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福島会長

 次回の総会は毎月という段階を離れて,少々間を置いてということになる。それまでに漢字表委員会と問題点整理委員会を開催することになるが,ただいまの木内委員の意見なり文書で提出された意見なりの中から次回の総会以降の審議題目になるものを逐次選んでいただくことになると思う。そういうことも前提として文書で提出した意見に説明なり意見なりを付け加えたい希望があれば,多少時間が残っているので,どうぞ発言願いたい。(鈴木委員挙手。)どうぞ。

鈴木委員

 私は文書を出していないが,今日発言したいと思っていたことが倉沢委員の意見に関連があるので,意見を述べたい。この審議会は総会中心ということに第11期からなっている。ところが私が一番気になるのは,殊に前回の総会の時につくづく思ったが,なぜ総会が何となしに中だるみでうまくいかなかったのか,発言がほとんどなかったのかということである。前回の総会ではそのためか会長もちょっと思い違いをして,30分早く切り上げられた。これは恐らく非常に低迷してしまったためではないだろうか。
 私が今日第1に言いたいのは,総会中心主義であるならば,もう少し総会を技術的にやりいいようにしなければまずいのではないかということである。例えばマイクロホンが一つか二つしかなくて発言のときに文化庁の担当者が走り回って受け渡す。それで数少ないマイクロホンを持って,立って発言すると倉沢委員の意見のように心理的な抵抗があり,どうしても演説になってしまう。起承転結を整え,終わりまで長々と話さないと格好がつかなくて具合が悪い。そしてその発言がやっと終わるとシーンとしてしまって,今の発言に賛成なのかそうでないのか分からない。しばらく沈黙がある。また次の発言が前の発言に余り関係なくあり,それも一つの小演説になってまたシーンとしてしまう。それで私はこういうワイヤレスマイクをせめて二人に一つ,つまり発言したいと思うときに割合気軽に発言できるように予算で買ってもらえないかと思う。これはほかの審議会ではどうしているかということもあるし会場の問題もあっていろいろ研究しなければならないと思うが,発言の形式に関する物理的条件がまずいのではないかと思う。
 それから,やはりこういう会であるから一々議長の許可を得て発言することになるが,賛成とか何とか前の発言をどう受け止めたかという反応を私たちは何か示す必要があるのではないか。そうでないと非常によい演説ないしは感心することがあっても,本人には反応が分からない。
 また,賛成である,それについてもう少し議論をしようという気軽な発言をするために,わざわざ手を挙げて,走って持ってくるマイクロホンを待って立っていて,実は賛成である,といったことで座ると何か格好が悪い。こういうことが,総会が活発になって時間が足りなくて帰るのが惜しいぐらいにはならない原因の一つではないかと思う。各委員とも非常に忙しい中をやってきて,中には京都から参加する委員もいるのに,時間が余るというのは,日本語の運命を論ずる会としては少しもったいないと感じている。
 そこでもう一つ提案がある。福島会長が一人で奮闘していて,いろいろと時間のことも気にされる。であるから,運営委員会なり問題点整理委員会なりの何人かの委員は(あるいは一人でも結構である。)全体の会の流れが,例えばデッドロックというか,変なところに入った場合(前回の総会はどうも話が変なところに入っていってしまい,抜けれなかったように思う。)に,セコンド役になって,今,話が少しおかしくなったから休憩とか何とか言って,審議の流れを客観的に整理して元へもどすというような会運営の技術を入れた方が良いのではないか。前回の総会の場合も,休憩を入れてもう一度立て直せば,まだ十分時間が使えたのではないかという感じがする。
 つまり,総会中心主義ということを単に空論にしないために返事の問題であるとかマイクとか立つか座るかとか,といった実にくだらないことを初めのうちにもう少し時間を掛けて考えないと,2年間やっても自分とは違うところへ話が行って,もう手が届かない,何か不満であるという委員がかなり出ることになりかねないということである。そのうちに公式な声明なり報告なりが出て,世の中はこんなものだということになってしまうのでは,国語の大問題であるのに,残念ではないかと考える。
 第2に言いたいことは,今日木内委員が非常にいいことを言われたが,それに関連することである。別に木内委員の今の意見に賛成であるという意味ではない。総会では各委員が何かもやもやして,大きな審議の方向を言いそびれている。各自でそれぞれ考えていても,一体漢字を増やすのか減らすのかというようなことを少しタブー視して,何となしに暗黙のうちにお互いの腹を探るようなことにしばしばなっている。
 であるから,木内委員のように旗印を鮮明にすることによって,漢字をなくすべきであると思って,忙しいのに喜んで審議会へ来ているのに,そんな考えを言うとはけしからんというような意見も出やすくなると思う。そして活発に論争して,一致した意見が得られれば,それを国民に伝えることもできるが,話合いがなくてもやもやしているものを国民一般に広めようと思っても,それは絶対不可能である。せめて50人の審議会委員の中では,異論は異論なりに十分尽くして,最後に一致するとは思わないが,とにかくそれぞれの委員が立場を明かにした上で,マイノリティとマジョリティを決めるようにしたい。もう少し自分自身の立場を明らかにすることを最初にしないと,どの委員を説得しようと思って話すのか分からなくて悪い言葉で言えば,敵と味方が分からなくて,皆慎重になってしまい,勝負がつかない。例えば,寺島委員の意見を見ると,果たして漢字を増やすということは国民的コンセンサスを得ているのであろうか,「第11期国語審議会審議経過報告」を読んでもその辺は分からないとあったが,正にそうであり,私もよく分からない。何か察するところそうらしいが,とんでもないと思っている委員もいるのではないか,隣の委員はそうではないかというように個人的に思ったりする。

福島会長

 関連して副会長から発言がある。

古賀副会長

 ただいまの鈴木委員の話は,ちょうど私が気にしていたことなので,少し発言したい。
 第1にマイクロホンを予算で買うという話があったが,私は他の委員とは畑違いで音響とか電波とかいう仕事が本職であるから,毎回このやり方はまずい,これをこのようにすれば金も何も掛からない方法があるのにと思いながら,その方法を今まで積極的に事務当局に連絡しなかったことを恥じ入っている。
 私自身もマイクがうまく動いているかどうかを最初から非常に気にするたちであるので,発言の際,注意がマイクの方にばかりいって,もともと下手なのに思うように話ができない。それで,事務局の担当者には大変迷惑であろうが,発言する委員はマイクを持たないで自由に話し,事務局の担当者はちょうど適当な位置にマイクを持っていって声が全体によく行き渡るように面倒を見てほしい。
 第2に会場のアレンジメントについて述べたい。
 どうも真ん中を相当あけて大きく広がってしまうと,自然開き直ってしか話さないという姿勢になってしまい,ひざを突き合わせて話がしにくい。殊に,これもかねがね気になっていたことであるが,こちら側の委員は向こう側の委員の顔が逆光線になって見えないということがある。昼間であったら,外のあかりをあのまま裸で使わないでお互いに顔がよく見えるように使うべきである。
 今日あえて積極的に発言があったとすれば,そんなときにこそせめて私は会の進行等について役に立つように立ち働くべきであったのに誠に申し訳ない。この次からは是非工夫して会長を補佐したい。

福島会長

 鈴木委員の話,また古賀副会長の話もっともであり,また総会中心の運営ということも2年間やった時点で検討し直してみることも必要であろうと思うので,次回の総会までにこれは重要な問題点であるから,問題点整理委員会などで検討願えないものかと思っている。まだ多少の時間がある。ほかに発言があったらどうぞ。(発言なし。)
 最後に事務局からお手もとの民事行政審議会関係の答申について説明がある。

石田国語課長

 お手もとに「戸籍制度に関し当面改善を要する事項に関する民事行政審議会答申」という白い冊子をお配りしてある。これは,前期の審議会でも申し上げたが,法務省の民事局に置かれている民事行政審議会から2月28日付けで出された答申を印刷したものである。
 この中で取り上げられている問題にには五つの項目があるが,その四番目に「子の名に用いる漢字」という事項があり,これについての検討の結果が,この冊子の13ページの終わりから出ているので,法務省からこの資料をもらってきて,お配りしたわけである。
 その概要を説明すると,まず子の名に用いる漢字としてどういう問題をとらえたかということが,「問題の所在」及び「審議の内容」として示されている。そこでは,子供の名前に付ける漢字は制限して従来どおりやっていくのがいいのか,あるいは自由にするのがいいのかということについての多数意見,少数意見がそのまま載せられている。その結果,結論としては「子の名に用いる漢字について,当面,「当用漢字表」「人名用漢字別表」による制限方式を踏襲しながら」やっていく,そして「国語審議会における今後の検討をまって対処する」ということになっている。なお,それまでの間は,必要に応じて「人名用漢字別表」の漢字を追加する等の措置を考えていきたいといっている。
 以上一応御報告申し上げておく。

福島会長

 本日はまだまだ意見を伺いたいところであるが,時間がほとんどなくなったので,そろそろ閉会ということにしたい。特に発言の希望があったら,どうぞ。(発言なし。)
 次回の総会は,両委員会で検討を願う余裕なども考え,また2ヶ月に1回ぐらいという間隔にもどることも初めから予定されていたこともあって,6月20日(金曜日)に開催する予定としたい。この予定についても特に意見があったらどうぞ。(発言なし。)特になければ,そのようにしたいと思う。((注)その後,種々の事情により7月4日(金)に変更された。)それでは本日はこの辺で閉会したい。

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