた「当用漢字改定音訓表」と「改定送り仮名の付け方」は所要の手続きを経て,できるだけすみやかに実施したいと考えている。
 なお,学校教育での取り扱いについては,答申にそって,直ちに調査研究に着手し,具体的な結論を得て実施へ移していきたいと思うが,特に,義務教育は基礎を学ぶ課程であることをじゅうぶん考慮して,児童・生徒の学習能力に応じた配慮を行なう必要があると考えており,高等学校以上の教育においては,漸次,できるだけ社会生活の実態に即したものとしたいと考えている。
 また,このたびは,国民生活や国民文化の基礎である国語について,国民のひとりひとりが深く思いを寄せることが,きわめて重要であるとの認識のもとに,国語の教育の振興についての建議をいただいた。このような,最も深く,基本的な課題についても検討を加えられ,貴重な御意見をいただいたことをありがたく思うとともに,その御趣旨にそい,各方面の協力を得て,国民全体が国語に対する意識を高め,国語をたいせつにする精神が養われるよう,国語の教育の振興にいっそう努力したいと思う。
 今期の審議会の委員の任務は,今期末で満了するが,中には,6年以上にわたって,このむずかしい審議に御尽力いただいたかたもあり,深く感謝をしている。
 今後とも国語施策に御関心をお寄せいただき,いろいろな機会に貴重な御意見を賜わることができればまことに幸いである。つつしんで厚くお礼を申し上げる。

前田会長

 それでは国語審議会の総会,したがって,今期のすべての会議を,本日のこの答申の最後の手続きで全部終了した。会議はこれで終わりである。皆様の御協力をわたしとしても深く感謝いたしたい。
 ありがとうございました。(拍手。)

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