国語施策・日本語教育

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次第 文部大臣のあいさつ

木内委員

 また,当時は表音文字が進歩的であって表意文字はだめなもの,滅びゆくものという認識があったが,その点は全く変った。表音,表意という区別のごときものは,当時の言語学的研究の不十分な時代のものであるから,そういう点も非常に変ったということを織り込んで今後は考えられるべきものと思う。これからは,説明文にあるところだけで跼蹐(きょくせき)して物を考えることのないような態度をとっていただきたい。教育の問題等もそこからほぐれてくるのだろうと思う。
 私個人としては,私がこの間出した私の提案を審議していただきたいと思う。あの中に教育のことや,その他いろいろなことが書いてある。つまり,今度の「新漢字表試案」は結構であるが,そこで止まるわけにはいかない,というのが私の考えである。それを改めて最後の機会に申し上げておきたい。

福島会長

 いずれにしても「新漢字表試案」という形で次期国語審議会に引き継ぐわけである。関連する問題も次期の国語審議会で御心配いただくことになると思う。
 それでは,「新漢字表試案」という形で次期の国語審議会に申し送るということを御承認いただきたい。(発言なし。)よろしければ,御了承を得たということにしたい。
 では,この「新漢字表試案」に付して文部大臣に提出する報告文の審議に入りたい。この報告文は,12月24日(金)の運営委員会で相談したものである。事務局に報告文を朗読してもらう。国語課長,どうぞ。

石田国語課長

 では,報告文を朗読する。
 「第12期国語審議会審議結果報告について(報告)」

福島会長

 こういう文案であるが,差し支えなければ,御承認いただきたいと思う。(発言なし。)では,御承認いただけたものとする。
 なお,ついでながら大臣に申し上げておきたい。これは,従来の「当用漢字表」に代わるものの試案ということになる。「新漢字表試案」と名付けたのは,「当用漢字表」という名前をそのままにしておくということを必ずしも考えているわけではないということである。どのような名前を付けたらいいか結論に達していないので,仮に「新漢字表」となっているということなのである。実用漢字表とか,いろいろな意見が出たが,次期の国語審議会で名前を付けてもらうということである。
 それからまた,先ほどから話がでているように,これは試案であって,一応中間的に発表して国民各界,各層の意見を聴いた上で,もう一度次期国語審議会で審議を行い,国民の納得のいくような形にまとめていただき,文部大臣に答申してほしいという性格のものである。
 お受け取りいただきたい。

海部文部大臣

 どうもありがとうございました。

福島会長

 それでは,文部大臣からお話を伺いたい。どうぞよろしく。

海部文部大臣

 日ごろ,皆様方にはお忙しいところをいろいろ御協力いただき,誠にありがとうございます。
 本日,第12期国語審議会の最終総会に当たり,ただいま,今期国語審議会における御審議の結果を「新漢字表試案」として御報告いただきました。
 皆様方には,一昨年1月,国語審議会委員に御就任願って以来,今日まで,御多忙の中を,国語施策の改善について終始御熱心に御審議いただき,誠にありがとうございました。
 今期審議会は,前期第11期審議会に引き続き,主して「当用漢字表」及び「当用漢字字体表」の問題を取り上げ,審議を重ねてこられましたが,この当用漢字の問題は,我が国の現行国語施策の中心をなすものであり,それだけに,これまで審議に当てられた皆様方には様々な御苦労があったことと拝察いたします。
 このたびの漢字表・字体表の検討に対しては,国民もまた大きな関心と期待を寄せていることと存じますが,幸い,2期4年間にわたる皆様の慎重かつ御熱心な御審議を経て,ここに「新漢字表試案」をおまとめいただくことができました。
 申すまでもなく,国語は我々日本人の人間形成とその社会生活各般に対し深いかかわりを持つものであり,我が国文化の発展と社会の向上,進展の基盤をなすものであります。
 私どもといたしましては,本審議会の御意向を体して,御報告を適切な形で世間に公表し,広く各界各層の意見を聴き,それらの意見を基に次期審議会において更に御検討願い,最終的な答申をいただければ幸いであると考えております。
 ここに,これまで賜りました皆様方の御尽力と御苦労に対し,重ねて心からお礼を申し上げますとともに,今後一層の御協力の程をお願い申し上げて,ごあいさつといたします。ありがとうございました。

福島会長

 大変御丁寧なごあいさつをいただき,恐縮であります。
 本日の総会の予定議事はここまでであるが,閉会の前に連絡事項がある。国語課長,どうぞ。

石田国語課長

 既に御案内申し上げてあるが,閉会後引き続き,別室で大臣招待のパーティーを予定しているので,御出席いただきたい。

福島会長

 委員各位には長い間大変御苦労いただいた。
 また,漢字表委員会,問題点整理委員会の委員各位,特に両委員会主査の岩淵委員,遠藤委員には非常な御苦労をお願いしたことを各位に改めて御紹介申し上げて,厚くお礼を申し上げる次第である。
 更に,古賀副会長にも私の病気の際の総会や平生の委員会等で御尽力いただいた。厚くお礼を申しあげる。
 それでは,これをもって閉会とする。

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