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次第 前回の議事要録について/漢字表委員会の審議状況について

福島会長

 ただいまから第106回総会を開会する。
 前回総会の議事要録は前もってお送りしてある。御自身の発言について修正箇所があったら,どうぞ。(発言なし。)後ほど事務局に御通知いただいても結構である。それを前提に前回総会の議事要録は御承認いただいたことにして会議を進行したい。
 最初の議事は漢字表委員会の中間報告である。岩淵主査が御入院中であるので,三根谷副主査に代行をお願いする。まだ,はっきりした審議結果が出ている段階ではないので,一応の経過報告ということでお聞き取りいただきたい。

三根谷副主査

 いま会長からお話があったように,岩淵主査が御病気なので,本日は私が代行して御報告申し上げる。
 漢字表委員会はこれまでに12回開催した。そのうち初めの2回の経過については,昨年9月の第103回総会で岩淵主査から簡単な御報告があったが,それ以後,報告をしないままに過ごしてきた。そこで今回はこれまでの審議状況について簡単に御報告申し上げる。まだはっきり固まったものではないので,今お話があったように,経過報告ということになる。なお,漢字表委員会の議事要旨は全委員にお送りすることになっていて,第10回の分まではお手元に届いているはずなので,あらましのところは御承知いただいているかと思う。
 漢字表委員会では字種の問題,字体の問題,教育に関連する問題の三つについて検討を行ってきた。第3の教育に関連する問題は,特に「当用漢字別表」をどう取り扱うかということである。なお,資料1を御参照願いたい。
 まず第1の字種については,第3回(52.10.21)から第5回(52.11.11)まで3回にわたって検討した。
 最初に,「新漢字表試案」に対して各界から寄せられた意見の中で,この字を採用すべきであるとか,削除すべきであるとか,というような字種の採否に関するものを集成した資料を事務局に作成してもらい,検討の素材とした。
 各界の意見というのは,各省庁や新聞・出版・印刷などの関係団体教育委員会や国語教育団体,それに個人から寄せられたもの,更に文化庁主催の各地区での「新漢字表試案」説明協議会で出されたものなどである。採否の意見に理由が添えられているものについては,それらの理由を網羅(ら)した資料も別に作成した。寄せられた意見の中で,追加あるいは削除の意見が特に多かった字や法令・公用文にかかわりの深い字については,検討の際に特に注意しなければならないと考えた。
 各界から寄せられた意見の中に出てくる追加希望の字は334字,削除希望の字は164字であった。それらの個々の字について,漢字表に新しく追加するのが適当であるか,あるいは表から削除するのが適当であるかということで,各委員が意見を出し合い,それによって検討を進めた。
 この検討の結果は,まだはっきりした結論を出すに至っていない。しかし,大勢としては,試案の作成に当たってとられた考え方を余り変えないでよいのではないかという方向が出ていると言える。そして,法令とか公用文等に関連する字の採否については,別に考慮を必要とする面があるので,事務局で内閣法制局とか内閣官房等の関係方面との連絡,協議を進めてもらっている。
 こういうことで,字種の審議はそこで一応中断して字体の検討に入った。字体については,第6回(52.11.25)から第11回(53.2.7)までの間に検討を行った。これも同じように,「新漢字表試案」に対して各界から寄せられた意見のうち,字体に関するものを参考にしながら検討すべき事項について逐次審議を進めた。
 まず,現行の字体表の考え方,示し方や個々の字の問題点についてもう一度検討するという作業を行った。幾つかの問題点があるが,資料1の中に例を挙げてあるので,御覧いただきたい。
 現行の字体表では,例えば「仏」(←佛)「払」(←拂)は新しい字体が採用されているのに,「沸」は元のままである,というようなつくりなどの扱いの系統性の問題がかねてから指摘されている。これについては,同じような問題が表外字にも及ぶものであって,系統性よりも個々の字の問題として慎重な取扱いが望まれている。また,「突」や「臭」や「涙」の字では,「犬」の点が取ってあるのに,「伏」や「状」などにおいては点が残っている,というような点画の整理の仕方の問題もある。しかし,これらはこれなりに制定当時当用漢字の範囲内で一貫した方針がとられたものであるし,既に定着して久しいものであるから,現行のまま動かさないでよいのではないかという方向に落ち着いた。
 次に略字の問題を取り上げた。「新漢字表試案」では,従来「当用漢字表」にあった字の中で特に字体を変えたのは,「灯」(←燈)1字である。これは昭和29年の補正資料で既にこの字を採用しており,新聞等の印刷物でも久しく用いられてきたものである。
 漢字表委員会では,このほかにも例えば労働の「働」に対する「仂」などのような略字についても検討し,また警察の「警」のような画数が非常に多い字について,新しく簡略化を考えてはどうかということも話題になった。しかし,字体についてはやはり軽々にこれを動かすべきではないという意見が強いように見受けられる。
 一方,「新漢字表試案」で新たに追加した字については既に「蛍」(←螢)とか「斉」(←齋)のように略字を採用したものがある。そのほか,「当用漢字字体表」に準じて点画の整理を加えたもの(泡←,戻←)がある。これらについても改めて検討した。その結果,大体試案のとおりでよいのではないかということになったが,「潟」「竜」「缶」の3字については,それぞれ「」「龍」「」を取るべきであるという考えが出され,意見が分かれている。

三根谷副主査

 次に,「新漢字表試案」では今後に残された問題となっていた表外字の字体のことがある。へんやにょう,例えば示(しめすへん)やしんにょう(しんにょう)などについては,表内字の字体に準じて統一することも可能であるかもしれないが,つくりなどをどの程度考えるか,どの程度表外字に及ぼすかということになると,これはかなり大きな問題であるので,よほど慎重に考えるべきだということになった。この問題は,もう少し漢字表委員会で煮詰めてから,総会の御意向を伺いたいと考えている。
 また,「新漢字表試案」で削除することになっている字の字体,例えば,「殴」(←毆)の類,また「人名用漢字別表」や補正資料で既に字体整理が行われたもので,「新漢字表試案」に入っていない字の字体,例えば「弥」(←彌)のようなものは,いずれも略体字が用いられてきているので,現在のままでよいのではないかという方向になっている。
 次に字体の示し方という大きな問題がある。これについては,非常に具体的な細かい検討作業を必要とするので,字体小委員会を発足させて検討することになった。第11回漢字表委員会(53.2.7)で主査の指名により字体小委員会委員として,北村,林(大),林(巨),山本,頼の各委員と岩淵主査と私(三根谷副主査)の7名が決まった。2月23日に第1回の小委員会を開き,現在までに3回字体の示し方について検討を行っている。資料としては,各印刷会社の明朝体の活字に形の上で細かい違いがあり,それを問題にする向きもあるので,各印刷会社及び主な新聞社で使用している明朝体活字を比較検討できるような一覧表を用意してもらい,字形,デザインの上でどのように違いが実際に認められるのか,どういうところに問題点があるのかということを検討する作業を進めている。一字一字について見ているので,この作業はあと2回ぐらいは続けなければならないだろうと考えている。
 まず,こういう検討から始めているが,字体の示し方として各界から寄せられた意見を整理すると,現行の「当用漢字字体表」と同じ形(等線体)で示す,明朝体活字で示す,教科書体活字で示す,活字は避けて手書きで示す(硬筆又は毛筆)というように違った意見が寄せられている。そのほかに,委員会では,抽象的な説明によるという考え方も出されている。これは文字の構成を言葉で説明する,例えば,「昭」は,「日」が左,「召」が右とか,「召」は,「刀」が上,「口」が下とか,「和」はのぎへんに「口」というような記述的説明ともいえるものである。また異なる示し方の併用が望ましいという意見も出されている。今のところ明朝体について問題点を検討している段階であって,示し方をどれにするかということはまだ決まっていない。それから,字体に関連して部首の問題がある。「新漢字表試案」は五十音順で漢字を配列しているので,直接部首が問題になることはないが,戦後の新字体の制定に伴って,部首の所属が分かりにくくなったものがあり,漢和辞典などでは新しい部首を立てる試みもなされている。しかし,漢字表委員会で話し合った段階では,国語審議会として新しく部首を決めるということに対しては消極的意見が多かった。この問題については,更に字体小委員会で検討することになるであろうと思う。
 以上が字体に関する審議経過の概要である。
 なお,付け加えると,字体は活字について考えるものとし,筆写(手書き)の場合のことは区別して考えてきている。そして大勢としては,活字については現行の字体を動かさないという方向が出ているわけである。
 次に,教育に関する問題,特に「当用漢字別表」の扱いについての問題がある。つまり,新漢字表の制定に伴って,この別表をどう扱うかという問題である。このことについて漢字表委員会で何度か話合いをしている。新漢字表が出た場合,「当用漢字表」は消えるが,「当用漢字別表」の方はほうっておけば残ってしまうので,これを廃止するのであれば,国語審議会としてこれを廃止すると言わなくてはならないということになる。
 国語審議会で現行の「当用漢字別表」に代わる具体的な案を出すべきだという意見もあるが,この際,「当用漢字別表」は廃止して,教育に関することは教育過程審議会(初等中等教育局)に任せ,国語審議会としては考え方を述べるにとどめるという意見が,漢字表委員会の中では多いようである。
 「当用漢字別表」がなくなった場合,教育の方で困るかというと,結論から言って,それは困らない。昭和52年告示の「小学校学習指導要領」で既に「当用漢字別表」という言葉は使わないで,「当用漢字別表」の漢字881字と備考漢字と言っていた115字とを加えた996字の「学年別漢字配当表」というものが,示されているので,「当用漢字別表」がなくなっても,教育の方で困るという問題は起こらないということになっている。このようなことを含めて,教育に関連する問題については,次の総会にでも改めて御報告し,総会での審議をお願いするということになろうかと考えている。
 以上,大体の審議経過を御説明申し上げた。何分不慣れなことで,言い足りない点や言い過ぎた点があったかと思われる。漢字表委員会の委員の方々からお気付きの点を補足していただければ幸いである。

福島会長

 ただいまの御報告について御質問や御意見があったらお願いしたい。また,漢字表委員会の委員の方々から,副主査の御報告に付け加えることがあったら,御発言いただきたい。漢字表問題について本年の終わりごろまでには総会としての結論を得る必要があると考えられるので,それまでに,次の議題にある人名漢字の扱いやその他の問題をできるだけ早く片付けて,総会として漢字表の問題に取り組みたいと考えている。したがって,次回総会あたりで漢字表以外の問題をできるだけ片付けるということで進め,それから後は,従来以上の回数で総会をお願いしなければならないと思う。引き続いて漢字表委員会で検討していただくわけであるが,漢字表委員会に対する御注文があったら,お聞きかせいただきたい。

倉沢委員

 字体の検討に関する審議報告について質問したい。「潟─」「竜─龍」「缶─」の三つの文字について,意見が分かれたという御報告であったが,なぜ意見が分かれたのかかいつまんでお教えいただきたい。

三根谷副主査

 「潟」の場合には,「当用漢字字体表」で「臼」の部分を持つ字を「旧」としたのにならって「」とすべきであるという意見が一方にある。これに対して,表外字には「臼」という字もあり,「臼」を要素として含んでいる字もたくさんあるし,それに,このような地方の公的な機関で用いている字の字体を動かすと,印刷や諸種の印の変更などの面で大きな犠牲を払わせることになるという反対意見がある。
 「竜」については,「人名用漢字別表」では「龍」が用いられており,「補正資料」では「竜」が用いられている。「新漢字表試案」では「竜」を採用したが,「龍」に対する愛着は仲々強いものがあり,殊に「襲」の字の部分として「当用漢字表」の中にも生きているので,「龍」を採用したいという意見が出ている。
 それから,「缶」については,本来,「ほとぎ」という別な字であり,「かん」という音がないために,「」を採用すべきではないかということである。それに対して,「缶」が既に一般の社会で広く用いられているので,この際,「新漢字表試案」で取り上げたように,「缶」を採用すべきだという意見がある。

福島会長

 本日伺ったのは,漢字表委員会の経過報告である。漢字表委員会の結論は,いずれ御報告願えるわけであるから,審議はそのときに譲っても差し支えないと思う。しかし,漢字表委員会に対する注文という形での御意見があれば,遠慮なく御発言をいただきたい。

宇野委員

 私は漢字表委員に属しているので,そこで言えばいいことであるが,勤務の関係でしばしば欠席しているし,案が固まってから意見を述べても,時既に遅しという感じがするので,今思いついたことを一,二申し上げたい。
 今度,新漢字表という形で1900字(あるいは多少増えるかもしれないが。)が発表されるわけであるが,その場合にいわゆる正字(旧字体)を第一に出し,括弧して略字としての形を示すというように是非していただきたい。そういうふうにすれば,話題の「竜」「潟」「缶」の字も問題はないわけである。
 現在,ことに教育界においては,正字を書くとバツにされる。例えば,先ほど来,御説明のあった「突」とか「涙」などの字の場合に,本来正字は「犬」という字を書かなければならないのであるが,略字体は「大」にしてしまった。そのために「犬」という字を書くとバツになるわけである。私はそれは重大なことだと思う。その説明をすると,1時間ぐらいかかるので申し上げないが,そういうことがないようにするためには,やはり正字を第一に出し,そして括弧して略字体を示し,手書きのときにはこういうふうに書いてもよろしい,いろいろな印刷物などの場合にも必要に応じて略体字を使ってももちろん差し支えないというふうな,融通性を是非持たせていただきたい。
 もう一つは,最後の教育に関連する問題,いわゆる教育漢字の問題についてである。義務教育というのは9年間に限られている。その間に何もかも漢字を教えるということは,方法によっては必ずしも困難とは思わないが,事実上困難であろう。
 ところで,私の承知している数年前の統計では年間約5%の学童が転校する。転校すると,同じ教科書を使う場合もあろうが,全く違った教科書を使う場合もある。そういうことから大体どれくらいの字数でどういう字を教えるかを決めておくことは,そういう教科書の問題を絡めるとやむを得ないことである,つまり,漢字の学年配当(実は学年配当というのは気に入らないが……。)をある程度決めることはやむを得ないというか,しなければならないことであると思う。
 ただし,現在の国語教科書のように教育漢字以外の字は全部仮名で書くということは,繰り返し申していることであるが,やめていただきたい。これは,今度の新漢字表が「目安」であって,必ずしもそれに拘束されないという建前を一般の社会生活面に対してとっている以上,教育面においても,例えば学年配当表ではまだ出てこない,あるいはもっと極端な場合には,児童・生徒の教育のための漢字表の中には出現しないような漢字であっても,その言葉を使う以上は漢字で書く,そして配当表にない文字の場合はそれに振り仮名をするとかいうことにして,全部正しい漢字で出すというふうに是非していただきたい。

宇野委員

 したがって,教育用の漢字は,必要最低の教育漢字,例えば,1年生ならどれだけ,2年生ならどれだけ何と何を教えるということを決めておくが,それ以外の字であっても,熟語として必要な場合には漢字で書くということにしていただきたいと思う。
 子供にそんな難しい字は教えられないというふうにお考えになるかと思うが,繰り返し申しているように,石井勲氏の「石井方式」によれば,問題がないわけだし,仮にそうでなくても,大体小学校の1年生から3年生くらいまでの教科書に出てくる言葉自体は,そんなに難しい字であるはずがない。また難しい字を使った言葉をもし教科書に出せば,子供はそれを理解することができない。したがって,小学校の教科書に出てくる程度の語彙(い)であれば,漢字で書いても子供には十分理解できるものだし,仮にその場で直ちに理解できなくても,私は構わないと思う。教わっておけば,そのうちに分かることだし,社会でそういう言葉に始終触れれば自然に理解できることである。つまり,かねてから問題になっているいわゆるまぜ書きの漢語というか,熟語というか,そのような出し方は教科書からは是非やめていただきたい。

福島会長

 御指摘の点は,漢字表委員会で更に御検討いただくということにさせていただきたい。

倉沢委員

 宇野委員の御発言はかなり教育論に言及されたものであるので,ほかの教育関係の方々にも御意見があろうと思うが,私も一言申しておきたい。その一つは,学校の1年生から3年生ぐらいの教科書に出てくる言葉は漢字で書いてもそんなに難しいものはないと言われたが(今日は資料がないので例は挙げられないが),かなり難しい漢字で書かなければならない言葉がたくさん出てくるということである。1年生はまだそうでもないが,2年生になると,本当に驚くような難しい漢字を必要とする語彙がたくさん出てくる。約200の語彙は非常に難しい漢字を使わねばならないという資料があって,そう簡単に,低学年でも漢字を用いて大丈夫だというふうには言えないであろう。
 もう一つは,いまの宇野委員の御発言は,漢字の読み書き同時学習か分離学習かという国語教育論の上で長い間論議されている,大変基本的な大きな問題にかかわるということである。もちろん並行学習ということも大事なことであるし,分離学習も一つの意味を持つわけであるが,これからの情報化社会の中で言語というものを学習するときに,分離学習という線が,果たして漢字教育のために,また,将来の民族のためにいいのかどうかという,にわかに断定できない大きな問題をはらんでいるということだけはお考えいただきたい。

志田委員

 教育漢字についての御意見が次々に出ているわけであるが,例えば康熙(き)字典体で書いた場合に,それが誤りとされるようなことは望ましくないという点では私も同感である。新漢字表は,正面から教育のためというふうにはしがたいが,教育に対して,国語審議会として希望できることは,できるだけ言っておくようにしたいと思う。例えば,字体の問題などは,やはり「新漢字表試案」の説明資料で言っているように,略字を考えるのではなくて,いわゆる印刷の際の通用字という考え方で進めておいて,しかしそれが余り康熙字典体と隔たりのある場合には,本来の文字はこういうものだというふうに示しておくということが,最終的には穏当な形ではないかという気がする。その辺のところをいろいろ御検討願いたい。

木内委員

 「当用漢字別表」について,今までも何回か意見を述べているが,もう一度念のため申し上げておきたい。
 国語審議会として是非とも決めなければならないのは,「当用漢字別表」をどうするかということである。私は,この「別表」は廃止すべきものだと思う。そして,廃止すると言い放しでほうっておくわけにもいかないから,戦後30年たった現時点で,教育はどうあるべきかということをこの会で真剣に取り上げてほしいと思う。ただし,これを取り上げると,この会に託された任務以外に走る可能性があるので,いつもその問題はそこで抑えられてしまう。だから,そこは最後に論議することにしてもいいが,とにかく「当用漢字別表」を廃止するということは言わなければならない。その際,こういう考えで廃止するということは,練っておいた上で言わないと無責任であると思う。いい考えがはっきりまとまれば,それを別途文部大臣に建議することもできるし,他にもいろいろ方法はあると思うが,結論は別として,是非そこまで練っていただきたい。
 戦後30年たち,そういうことを論ずべく時期が熟してきたので,考え方をまとめる筋道のようなものを書いて,次回総会前に漢字表委員会に提出しようと考えている。

福島会長

 先ほども申し上げたように,今期の審議会の終わりまでに漢字表についての考え方をまとめたい。その前に処置すべき問題点として,人名漢字の問題ももちろんあるわけであるが,同時に,ただいま御指摘のように,「当用漢字別表」についての考え方を総会としてまとめておくという問題があると思う。次の総会あたりで重要な議題になるのではないかと予想している。特に教育漢字の問題については御意見を伺う機会があるはずであるので次に予定している人名漢字の問題については,既にたびたび御意見を伺ってきたのであるが,事務局に人名漢字問題を取り扱っている法務省と協議を願ったところ,なるべく早い段階で,国語審議会の意向を取りまとめることが,事務手続上必要だという事情が出てきた。この次の総会で,人名漢字の取扱い方について総会の意見をまとめたいという希望があるので,法務省との関連その他の事情を事務局からまず説明願った上で,御意見を承りたい。

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