国語施策・日本語教育

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次第 今後の運営について

福島会長

 最初に,今後の運営について協議するわけであるが,その前に「審議会の傍聴等について」のこれまでの審議会の申合せの確認をお願いしたい。国語審議会の総会は,これまで報道機関に公開して開催してきたので,今後もそのようにしたいということである。これまでの申合せを事務当局から簡単に説明してもらうことにする。国語課長どうぞ。

石田国語課長

 お手元の資料3「審議会の傍聴等について」は,昭和39年4月,第7期審議会以来,各期の審議会で御確認をいただいているものである。(国語課長,「審議会の傍聴等について」を朗読。)

福島会長

 ただいま,朗読及び説明があったが,「審議会の傍聴等について」は,従来どおりということで,今後も継続することを御確認いただきたい。

江尻委員

 ただいまの資料の第5項目は傍聴とどういう関係があるのか。

石田国語課長

 これは公開との関係であって,表題も「審議会の傍聴等について」となっている。
 議事要録を確認の上,第5項目の最後の段落で,印刷物として公表するという形でつながっていくと理解している。

福島会長

 よろしいか。それでは従来どおり確認したい。
 そこで,本日は最初の総会であるので,今期の審議会の運営又は審議の進め方等について協議したい。
 今期審議会の任務は,先ほど大臣のあいさつにも,事務当局の説明にもあったように,前期審議会の継続ということから前期の終わりに文部大臣に中間報告として提出した「新漢字表試案」についての検討であると思う。
 特に各方面の意見をも参考にして検討するということになると思う。そしてできるならば第13期の任期中の2か年で新漢字表について審議会としての案をとりまとめて答申したい。これが目標となるわけである。
 「新漢字表試案」自体についても,また関連事項についても,今後取りまとめなければならない部分はたくさんある。
 第1に「新漢字表試案」は,一応中間報告の形にしたが,その名前自体も前期からの引継ぎとして,今期審議会で検討することになっている。いつまでも「新漢字表」というわけにもいかないであろう。
 そのほか国語に関する一般的な問題も付け加えて,できる限り意見の交換をしたい。考えがまとまりさえすれば,文部大臣に意見の具申もしたい。
 更に,前期審議会は,新漢字表試案を「適切な形で公表して関係各界をはじめ広く国民の意見を聴く」よう,希望している。これについての受けとめ方もかなり大きな問題となる。
 文化庁事務当局としては,先ほど次長から説明があったように,この試案について,新聞,雑誌等に掲載された意見は,現在既にかなりの程度まで収集を進めているようである。
 また,各方面から提出される意見,それから各地の説明協議会などの意見,反応は5月末ごろをめどにしてまとまるということになっているようである。
 これらの意見などを参考にして今後審議を進めていくことになる。これらの各方面の意見,その他に関連して,現在まで事務局で取り扱った事項,その他について御質問などもあるかと思うので随時御発言いただきたい。
 いろいろな問題をこの際申し上げると,まず,会長として会議の進行をつかさどることになるので,私の希望としては運営委員会を設置していただきたい。副会長に補佐していただくわけであるが,前期同様,会長としては運営委員会に相談をしながら審議の進行を図るという形を続けていきたいと考えている。
 なお,運営委員会のほかに,漢字表委員会とか,あるいは前期の審議の過程で非常にお働きをいただいた問題点整理委員会の設置も希望しているわけであるが,とにもかくにも運営委員会を設置して会長の処置についての決定をお諮りすることができるようにさせていただきたい。
 運営委員会の設置についてお諮りしたい。もし差し支えなければ,さように取り計らわせていただきたい。(発言なし。)
 運営委員会は,会長,副会長を助けて運営の円滑化を図り,その進行を図るということが任務である。
 運営委員会は,総会の承認を得て会長が指名した委員若干名と,会長,副会長で構成するのが従来の例である。このたびも,同じようにさせていただきたい。御異議がなければ会長の案を申し上げたいが,いかがか。(発言なし。)よろしければ,御同意をいただいたものとして,ただいまから申し上げる。岩淵,江尻,遠藤,木内,木庭,志田,下中,角田,松村の各委員,それに,会長,副会長が加わることとする。以上11名となる。
 なお,漢字表委員会,問題点整理委員会が設けられ,今申し上げた委員以外の方が両委員会の主査,副主査となった場合には,その方々にも運営委員会委員になっていただきたいと思っている。特に御異議がないようなら,今申し上げたようにお願いしたい。
 そこで前期同様,漢字表委員会,問題点整理委員会を引き続いて設置することについてもお許しを願いたい。ただし,両委員会の構成については,全委員の御希望も伺った上で運営委員会で考えさせていただきたい。
 なお,新任の各委員に申し上げると,漢字表委員会は,前期では漢字表及び字体問題について具体的検討を進めてきた委員会であり,審議会の約半数24名の委員で構成され,問題点整理委員会は,前期では直接漢字表に関する事項以外の国語の問題について,総会の意見交換等を経て,その中から問題点を取り上げて,総会で更に討議する必要があると思われる項目についての整理,検討を進めてきた委員会であり,12名の委員で構成された。
 新任の委員各位も,両委員会の性格を御承知おきいただき,特に参加したいという御希望があったら是非ともお知らせいただきたい。
 ただいま申し上げたことは,さしあたり私の考えている審議会の問題点,特に本日の総会の問題点である。後先の関係は一向に差し支えがないので,自由に御意見をどうぞ。

倉沢委員

 両委員会への参加希望の申出の件であるが,特に新委員でよく分からない点などもあって,自分から名のることの難しいような場合も考えられるので,自分の希望を出すほかに,あの委員は是非この委員会にというふうに推薦することはいかがか。

福島会長

 結構だと思う。さようにお願いできたら誠にありがたい。
 なお,先ほども簡単に申し上げたが,各方面の意見提出については,事務当局から,官庁,学術諸団体,あるいは新聞,雑誌,その他の団体,個人,自治体,その他に約1,200通の依頼状を出して,一応5月末ごろまでに回答を求めたと聞いている。この次の総会では,それらの回答を整理して御検討いただくことは可能になるのではないかと思う。
 また,試案が発表されてから,新聞,雑誌等に出た反響についても事務当局で収集したものがかなりあると聞いている。これを整理しないままで一々紹介するのもどうかと思うので,かなりの大作業になり,多少の時間もかかると思うが,事務当局及び運営委員会,その他の委員会で整理をしてから,御検討いただくことになると思う。

鹿海文化部長

 先ほど次長からも申し上げたが,本日,資料としてその関係したものを差し上げてあるので簡単に国語課長から御報告申し上げる。

石田国語課長

 それでは,お手元の資料4,5,6について,概略を申し上げる。
 まず,資料4「「新漢字表試案」に関する意見の収集について」から申し上げる。
 1枚目は,関係方面に対する「文書による意見提出の依頼」である。これは去る3月に,文化庁から,お手元の資料2「新漢字表試案」に付して文書で意見提出方を各方面に依頼しているものである。依頼先は,そこに挙げてあるとおりである。
 36省庁(国会の事務局,最高裁判所を含む。),各都道府県は試案にある法令・公用文書の分野と考えている。各関係団体は,試案の新聞,雑誌,放送という分野を考えている。各新聞社,放送機関,出版社,文字印刷の関係,国語関係諸団体といったところに30通ばかり出している。
 更に,学校教育その他の教育機関は,各都道府県教育委員会,教育関係団体,社会教育関係団体に65通を出している。
 国語関係学会等(国語学会を初め関係学会がある。)に7通出している。
 以上,185通の依頼を出している。
 なお,このほか全国の国公私立の大学,文部省所轄機関,地方自治関係団体(全国知事会,市長会,町村長会,都道府県議長会等の6団体),学術用語関係学会(文部省の学術国際局とも相談をして,自然科学を含めて広く関係学会のうちから約60の学会を選んだ。)に試案を送り,もし意見があれば御提出いただきたいという依頼を出している。
 以上,約1,260の関係団体,機関に意見の提出依頼をしている。一応,回答の期限としては,5月末ということでお願いしている。こういう依頼に際して先方と相談をしながら既に約6,000部の試案を発送している。
 次に試案を各地区で直接説明して,意見を聴取するための説明協議会(いわゆる公聴会的な役割も果たす。)を計画している。開催地は,仙台,東京,大阪,広島,福岡の5か所を予定している。
 この協議会で御説明いただく方として,前期国語審議会会長又は副会長,それから前期漢字表委員会主査の岩淵委員を考えている。なお,仙台での開催期日は,4月22日となっているが,この日にストライキが予定されているということなので,地元の宮城県教育委員会,説明に行っていただく先生方の御都合を調整して,改めて期日を決めていきたい。今の見通しとしては,5月末ないし6月の初めになる見込みである。
 次に資料5について申し上げる。これは,これまでに国語課で気がついた,いろいろな新聞,雑誌等に掲載された意見の題名だけを(内容を全部とると膨大なものになり,まだ分析もしていないので)一覧的に挙げたものである。
 新聞では,報道記事は省略して,社説,解説,コラム,署名入りの論説,談話,投書,調査を挙げてみた。一般雑誌,国語に関する専門雑誌も集めてみて現在140通の意見が集まっている。内容は,各方面からの文書による意見,あるいは各地での説明協議会での発言を取りまとめてからいずれ総会に提出したいと考えている。
 最後に,資料6は,文部省に都道府県とか,団体とかから意見,要望として寄せられたものである。11件あるが,全部「繭」の字を取り上げてくれという意見ばかりである。このほかにも,実は個人的な意見もあるが,ここでは挙げていない。以上である。

福島会長

 国語課長,この新聞,雑誌に出たという140の意見は,大体においてどういう傾向であったか。上出来であるというのか,だめであるというのか,天下の大勢はどうであったか。

石田国語課長

 本当にいろいろな意見があり,漢字を有効なものとして考えて,もっと使っていく,したがって,字種ももっとたくさん取り上げるようにという意見から,制限を徹底すべきである,字は増やすべきではないという意見まで,非常に多く,一まとめに傾向を言うことはとてもできない状況であると考えている。

福島会長

 私も,このうち三つ,四つぐらいは目についたが,特に気を遣ったわけでもないので,140も出ているとは知らなかった。「繭」の字の陳情書が,こんなに来ているとは思わなかった。これはある程度は申し合わせたものだろうか。
 それから,蛇(だ)足ながら申し上げると,委員各位も,総会あるいは委員会での発言のほかに,御自分の意見を紹介していただけるようであったら,事務当局に御連絡いただくか又は適当な方法で問題点整理委員会なり漢字表委員会なりに取り次げるように,お申出をいただきたい。総会で発言するのはめんどうだということで,そのままになったということもあるであろうし……。
 例えば,私などの場合はよけいなことを言わないで進行を図った方がよいということで,自分自身の意見は,実をいうと余り申し上げたことはない。意見を述べる方の席に座りたいという希望もあるし,委員会,運営委員会などに注文もつけてみたいという感じもある。委員の方々が考えている時期と,総会の開かれる時期とのずれもあるだろうし,お忘れにならないうちに御連絡をいただければ,問題点として検討するようにしたい。大小にかかわらず,遠慮なく御意見を事務当局に連絡していただきたい。

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