国語施策・日本語教育

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次第 文化庁長官あいさつ/前回の議事要録について/タイ・ビルマにおける国語問題について(調査団報告)

福島会長

 第103回国語審議会総会を開会する。
 前回総会以後,文化庁長官,文化庁次長,国語課長の異動があったので,事務局から報告がある。

鹿海文化部長

 文化庁の人事異動について御報告申し上げる。新しい異動から御紹介する。
 9月20日付けで,安嶋文化庁長官が東宮大夫に転出し,犬丸文部省管理局長が新しく長官に就任した。また,6月10日付けで,柳川文化庁次長が文部省体育局長に転出し,吉久大臣官房審議官がその後に就任した。更にさかのぼって,4月18日付けで,石田国語課長が初等中等教育局幼稚園教育課長に転出し,室屋大臣官房企画官がその後に就任した。

福島会長

 犬丸新長官のごあいさつがある。

犬丸文化庁長官

 去る9月20日付けで文化庁長官を命ぜられました。国語行政については,よく分かりませんが,国語の問題は,日本文化の基本をなす大変重要な問題であるということは承知しています。また,国語審議会が長い歴史を有し,大変重要な仕事を積み重ねてこられたことも存じています。これからは,直接この審議会の御決議に従って行政の仕事を進めてまいる責任者になったわけですので,委員各位の御指導を得て,力の限り職責を全うしたいと思っています。

福島会長

 では,吉久次長に一言お願いしたい。

吉久文化庁次長

 国語行政については,素人でありますが,御指導を得て一所懸命職責を全うしたい。

福島会長

 それでは,国語課長に一言お願いしたい。

室屋国語課長

 よろしく御指導をお願いしたい。

福島会長

 前回総会の議事要録は前もってお送りしてある。御自身の発言について修正の箇所があれば,どうぞ。(発言なし。)
 それでは,確認したこととして議事に入る。
 本年は,タイ・ビルマ両国の国語施策に関する海外調査(3月29日から10日間。三根谷委員,滋野国語課専門職員。)と,フランスの国語施策に関する海外調査(7月5日から10日間。岩淵委員,前田委員,森国語課長補佐。)が行われた。本日の会議では,タイ・ビルマ両国の調査報告だけを手短にお願いしたい。三根谷委員,どうぞ。

三根谷副主査

 本年3月29日から,現地では一番気候の悪い時に,10日間の強行日程で,国語課の滋野専門職員と二人の小さな調査団をつくり,現地に赴き,前もって用意された日程に従って連日いろいろな機関や学校を訪れた。それぞれの国の国語問題に関しては,タイ語,ビルマ語の専門家でなければ,発言できないような問題が非常に多いが,実際に見聞することができたことで,これからのいろいろな問題の検討の中で生かせることがあれば,生かしていきたいと考えている。
 追って印刷物を配布する予定なので,本日は簡単にお話しする。
 二つの国の共通点は,多民族国家であって,いろいろな民族がそれぞれ違った言語を使っている国であるということである。そういう少数民族に対する国語教育というものが,非常に大きな問題になっているが,それはバンコクやラングーンに滞在して質問しているよりも,実際にそれぞれの問題のある地方にまで足をのばしていかなければ,とても十分な理解を得ることができないであろうと思われる。
 その他の共通の大きな問題としては,サンスクリット語とか,パーリー語とか,あるいは新しく英語からの借用語が多数入っていて,新しい学問を大学で教えるような場合に,英語でなく,自分たちの言葉で高等教育を行うについて,学術用語をどのようにしていったらいいかということがある。それぞれの国語でいろいろな学問の専門的なテキストブックをつくっていくために,どうしてもこの問題を避けて通ることができないでいるようである。また,学術用語に限らず,生活様式の変化に伴う新しい単語,用語の必要性がどこの国においても同じように痛感されている。まず日本でも行われているように,彼らの文字であるタイ文字やビルマ文字で音をうつして新しい単語を取り入れることから始まり,それをどのような形で固定化していくかということが,一番大きな問題になっている。
 なお,国語問題としては,殊にビルマにおいては,ビルマがビルマ連邦社会主義共和国という連邦制をとっているので,少数民族の言語を尊重する度合いはタイよりも大きいものがあり,ビルマ語以外のカレン語やモン語による新聞も刊行されていて,非常に複雑な問題をはらんでいるように見受けられた。専門の研究者が協力して問題の解決に努力している。

福島会長

 ただいまの御報告について御発言,御質問などがあれば,どうぞ。(発言なし。)
 では,次の議題に進みたい。

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