国語施策・日本語教育

HOME > 国語施策・日本語教育 > 国語施策情報 > 第11期国語審議会 > 漢字表委員会

漢字表委員会

〔概 況〕


<第1回>
 運営委員会でまとめた「漢字表の委員会の運営について」によって運営上の問題を協議したあと,漢字表の具体的検討に関する基本問題についての自由討議をした。この経過は第88回総会(昭和49.1.25)に報告した。

<第2回>
 第87回総会で了承された「漢字表の具体的検討のための基本的方針」の確認のための協議をし,これに関連して鈴木,森岡両委員から提出された資料について意見交換をした。ついで漢字表と学校教育との関連について協議し,その後漢字表委員会の議事の進め方について各委員の意見の提出を求め,協議した。その結果,漢字表検討に当たっての基本的な態度として次のことがまとまった。

ア 総会で決めた「漢字表の具体的検討のための基本的方針」については,特に「現代の国語を書き表すためのものとして考えるものとする。」について多少問題がないわけではないが,問題点については,これらの審議の過程で議論することとし,一応これによって進めることとする。

イ 漢字の検討に当たっては,日本語における漢字の意義や役割について十分な認識をもちながら進めていくこととする。

ウ 学校教育に関する問題は,直接取り上げて議論することはしないが,漢字表の検討と関連が深いので,絶えず教育の問題を念頭に置きながら,漢字表の審議を進めていくこととする。

 また,漢字表検討の主な観点として次のことがまとまった。

ア 漢字表の検討に当たっては,@現在の当用漢字表に即して議論していく考え方と,A当用漢字表にこだわらず,新しい漢字表を考えていく考え方の二つがあるが,当用漢字表を資料の一つとして踏まえながら,いろいろな資料をもとにして漢字表を考えていくこととする。

イ 検討のための具体的観点として,次の二つを中心にして検討を進めていくこととする。
 @ 現代の新聞・雑誌における漢字の使用度数を考える。
 A これまでのいろいろな漢字表での漢字の採用状況等をもとにし,また,漢字の表す概念を考える。

ウ そのほか,語彙(い)の観点から,現行の当用漢字表の制限性による言い換え,書き換え,仮名書き等や,漢字の機能度,和語の名詞,接続詞,副詞などだけに使う訓専用の漢字などを検討することとし,また漢字の構成要素の観点からも検討することとする。

 なお,これらのことに関連する資料として,国立国語研究所で行った「現代雑誌90種の用語用字」「現代新聞の漢字調査」等,及びこれらを総合して段階づけを行った「語彙調査四種の使用度による漢字グループ分け」(林 四郎),森岡委員から委員会に提出された「漢字の層別」,新聞協会等での言い換え,書き換え例,国語審議会報告「同音の漢字による書きかえについて」(昭和31年)等を用意することとした。
 以上の経過を第89回総会(昭和49.4.26)に報告した。

<第7回〜第9回>
 「概況」で述べたように,第7回漢字表委員会で,漢字表委員会の中に具体的検討に必要な作業をするための小委員会を設けることとした。以後,小委員会で検討した結果を漢字表委員会で審議するという形で検討作業を進めた。小委員会はこの間に4回(第1回から第4回)開いた。検討は国立国語研究所が行った4種の語彙調査,森岡委員の「漢字の層別」に使われた明治以来の10種の漢字表等の資料に出てくる総漢字数約4,200字について行い,そのうち使用度数の高い順に,1,858字までを詳細に検討した。検討に当たっては,使用度数の観点からだけでなく,その漢字がどのような語を表すのに使われるかという観点からも審議した。
 以上の経過を第90回総会(昭和49.7.23)に報告し,資料として「これまでの検討で話題になった漢字の問題別分類」を提出した。

<第10回>
 第90回総会以後,漢字表委員会を1回,小委員会を3回(第5回〜第7回)開き,国立国語研究所が行った4種の語彙調査,明治以来の10種の漢字表等の資料に出てくる総漢字数約4,200字のうち残っていた約2,350字について引き続き検討して,一応検討を終えた。その検討の過程で各委員から指摘があったいろいろな問題点を整理して「選定の方針に関する具体的観点」という表にまとめた。なお,言い換え,書き換えの列などの資料や各方面で実際使われている例などについては十分検討するに至らず,今後の検討課題として残された。また,この間,漢字の検討に当たって,漢字表の性格を指す言葉としてのいわゆる「目安」の意味についてしばしば意見の交換があった。
 以上の経過を第91回総会(昭和49.9.27)に報告し,資料として「選定の方針に関する具体的観点」を提出した。

<第11回>
 第91回総会以後,漢字表委員会を1回,小委員会を1回(第8回)開いた。まず小委員会では,総会での審議に基づき,今期の審議会の審議経過報告の原案に盛り込むべき事項について話し合った。その結果を基にして主査・副主査を中心に「漢字表の具体的検討(草案)」をまとめた。漢字表委員会ではこの草案について検討を行い,必要な修正を加え,問題点整理委員会の報告案と調整した上,全員協議会に提出した。

トップページへ

ページトップへ