国語施策・日本語教育

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次第 漢字表委員会の審議経過について(報告)

福島会長

 前回総会で,漢字表委員会,問題点整理委員会の二つの委員会を御承認いただいたが,両委員会で主査,副主査の互選が行われて,漢字表委員会では岩淵委員が主査,三根谷委員が副主査,問題点整理委員会では遠藤委員が主査,松村委員が副主査にそれぞれ選出された。御迷惑であろうが,よろしくお願いしたい。
 まず第一に,漢字表委員会の審議経過を岩淵主査から御報告願いたい。

岩淵主査

 漢字表委員会は2回開かれたが,主査,副主査の選出などに時間をとり,実質的な審議に入れなかったので,特に御報告するようなことは余りないが,委員会の話合いの中でこれから漢字表委員会がどういう仕事をしていくかということが中心の問題になった。それで,取り上げる問題としては,各界の意見をもとにして新漢字表を固めていくという作業が一つあり,ほかにいわゆる教育用の漢字などをどうするかということがある。それは既に総会でもいろいろと議論が出ているが,できたら漢字表委員会で少し具体的なことを議論してみて,それを総会に提出し,総会でまた議論していただきたい,という気持ちを持っている。教育用の漢字については,つくるのかつくらないのかという根本の問題もあるし,またつくるとすると,それは国語審議会がつくるのか,あるいは文部省初等中等教育局がつくるのか,別の委員会がつくるのかという問題もある。これらに関しては,総会でいろいろ御意見を伺うことが必要だと思うが,教育漢字の実質的な問題について少し漢字表委員会で具体的に意見を取り交わしてみたいというふうに考えているわけである。
 それから,新漢字表と関係があるのは,人名用漢字表であるが,もし今度の新漢字表をそのまま適用すると,昭和26年に出た人名用漢字別表の92字の中の7字が新漢字表に入っている。それから昨年28字追加したが,その中で「悠」の1字が入っていて,合計8字が重複することになる。これをどうするかという技術的な問題もあるし,それから新漢字表から落ちた字について,もし人名用漢字表というものを存続するとすれば,そこに付け加えておかないと困るのではなかろうかという字がないわけではない。例えば,養嗣子の「嗣」という字が今度は入っていないが,ユニバックで人の名前を統計的に調べたものによると475回使われていて,順位は338位という高いところにある。こういうような字は人名用漢字表の中に付け加えなければいけないのではないか,という問題もあろうかと思う。そういうことで,人名用の漢字も当然新漢字表を固めるのと関連して考えなければならない問題であるが,これは個人的にも総会でお願いしたように,人の名前というのは一体どういうようなものなのか,あるいは人の名前は時代によって随分変化しているし,地域によっても随分特徴がある,そういう点から人名漢字をどう考えるかという根本的な問題について是非総会で議論していただきたい。
 それから字体についての問題がある。本年7月文部省初等中等教育局から小学校の学習指導要領が出たが,それにはいわゆる教科書体活字の字形が具体的に示されている。こういうようなことがあるので,それも含んでこれから字体について詳しく考えてみる必要があるだろうと思う。それから,部首の問題についても,もし意見がまとまれば大変いいことだと考える。
 以上のような幾つかの問題があるので,これをどのような順序で,どの程度の時間をかけて成案にもっていくかという計画を立て,それによってこれからの漢字表委員会の運営を進めていきたいと考えている。

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