国語施策・日本語教育

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福島会長

 本日予定の議事は以上であるが,まだ時間があるのでこれからの審議会ということで,いろいろお考えもあろうかと思うので,御意見なり,御抱負なりがあったら,どうぞ。

木内委員

 運営に関することを申し上げたい。委員会中心でいくと,総会と離れてしまう。総会中心でやると,それはいいことであるが,開催の数が少ないから,思うようにいかなくて,非常に全体の時間がかかってしまう。
 それを少し中和することになると思うのは,今までその辺についての説明がなかったが,漢字表委員会には所属委員でなくても,臨時に出席して,表決には加われないが,発言の自由は認めるという規則があることである。これは,実は私が言い出してできた規則であるが,私自身はそれを非常に活用して,漢字表委員会の委員ではなかったが,あるいは送り仮名の委員ではなかったが,盛んに出席して,いろいろ勉強もし,発言もした。
 そういう規則があるということをここで周知していただき,自分はこの委員会に入りたいが,入るとうるさい,しかし,たまに行ってもいい,あるいは出て聞いてみた上で,これなら入ろうということもあり得るということを各委員が了解して(これは委員であるかないかという境をぼやかす方法ではあるが。),活用してくださることを私は希望する。

福島会長

 前期審議会においては,漢字表委員会その他の委員会に,問題点をお持ちになってはいるが,委員になっていなかった方々に,随時,御出席いただいて,御意見の紹介をいただくということを,実行してきた。
 先ほど,漢字表委員会,問題点整理委員会を前期同様にお願いしたいということを申し上げた際に,その点をはっきりさせなかったが,木内委員がお述べになったとおりであるので,よろしくお願いしたい。
 実際問題として,漢字表委員会などの場合に,委員外で,出席をして,御意見を述べられたという事例は相当あるか。

石田国語課長

 古賀副会長は毎回必ず御出席になった。その他の委員では,木内委員がよく御出席になった。総会は,毎回,大学内の会議のため欠席するので,漢字表委員会には出席するという委員,熱心に二,三度おいでになった委員,地方に御在住で,漢字表委員会に是非出席したいという委員もいらっしゃった。

古賀副会長

 名前が出たので,記憶している限り申し上げる。ただいま木内委員から御提案があったくらいで,木内委員が一番熱心に出ておられた。そのほかにも数名の委員が,ときどき御出席になった。
 それから,これに関連して,付け加えておくと,いつ漢字表委員会があるといったことは,漢字表委員会に所属していない委員にも事務当局から通知を出していた。今,会長が言われたように,各位が進んで参加することは大変望ましいことと思う。
 つまり,ある事柄を相談するときに,多数決というやり方はなるべくとらないということで進んできたが(その点は今後もそうだと思う。),その意味で,委員をお引受けになった方はなるべく出席率をよくしていただくということから,一応だれは委員である,だれは委員でないということになっていると思う。余り遠慮せずに,進んで御出席いただければ大変よいのではないかと思う。

江尻委員

 この審議会は国語審議会という名を付けられているが,過去30年近い審議の経過を見ると,事実上「漢字審議会」というにふさわしいと思う。
 漢字の問題が,日本語の問題としては非常に重要な問題であることは,疑問の余地はないが,問題は,それだけではないと思う。終局的な目的は,国語という問題についての考え方をつくり上げる,また基準的なものを考えようというところにあろうかと思うが,過去30年近い間,漢字の問題だけをやってきているという事実がある。これは非常に熱心に討議したわけであるが,そろそろ本来の目的である,美しく正確にして効果的な表現ができる日本語の問題を審議する第一歩を踏み出してよいのではなかろうか。今期が難しいのなら少なくとも伏線ぐらい敷くようなところまで行けないものかと思う。
 先ほどの話にあったように,話し言葉の問題は,諮問事項ではないが,今まで論議されてきた。今期も諮問事項には入っていないが,そういう方向で問題点の検討をそろそろ始めていただけないかというように,素人としては考える。話し言葉については,専門家の間では何が問題点であるかといったことについて,運営委員会で御検討願えれば非常に幸いである。

福島会長

 ごもっともなお話と思う。何しろ第11期からの委員であるので,古いことは正直なところ分からないが,第11期以後は当面漢字表に関する字種,字体ということに努力を集中してきた。
 しかし,漢字審議会ではなくて,国語審議会であるということは,長い間,先輩諸氏もお考えになってきたところであろうと思う。そしてまた,第11期,第12期の間でも委員会で御検討願っている間に,総会としては,国語に関連する諸問題について,自由討議の形で意見交換をするという努力は続けてきた。今後も,委員会に具体的に御検討願っている間に,総会としては,国語問題全般に関する意見交換の機会を持つことを引き続き考えているので,御趣旨に沿うように努力したいと考えている。御了承願いたい。
 当面,とにもかくにもこの漢字表問題を卒業しないと,どうにもならない。

岩淵委員

 漢字を中心に取り上げてきたが,ただ漢字だけを切り離して考えたわけではなくて,やはり言葉を書き表すためにどういう漢字を使ったらいいかということを考えてきているので,言葉と離れて,文字だけをいじくり回したというものではないと思う。ただ,言葉という視点からもう一遍見直すことは大変大事なことだと思うが,言葉と漢字とが全然無縁であるとも思わない。
 また,漢字が増えた方がいいのか減った方がいいのかということについても,言葉の上で日本語というものを考えた上で,決めなければならない問題だと思う。基底では,やはり日本語の言葉の問題は,今までも考えてきていると思うし,これからも大事な問題として考えなければいけないと思う。 それを,一応漢字をたな上げにしておいて,言葉という視点から考え直すことは私も賛成であるが,どのように進めたらいいかということは,大変難しい問題だろうと思う。

福島会長

 ほかにあったら,どうぞ。特に審議会の在り方それ自体の問題は,できるだけ早い機会に伺っておいた方がよいと思う。2年間はすぐに過ぎてしまうので。

宇野委員

 前期,少し問題になっていたことがあるが,教育の問題について何かお考えか。それともこちらの結論が出てから考えるということなのか。その点をお尋ねしておきたい。  今度できた1,900字は「試案」であるから,今後,意見によってどう変わるか,それを見ないと,最終的なことは決まらないが,教育の問題については,当用漢字に対する国語審議会の立場というか,考え方が大幅に変わった,つまり,極端な言い方をすると,180度転回したと思うので,今までのいわゆる教育漢字881字,それに備考漢字115字を加えた996字という枠(わく)でいいかどうかということがあると思う。したがって,委員会をつくったってそう簡単に結論は出ないと思うので,そういう問題については,文化庁国語課ではなくて初等中等教育局で考えるのかと思うが,この辺で,そろそろお考え始め願いたい。

福島会長

  前期審議会は,中間報告をする段階で,「新漢字表試案」及び関連する諸問題を,次期審議会,つまり現在の審議会で継続して検討するよう望んでいる。その関連する事項の中に,教育漢字の問題をどう取り扱うか,固有名詞に関連する漢字をどう取り扱うかといった問題が確かにあった。
 第13期審議会では新しい漢字表を確定させると同時に,残された問題の取扱いの方向を定めることが宿題となっていることは,間違いないところだったと思う。それをどういうふうに取り扱うかは,この総会で意見を交換しながら,文部省に意見を具申することになると思う。関連する諸問題の中で最も重要な問題が教育漢字の問題であるということは,私もよく覚えているところである。
 前期審議会では,教育漢字の問題については,教育関係の方々にもっと多数御参加をいただいての審議が必要なのではないだろうか,という意見がかなりあったように記憶しているし,同時に国語審議会としても,教育漢字の取扱いについて,意見を出すのは当然であるという感じ方もあったように思っている。この2年間に,漢字表に関連する事項として最も重要な問題であるということは,分かっているつもりなので,文部当局の意見も聞きながら,総会で御審議いただきたい問題の一つだと思う。

岩淵委員

 これからの漢字表委員会での問題として考えると,人名に関する漢字は,漢字表委員会で扱う問題ではなくて,やはり総会で議論すべき問題ではないかと思う。人名用漢字は,法務省との関係もあるし,戸籍法との関連もあるので,「人名用漢字別表」などをどう考えるかは,総会あたりでいろいろ意見交換をしていただいてもいいのではないかという気がする。
 教育の方は,もう少し複雑なように思うが,「人名用漢字別表」などについては,各委員にいろいろと意見もあると推測するので,それは総会でお取り上げいただくべきであるという気がする。

福島会長

 もっともな御指摘と思う。固有名詞を表す漢字の問題,すなわち人名,地名を表す漢字の問題は私にも頭の痛い問題である。私どもはどちらかと言えば,印刷業者の一員であるから,漢字表がいかように定まっても,それと別に人名,地名がやたらに別枠で存在したのでは,相当の制約を受けることになるので,弱っている問題の一つである。
 委員会での検討に適当でないというお話もあったので,人名用漢字,地名を表す漢字をどう考えるかといったような問題,そしてまた先ほどお話のあった日本語の中の漢字の問題のほかに(ほかではなく,同じかもしれないが。),漢字が印刷媒体になっているということも否定できない事実であるので,その辺のことなども,総会で意見を交換していただく事柄であるかもしれない。
 総会で何を検討すべきかということについて,先ほどお願いしたが,あらかじめ事務当局を通じて問題を提起していただくことは,非常に大事だと思うので,よろしくお願いしたい。
 ほかに問題点があったら,どうぞ。(発言なし。)
 本日はこれをもって閉会とする。

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